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信じられない話であるが、我々オッサン連中の中で気が滅入っている奴がいるのである。
コロナウイルスによる外出禁止が二ヵ月以上も続くと椅子に座って机の上のPCに向かっているだけでは普段の仕事が出来ない人達には私が想像するよりも結構精神的に参っているようなのだ。 こんな状況がいつまで続くのだ? 会社の状況は? 売り上げは? えっ、レイオフの計画があるの? これだけの期間を家で仕事をしていると何だか自分だけ取り除かれている感じがするらしい。 技術職の我々みたいな陰気な野郎は普段から周りを囲まれた刑務所みたいなラボで実験を繰り返しているので、自宅でテレワークになってもストレスはほとんど感じないが、営業職や人事の者になると普段人と接するのが仕事なので生活の調子が狂ってしまうみたいなのだ。 私も会議が一日中続くと一人で仕事したい!とストレスが溜まるのであるが、同じ様なものだろうなぁ... まぁ確かに人事部や営業の者は直接に相手の顔を見て、反応を伺いながらその場で空気を読みながら話をする真剣勝負なのでPC画面で相手の顔と睨めっこしても仕事が進まないのは当たり前のことかもしれない。 日本人には特に酷いのかも知れないが、PC画面を通して話していると直接会って話しをしている時には絶対に出てこないような言葉がバンバン出てくるらしい。 こんなことを平気で言う奴ではなかったのに...と思ったことがよくあるそうだ。 人事でも営業でもその人の持つ”目力”というものがあるが、PC画面を通すとその”目力”がなくなってしまうと言うが、それは本当なのだろうか... 私の方はテレワークになってから何故こんなに自宅で仕事をしなければならないのか?と何が悲しくなってくる毎日である。 会社に出勤して働いていた時は自宅に帰ってきて夜中にギターを練習する時間があったが、テレワークの現在はギターを弾く時間もエネルギーさえ残っていない。 その主な理由はコロナウイルスに感染する可能性から私は絶対にラボでは働きたくないので、誰かが犠牲になって私の代りにラボで実験をしてくれている。 それをリアルタイムで私が見たり、同時にデータを受け取ったりしているのであるが、常にPCの前にいなくてはならない。 と言うのも私が指示を出して作業を進め、私が実験データをその場で判断して次の作業をやってもらわなければならないからだ。 コタツの上のPC二台と隣のテーブルにあるPC一台の合計三台のPCを使って仕事をしている。 仕事をするのもコタツの上、夕食を食べるのもコタツの上、寝るのは背もたれにしているカウチである。 ずっと夜中までキーボードを叩いていて、あぁもう限界と思ったら背もたれにしているカウチに寝転がって一時休憩するのであるが、それを夜中に二回ぐらい繰り返すとカウチで朝まで寝ていることになってしまう。 あぁ今日も二階の寝室で寝られなかったと朝に思うのがずっと続いている。 朝に起こされるのも同僚からの呼び出し音である。 私の一日の最大の移動距離はカウチの後ろにあるトイレに行く時であり、約2mの歩行である。 嫁さんから刑務所に入っている人達の方がアンタよりも多く歩いてはるで!と言うが全くその通りである。 現実には全くの孤独状態で仕事をしているのに出勤して働いている時に人と話す量の何倍も毎日話しているのである。 はっきり言うが、このコロナウイルスの影響で自宅勤務になり孤独を感じるという人が羨ましい。 本来エンジニアというものは黙って黙々と仕事を進めるもの、孤独が好きな人達でもある。 変な話であるが、少しは孤独にさせて欲しい!誰も話したくない!というのが私の現在の率直な心の中である。 しかしそういう私みたいな奴は世の中には多くはいないようであり、普段はパチンコ店なんかに入ったことがないような奴でも何処かのパチンコ屋が開いていれば行きたいと言い出すのだから、現在の世の中は寂しがりや病にまで感染した者まで多く発生してしまったようだ。 毎朝混みあった電車に乗って出勤している者が自宅勤務になり、その分のエネルギーが自宅の机の上では消化できずに夜中の変な時間に起きてしまうことがあるらしい。 とりあえずTVを点けて何の興味もない俳句や囲碁の番組をぼーっと観ていると言う奴もいる。 変な時間に起きてしまう奴が結構いることに私は驚いた。 少なくとも今月末までは外出禁止なので、私を除いたオッサン連中は自宅に居て何か気の晴れるようなものを見つけようということになった。 