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カテゴリ:検察とマスコミ
どこまで暴走するのか特高検察!(特高警察ではありません)

「小沢VS検察」ではなく「石川議員逮捕」こそが最大の問題
(名城大学教授・弁護士 郷原信郎)(岩上安身HP)

<転載>

 2010年1月15日午後10時、北海道11区選出の石川知裕衆議院議員は、東京地検特捜部に逮捕された。第174回通常国会開会の3日前だった。
戦後日本で初めて、国民の選択によって、民主党中心の連立政権が誕生し、政務三役への権限の集中、官僚答弁の禁止など従来の官僚主導から政治主導へ中央省庁が大きく改革された。従来、官僚だけで密室で行われていた予算編成も、事業仕分けという形で、公開の場で市民の参加の下で行われ、1兆8000億円に上る無駄の削減が行われるなど、日本の政治に劇的な変化が起きた。しかし、それによって編成された予算を審議する場である通常国会に、石川議員が北海道11区の有権者の代表として参加することはできなくなった。

 国会議員には憲法によって不逮捕特権が与えられており、会期中は議院の許諾がなければ逮捕されない。会期外で逮捕された場合でも、議院の釈放要求決議あれば釈放される。

 それだけに、従来から検察は国会議員の逮捕については慎重な取り扱いをしてきた。政治とカネを巡る問題では1976年のロッキード事件での田中角栄衆議院議員の逮捕以降、10年にわたって国会議員の摘発はなく、久々の国会議員の収賄事件となった1986年の撚糸工連事件、1988年の砂利船汚職事件でも、逮捕は見送られ、任意聴取の後在宅起訴された。そして、8年後の1994年にゼネコン汚職事件で中村喜四郎衆議院議員が逮捕許諾請求の上逮捕されてから、5人の国会議員が逮捕されたが、いずれも、罪名は収賄か、又は裏献金の不記載等の重大・悪質な政治資金規正法違反事件だった。

 ところが、今回、石川議員は、前回の選挙で衆議院議員になる前に民主党小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の会計担当者をしていた当時の政治資金の処理手続に関する容疑で、通常国会の開会の3日前という時期に逮捕された。

 そのような捜査手法が許されるのか、国会議員の活動に対する検察の介入の是非という観点から徹底的に議論されるのが当然であろう。しかし、マスコミの報道では、「石川議員の逮捕」の是非の問題はほとんど取り上げられず、小沢氏側が「検察と闘っていく」という姿勢をとっていること、鳩山首相を含め民主党がそのような小沢氏を支持していることの是非ばかりが取り上げられ、国民の関心も、小沢氏の聴取がいつ行われるのか、検察は小沢氏を逮捕するのか、などの点に集中している。

 今回の容疑事実は、現職の国会議員を国会開会直前に逮捕することを正当化するほどの重大なものなのか。翌日の取調べを待たないで逮捕する事情があったのか、逮捕容疑と逮捕に至る経過を見ると、そこには、重大な問題が浮かび上がってくる。


 まず、石川議員の逮捕容疑は、裁判官が発した逮捕状では、平成16年分の政治資金収支報告書の「収入総額」を4億円過少に、「支出総額」を3億5200万円過大に記入した虚偽記入の事実だ。

 政治資金規正法では、25条1項2号で政治資金収支報告書に「記載すべき事項を記載しなかった者」、3号で「虚偽の記入をした者」を罰則の対象としている。「収入総額」「支出総額」の欄は、その年の収入と支出を合計したものであり、記載すべき政治献金の収入が記載されていなかったとか、架空の経費が記載されていた事実があれば、それに伴って収入や支出の総額が実際とは違うものになるのは当然だ。収入について過少に報告したということであれば、問題なのは、政治献金等の具体的な収入の記載が行われなかったことや実際より少なく記載されたという問題であって、収入総額の過少というのは、それに伴って当然生じるものに過ぎない。

