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カテゴリ:診療
ルセンティスやアイリーアといった分子標的薬が眼科領域に普及しはじめて、数年になる。 私が、大学病院に勤務していた時は、加齢黄斑変性をはじめ、重症の糖尿病網膜症や、網膜中心静脈閉塞症やそれらに伴う血管新生緑内障などに、大学の倫理委員会に諮って、アバスチンを利用しようとしていたのだが、大学の倫理委員会とういところは、なかなか許可を出してくれない。やっと許可がでたと思ったら、症例数が20例など極めて限定的で、20例を超えたらどうなるの?ってときに、もう一回、倫理委員会に書類を出しなさいなんていわれ、一生懸命書類を作ったが結局認可がおりなかった。そう言ってる間にも、なんとかしなきゃいけない患者さんは続々あふるているわけで、考えた作戦は、関連病院の倫理委員会に臨床研究の届け出を出すという戦法。結局、これがうまくいって、大学の患者さんもいったん関連病院にいっていただき、そこで、VEGF阻害薬を注射して、再び大学に戻るという患者にとっても医師にとっても手間のかかることをせざるを得なくなった。かれこれ2年ほど続いただろうか。治療代は研究目的なので無料だった。 そう言っているうちに、ルセンティスが、薬価収載され、まず加齢黄斑変性、続いて網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、糖尿病網膜症に伴う黄斑浮腫と適応が拡大され、そうこうしてるうちに、アイリーアが使えるようになった。 適応が拡大され、安心して患者に使えるようになったとはいえ、薬剤の価格がバカ高い。 本年の4月に薬価が引き下げられたとはいえ、ルセンティスは1回あたり157776円 アイリーアは1回あたり142605円 実際に負担するのは普通の方であれば3割で済むが、普通の感覚では高すぎ。白内障の手術点数より高いのである。 VEGF阻害薬であるアバスチンを、スイスから個人輸入して、分注して使うと、1本5000円位で済んだと記憶している。しかし、アバスチンは権利を持っている製薬会社が眼科薬を(おそらく会社の経済的利益のため)作るつもりはないらしい。 患者さんには、治療費が高いのは薬が高いためだと繰り返し説明しているが、あと一桁、つまり10分の1に薬価が下がることを強く希望。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.07.20 15:26:19
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