お金もそんなにかからず、手軽で直ぐ出来るもの... そんなものがあるんだったらとっくの昔にやっていることなのだ! そしたら、とりあえず何の興味もない俳句や囲碁の番組をぼーっと観るのではなく、何か面白いTVドラマを観たいとそいつが言い出したので、ある者が「ドクターX」や「白い巨塔」のDVDを貸してあげたのだが、その辺の有名なTVドラマは一度観たものばかりなので解決策にはならなかった。 仲間内でドラマに詳しい者がリストを作ってくれたが、「半沢直樹」や「下町ロケット」の全ての回は観ていないとしてもある程度の話は既に知っているドラマなので面白くないという皆の評価であった。 それじゃ、誰もが聞いたことのないTVドラマで、それが滅茶苦茶面白くて、ドラマのシリーズを一気に観てしまいたいドラマのリストを作ろうということになった。 そのリストを基にそのDVDを皆で購入するか借りるか、何処かで手に入れてきて、それを皆で回そうという案である。 私は中村蒼主演で三島由紀夫原作のTVドラマ「命売ります」を推薦してやったら、それが以外に皆にウケたのだ。 2018年に放送されたTV番組であるが、サラリーマンがTVを観る時間帯ではなかったのだろうか、以外と皆知らないのである。 シカゴ在住の私はDVDになったものを借りたのであるが。 おー!流石に芸大を受験した奴や、センスがある! 高校時代に映画の台本を書いていただけのことはある! ...などと私は煽てられ、調子に乗ってTVドラマリストを作成してみた。 1970年後半の頃の大阪芸大は不合格になるには余程の才能が要るとまでうちの高校では言われていた大学であるが、それを見事に不合格になった私は周りから”やっぱり才能があった!”と言われていた背景を言っておく。 芸大受験専門の予備校なんかに行ったこともなく、これといって芸大受験の専門的な受験勉強も全くしなかったクラスメイトが受験を口実に大阪で遊びたくてふらっと受験したら合格した。 リストに掲載する番組の条件はあまり古いTVドラマは滋賀の田舎のレンタルビデオ屋さんには置いてないので最長で3年~4年以内に放映したものであった。 我々オッサン連中は普段は仕事で忙しいので、こういう時に今まで見逃した面白いTVドラマを一気に観てしまおうというアイデアである。 少しは気が晴れるかもしれない。 私はかなり癖のあるTVドラマが好きなので皆の好みには絶対合わないと最初に言っておいた。 日本では毎日コロナウイルス関係のニュースばかりなので気が滅入ってしまうのでそれよりマシなら絶対に文句は言わないという約束であった。 以下のTVリストのドラマを私の悪友達は観始めたばかりなので最終評価はまだ下されていないが、第一位の「元町ロックンロールスウィンドル」で早くも評価が両極端に別れた。 こんな番組を観るぐらいなら俳句の番組を観た方がよっぽどマシという意見が大半に対して、2人だけが久々に笑わせてもらったと非常に高い評価をしてくれるのだ。 Amazonで1万円ぐらいだしてDVDを買ったのにあんまりだ!と嘆く者に対して感動した奴の二人共が俺が全額出すからそのDVDを自宅に置きたいと言っているのだ。 最初に皆でお金を出すと決めているのでつまらなかったと散々文句を言った奴もお金はちゃんと払ったが... TVドラマ「元町ロックンロールスウィンドル」の主役は鳥居みゆきであるが、ナンシー役の女優中田彩葉さんがこのTVドラマの主役だと私は思っている。 いやこの女優さんがいなければこの番組は成り立たないと思っているぐらいである。 いつもナンシーは顔面神経麻痺の様に物凄く顔を歪めて話すのであるが、これが笑いのツボを押さえている。 しかも物語を左右する重要なことを話しているのに顔を歪めて話すで何を言っているかわからないところが多々あるのだが、ドラマの進行よりもナンシーの話し方を全面に出しているコンセプトが私にとっては素晴らしい。 何を言っているかわからないのに番組は進行していくのが凄いドラマだと思う。 こういういい加減な番組の作り方も含めて私はツボにはまった。 友人達はドラマの出演者の中で何とか判ったのは鳥居みゆきだけだと言う。 私はギターリストの古市コータローだけは判ったが、その他の人達は無名の俳優さん。 いや、俳優かどうかも判らない。 神戸の元町で実際に住んでいるミュージシャンやローカルな劇団員さん達だと思う。 ギターリストの古市コータローが話すセリフは俳優ではないので棒読みであるが、彼の持つ雰囲気がドラマにいい味を加えている。 