 ところが、今回の石川議員の逮捕の容疑となった被疑事実は、どのような収入・支出が不記載だったのかを特定しないで、全体として収入総額・支出総額が過少だったという政治資金規正法25条1項3号の虚偽記入の事実だけだ。要するに、石川議員が、政治資金収支報告書にどのような事項を記載しなかったのか、どのような不正を行ったのかは、逮捕事実では明らかにされていない。脱税の問題で言えば、どのような収入を隠したのか、どのような支出を架空に計上したのか、というのが犯罪事実の中心のはずなのに、そこが明らかにされないまま、収入の合計金額を少なく申告した、ということだけで逮捕されたようなものだ。

 資金管理団体は政治家にとって「政治資金の財布」の役割を果たすものだ。自らの資金管理団体の人件費、事務所費等の経費が不足すれば、代表者の政治家が立て替えるのは当然だ。このような立て替えやその返済も、政治資金規正法上の「収入及び支出」に当たると考え、すべて収支報告書に記載しなければならないとすると、立替えが多い政治家の「収入総額」「支出総額」の記載は、実際の政治活動に係る収支を反映しないものとなる。それが、果たして、「政治活動が誰から、どの企業・団体から資金提供によって賄われ、それがどのように使われているのか」、を国民にありのままに開示されることを目的とする政治資金規正法の趣旨に沿うものであろうか。

 政治家との間の立て替え、返済をどこまで収支報告書に記載するかで、いかようにも変わり得る「収入・支出の総額」についての虚偽記入で国会議員を逮捕できるとすれば、検察はどんな政治家も逮捕できることになる。それは、検察が国会以上の強大な政治的権力を持つことになり、民主主義の崩壊を招きかねない。

 しかも、さらに問題なのは、石川議員の逮捕事実がそのように不特定なものであることが新聞等ではまったく報じられていないことだ。ほとんどの新聞が、石川議員の逮捕について、見出しでは「4億円不記載」、記事では「4億円の収入と土地代金の支出を収支報告書に記載しなかった」などと、明かに25条1項2号の「不記載罪」の事実であるように書かれていることだ。

 実際には収入総額・支出総額の過少記載が逮捕事実なのに、なぜ4億円の「不記載」が逮捕事実のように報じられるのか。逮捕時の検察側の説明が、司法クラブの記者だけを集めて行われ、会見者である地検幹部の発言を直接見ることも聞くことができないので、まったく不明だ。

 今回、石川議員は、なぜ逮捕されたのかということを判断する上で最も重要な逮捕事実すら、国民に正確に伝えられないまま、身柄を拘束され、通常国会への出席を阻まれた。国会会期中であれば、国会議員の逮捕には逮捕許諾請求が必要となる。その場合、逮捕の容疑となった事実が具体的に特定され、明確な理由が示されない限り、許諾請求をすることはあり得なかったはずだ。今回のような容疑事実では許諾請求など到底できないので、国会開会直前に逮捕したのではないかと思わざるをえない。

 石川議員の逮捕前から行われている本件に関連する報道の中によると、今回の捜査の対象になっている中心的な事実は、水谷建設が国発注のダムの工事受注の謝礼として5000万円を小沢氏側に渡したと社長が供述していることのようだ。しかし、その事実が今回の陸山会をめぐる疑惑の核心であり、石川議員の逮捕もその事実の解明が目的だというのであれば、それが逮捕事実として明示されるのが当然である。それが行われず、収入総額の過少記載などという不特定の事実で逮捕されたのは、検察当局も、この5000の裏献金についての水谷建設の社長の供述の信用性を疑問視していて、その事実の立件は困難と考えているからではないか。

 供述の信用性に関する重要な問題の一つは、同社長の贈賄供述で立件された佐藤前福島県知事の汚職事件の判決の認定だ。知事の弟が経営する会社の所有する土地を時価より1億7000万円高く購入して「1億7000万円」の賄賂を供与したという事実で現職の知事が逮捕・起訴されたが、一審判決で賄賂額は7000万円に削られ、控訴審判決では「賄賂額はゼロ」という実質的に無罪に近い判断が示された。また、同社長が脱税で実刑判決を受けて受刑中であることからすると、仮釈放欲しさに検察に迎合する動機も十分にある。これらは同社長の供述の信用性に重大な問題があることを示すものであり、その供述を今回の一連の事件の核心的供述として扱うのは極めて危険だ。

<文字制限のため、どこまで暴走するのか特高検察!(3)へ>





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最終更新日  2010.01.27 21:47:00
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