元野良猫チロの家猫修行
少し前に捕獲されたばかりの、元野良猫のチロ、家猫修行がだいぶ進んできました。保護後、駆虫やワクチン・去勢などの処置を済ませてなな猫ホームで2ヶ月ほど暮らすことになったのですがまったく夜鳴きもせず静かに暮らし、徐々に「家」というものに慣れていっています。野良猫が家猫になる、その「修行」には、どんなものがあるのでしょうか。まず、壁に囲まれた室内で過ごし、そこから出られないことを学びます。そして、一定の人間からごはんをもらい、トイレ砂を換えてもらうことを学びます。糞尿をトイレですることを学ぶのです。また、怖い怖い掃除機というものが、ときどきすごい音を立てて部屋中を荒らしまわる(笑)ことも知り、ほかに猫や犬がいれば、それらの存在を許すことも学ばねばなりません。夜は寝て、昼間すこしは起きている、それも、夜行性野良から家に暮らすようになった猫が新たに学ぶことです。チロはこれらの点、本当に問題なくこなしてきました。トイレも程なくして覚え、わたしからごはんを貰うことも認識できてきてもともと温厚な性格らしく、他の猫たちを威嚇もしないので普通ならもうケージから出して、リビングに放してあげたいところなのですが、如何せん、長期預かりの白猫ましろと折り合いがよくない、というか、チロのほうでは別に「無視」なのですが(笑ましろがなぜか異常にチロに好戦的で大喧嘩になりそうなので、一緒に放してあげることができません。ましろは、産まれて保護されてからの2年間、まったくの一匹飼い猫として育ったためほかの猫を受け入れるということがどうやら難しく、うちの先住の猫たちには慣れたのですが、新入りの成猫に先輩風を吹かしているらしいのです(笑茶トラ王国の子猫たちとは、一緒に飛んだりはねたりして遊んでいるので子猫と同じくらいの精神年齢なのか(笑とにかく、そういうわけで、狭いなな猫ホームの中で二匹を一緒にすることができず急遽、猫部屋にしていた小さい納戸部屋を「チロ部屋」にすることに。12月半ばまでの預かりと決まっているので、仕方ありません。これが、里親さんが決まるまでの無期限預かりであればどうでも二匹を慣れさせるのですが、逆に、どうせ別れる二匹、慣れる必要がないので無用な争いを避けるため、そのような処置にしました。さて、前置きが長くなりました。最近のチロ画像、とくとご覧ください。 「えーと」 「このヒトは・・」 「あ、そうそう」 「ごはんくれて、トイレかえてくれるヒトだな」 「はじめは怖かったんだよね」 「でももう怖くないや」ためしにちょっと、ましろをチロ部屋に入れてみたのですが しだいにフーフーが強くなり このあと、ましろが飛びつきそうになったのであわてて追い出しました(苦笑一日中一匹閉じ込め状態でかわいそうなのですが当のチロは、そう苦にはしていないような気もします。できるだけ用事をみつけて、わたしも入るようにしているのですけれどチロはこのごろ、「あ~」と声を出してくれるようになりました。なんと言っているのでしょう(笑ごはんー、と言ってるのかな。それとも、ママーと言ってくれてるのかな。なな猫ホームにいる間は、仮の「ママだよー」と呼びかけているのですが。このチロは、保護された、本当に幸せな野良猫です。保護した方は、チロをずっと世話してきた方でした。急に郷里に帰られることになり世話してきた野良猫たちの中から、ほかの数匹とともに、このチロを選び出しました。どうしても置いていけない、他の、お世話してくださる方々に託すにしのびない猫たちの1匹として。チロは、自分の境遇をまるで知っているかのように静かに今の生活を受け入れ、おとなしくわたしの顔をじーっと眺めています。なにを考えているのかわからないようないえ、あまりにきれいすぎる心で見つめられているような気がします。チロにとっては、ものすごい人生、いえ猫生の激変のあった、この数ヶ月をなんの文句も泣き言もいわず静かに受け入れて自分を保護してくれたヒト、本当のママになってくださるはずの方が迎えにきてくれるその日をきっと待っているのです。その日までせめてなな猫ホームでできるだけ気持ちよく暮らせるよう今日も、ごはんとお水のトレーをもってわたしはチロ部屋にいそいそ行きます。