番組の中で知っているのは鳥居みゆきだけかもしれないが、パンクバンドのミュージシャン達も恐らく本物のパンクバンドの人達だとおもうし、中田彩葉さんを始め、TVで観たことのない実力のある劇団員さん達が本気で馬鹿なドラマを演じているから面白いのだ。 人気アイドルグループの一人が主演を務めるドラマが多くあるが、そういうのは素人ドラマだと私は感じる。 これは本物のその道のプロ達が作ったドラマだから面白く仕上がっていると私は思っているが、登場した俳優さん達が全国区レベルになることはないだろうとも思う。 というのも彼ら自身が持つ毒々しさを全国区レベルの俳優になるために捨てるとは思えないからだ。 そういうところがこのドラマを更に面白くしている隠し味だと私は思っている。 いずれにせよ、ここまでパンクなTVドラマは今までに観たことはない。 客観的にこの番組が優れていると思うのは観た友人達のほとんどが毛嫌いしているからだ。 本当につまらないドラマを観た時は嫌いにもならないものである。 毛嫌いするほど嫌いなドラマはある者にとっては滅茶苦茶好きになるドラマでもある証拠なのだ。 一位:元町ロックンロールスウィンドル 二位:螻蛄「けら」 螻蛄というのは日本ではおけらの昆虫を意味する。 直木賞作家である黒川博行氏が原作のTVドラマである。 佐々木蔵之介主演の映画版よりも北村一輝のドラマの方が私には遥かにイイ! 三位:サ道 サウナを題材とした番組である。 サウナに興味が無い人でもこの番組のマニアさにハマるかもしれない。 サウナに行って”整う”という感覚はバンド仲間と毎週の様に行っていた私には”わかる!わかる!”の世界であった。 サウナに行くと帰り時に”今日も整ったなぁ...”といい気分になる。 サウナで整うとは何か?それを詳しく教えてくれるのがこの番組。 サウナで整うのは麻薬よりも癖になるかも... 四位:深夜食堂 これは説明する必要がないだろう。 安倍夜郎の大人気の漫画をドラマ化したものである。 食堂の主は小林薫以外にはいるだろうか? 驚いたのがGちゃんがこの番組を観ていたからである。 どこからそのDVDを手に入れたのかは知らないが... この番組は新宿ゴールデン街にある小さな飯屋の主と常連客たちとの付き合いの中で起こる出来事が物語になっているのだが、Gちゃんはそういう人生臭い物語はどうでもよくて、番組中と番組最後でその回のタイトルになった料理の作り方を解説するのを見て日本の料理の仕方を覚えていたのだ。 あの番組でそういう観方もあったのかと私は感心した。 確かにあの番組では料理本に載っていない日本の庶民の料理を学べるかもしれないなぁ... 昨日もGちゃんから「瓦そば」の作り方を教えて欲しいという連絡が嫁さんにあり、嫁さんも”何それ?”って言ってた。 嫁さんが調べたら普通の茶そばを熱くした瓦の上に載せ、普通の麺つゆで食べる料理であった。 そんな日本の山口県下関市の郷土料理をなぜGちゃんが知っているのだと不思議だったのだが、日本の若者向けのTVドラマに登場した料理だったらしい。 Gちゃんは日本語と日本の料理を覚えるために日本のドラマを色々と観ているのだ。 第五位:山本周五郎時代劇 武士の魂 山本周五郎は時代小説家の巨匠であり、直木賞授賞決定後に辞退した史上唯一の気骨ある作家でもある。 私はこの人は直木賞受賞作家というレッテルの枠に押し込めておくのは非常に勿体ない人だと思っている。 特に「季節のない街」は私が好きな本のベスト10の上位に入っている。 黒澤明監督の映画「どですかでん」の原作にもなっており、当然ながら黒澤映画の中で一番好きな映画でもある。 私は1970年公開のこの映画のオリジナルポスターを買いたいのであるが、NYにある映画のオリジナルボスターばかりを扱っている専門店で$1000以上の値段が付いているのでいつも諦めている。 私は映画のオリジナルポスター(実際に映画館で貼られていた非売品)のマニアでもあり、コレクターでもある。 私が感動した映画のオリジナルポスターを沢山持っている。 「エイリアン」などはアメリカ版と日本版の両方持っている。 山本周五郎の本を読むと忘れていた日本人の良さを思い出させてくれる。 正しく日本人が読む本だと思っているが、嫁さんに幾ら言っても池井戸潤が好きなんだなぁ... まぁいい、人には好みがある。 映画「どですかでん」は私のお勧めの映画である。 第六位:ゾンビが来たから人生見つめ直した件 これも「元町ロックンロールスウィンドル」と同様にバカげたドラマであるが、そのブラックコメディさが大したもの。 嫁さんは「元町ロックンロールスウィンドル」は観る”価値が無いと”か”笑いのツボがずれている”とか言っていたが、このドラマは嫁さんもお気に入りだ。 万人受けするところがいいのだが、逆にそれがドラマの個性を殺しているところでもある。 だから七位なのであるが、このドラマを観て笑ってストレスを発散させるには持って来いである。 「元町ロックンロールスウィンドル」の様に”観て損した”ということはないと思う。 第七位:中間管理録 トネガワ(アニメ) これは中間管理職の者の苦悩を漫画的に描いているアニメである。 私と同世代の者は中間管理職が大半であり、漫画的に滅茶苦茶な話とはいえ、中間管理職の苦悩を描いているのが面白い。 専業主婦が観ても面白い作品に仕上がっていると思う。 第八位:ゴールデンカムイ(アニメ) 明治末期の北海道を舞台にした金塊をめぐる戦いのアニメである。 戊辰戦争で死んだはずの土方歳三や永倉新八も登場し、幕末の歴史好きにもウケるアニメかもしれない。 第九位:江戸前の旬 このTVドラマは寿司の日本の食文化や魚介類に関する知識を基にした物語が面白い。 しっかりとした日本の食文化の知識や寿司職人の気質を基に作られた物語なので、物語自体に骨がある。 このドラマを観ていて”なるほど、そういうことだったのか”と毎回納得した。 第十位:トクサツガガガ 特撮オタク女子の物語である。 戦隊ヒーローもののなどの特撮オタクである26歳のOLが周りの者達にバレないように苦悩する様子が面白い。 私自身がオタクなので、こういう女子の気持ちは痛いほどよく理解できる。 ジャズやギターのオタクであり、それならまだ嫁さんにも理解してくれているが、百年前のガラス瓶のオタクであることに嫁さんは全く理解してくれない。 臭い匂いが漂ってきそうな百年前のガラス瓶に何百ドルを使おうとすると相当の壁を乗り越えなければならない。 正にこの番組の通りなのである! 誤解の無いようにもう一度話しておくが、このドラマのリストはドラマ自体の良さだけでランクしたものではなく、コロナウイルスで外出禁止になって、自宅生活でのストレスを少しぐらいは気分を晴らすことができるのではないか思ってリストしたものである。 こういう時でないとなかなか見逃したTVドラマを観る機会がないので、良いチャンスだと私は思っている。 リストの条件はレンタルビデオ屋さんで借りられるようにそんなに古いドラマはダメで、3~4年以内に放映されたTVドラマの中からである。 ずっと番組が始まるのを期待していたような「ドクターX」などのTVドラマではなく、こういう時でないと観る機会が一生ないようなドラマが基本的に選ばれていることを言っておく。 こういう時に本気でドラマをしっかり観てみたいと思う人にお勧めしたいTVドラマがある。 ヒルストリートブルースという1980年代初頭にシカゴで撮影されたアメリカの警察署を舞台にしたTVドラマである。 私はこのドラマは私の人生の中で最高のTVドラマだと思っている。 私はナショナリストなので最高のTVドラマは日本のTVドラマの何かだと言いたいのであるが、残念ながら私はこのドラマ以上に素晴らしいドラマはまだ会っていないのだ。 数年後に日本でも日本語吹き替え版が関西テレビの深夜放送で放映されていた。 私はその番組を観ていた頃は二十歳代であったが、その10年後にその番組が撮影された場所の近くに住むことになるとは夢にも思わなかった。 アメリカ史上、エミー賞の最多記録となる作品賞を4回受賞するドラマなので当時のアメリカ全土で賞賛された番組でもある。 何故か理由はわからないが、約30年後の2014年になって初めて全編のDVDが発売されたので私は飛びついた。 私が見ていた関西テレビの日本語吹き替え版のDVDは手に入らないのであるが、英語のオリジナルのドラマを観て普通に理解できていることを観ている途中で気付いた。 勿論理解出来ないところもあるが、そういう時は少し巻き戻してTVのサブタイトル機能をONにすれば文字で理解できる。 私はこのドラマが好き過ぎて、ドラマの台本や登場人物のサインがしてある写真をオークションで買った。 嫁さんが言うには私はもう病気である。 一日の大半を英語で話す環境の私と違って、普通に日本で暮らして英語とは無関係な人達には気合を入れてDVDを観ないと話が判り辛いかもしれない。 DVDは映画館と違って好きなところで巻き戻しができるので、理解できない会話を巻き戻してサブタイトルを読む作業を繰り返して最後まで観たら、そのDVDの最終回になる頃にはかなり英語は上達していると思う。 こういうケースはこういう英語を使うのだと嫁さんと私が英語を覚えていったのはほとんどはドラマや映画からである。 英語が苦手な人には日本人のものをお勧めしたい。 ドラマではなく映画であるが、こういう時は小津安二郎の映画を是非観てほしい。 これは私の勝手な意見であるが、世界のオズを知らないと海外に行った時に恥じをかくかもしれないと思う。 グローバル企業に勤めていると各国の支店から集まった者達と顔を付き合わせて会議をすることが年に何回かあるのだが、その会議の後での食事会の話題の中で映画の話になることがあり、日本の映画では黒沢と小津の二つが必ず話題になる。 残念ながら世界の中で日本映画は超マイナーになるのであるが、黒沢と小津の両監督の映画は全く別である。 驚いたことに小津の映画の話題になると話したがる者が多いのが私にとっては驚きであった。 残念なことかどうかは判断し難いが、今までの中で一番小津映画の良さを語ったのはインド支店から来ていた40歳ぐらいのマネージャーであった。 一番にそういう映画には似合わないインドの人が私と同レベルで小津映画に詳しいとは... 私がドイツに出張した時も現地の社員と夕食の時に小津映画で盛り上がった。 ドイツ人エンジニアからThe Flavor of Green Tea Over Riceという言葉を聞いて、それが映画「お茶漬けの味」のことだと理解するのに10秒ほど時間がかかった。 信じられないかった、ほとんどが1950年の代の白黒映画なのに... やはり何と言っても小津の映画で一番世界で人気があるのは「東京物語」と「お茶漬けの味」である。 私はこの映画のオリジナルポスターを買いたいのであるが、小津の映画のポスターとなると黒沢のレベルの一つ上になり、前述したNYの専門店も常時置いているものでなく、オークションになる。 勿論、このレベルになると立派なアンティーク物になるのでポスター自体のコンディションによって落札価格は大きく異なるが、どんなレベルのものでも(致命的である折り目があっても)シカゴと関空を余裕で二回は往復できる金額を準備してオークションに臨まなければならない。 それほど小津の映画は世界中で愛されているのだ。 日本の”お父さん”を代表するような俳優を選ぶとしたら私は間違いなく笠智衆である。 私にとってこの俳優の持つ雰囲気、話し方は正しく日本のお父さんそのままである。 日本人の謙虚や奥深しい優しさなどの日本人の気質の全てが小津の映画の中に凝縮されている。 お父さん役の笠智衆がいい加減に”あ、そう”と頷くだけのセリフであっても、その後の無音の”音”が多くのものを語っているのである。 そういう無音の良さは日本人でしか理解できないものだと思っていたが、それは全く違っていた。 これから小津映画を観ようと思った人に推薦する映画を順番に以下にリストする。 私は引っ越しの荷物制限から小津映画のVHSビデオを全て実家に置いてきたのであるが、Schaumburgの図書館で小津映画の殆どを無料で借りることができた。 さすがに世界の小津である、そんなローカルな図書館でも小津の映画は置いてあるのだ。 1.東京物語 2.お茶漬の味 3.秋刀魚の味 4.早春 5.彼岸花 6.東京暮色 7.麦秋 8.晩春 9.秋日和 10. 小早川家の秋 長々と下らないことばかりを書いたが、この日記が少しでも快適に自宅で過ごす一つのアイデアになったら私は嬉しい。 ライフラインを維持する薬局やコンビニで働くエッセンシャルワーカーでない者達は不必要な外出してマスクの消費をしないことも立派な仕事だと私は思っている。 しっかり家の中にじっと居て、ウイルスに絶対に感染せずに他の者にうつさないことが非エッセンシャルワーカーの一番の大事な仕事である。 私も全く同じである。 不必要な外出で感染してしまい、病院で足らないICUのベッドを私が使わせてもらうような迷惑がかかる行為だけは絶対にしないのが私の仕事だと思っている。 現在は会社までの通勤時間を節約できているので、その時間を不要な外出に使うのではなく、見逃したTVドラマを観るのも一つのコロナウイルスと戦う方法ではないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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