わけのわからない日が続く シカゴ編

2020/05/18(月)07:02

ほそみち、自宅勤務なのに過労でダウン

"call in sick"は病気で会社や学校を休むというお決まりのセリフであるが、3日前はそれを使わざるをえなかった。 あの調子で仕事をしていたら身体の何処かが悲鳴を上げてダウンしてしまうことは最初から判っていたが、私の身体はどうにも止まらなくなっていた。 案の定、私の身体は疲労から熱が出てしまい、ダウンしてしまった。 いつも通りカウチで寝たが熱で身体の節々が痛いので最終的には二階のベッドで寝た。 風邪でもないし、勿論コロナウイルスでもない、単なる過度の疲労で身体の抵抗力が落ちたために熱が出ただけだ。 これはもう限界だという私の身体からのサイン。 こんなことは今までに何十回もあるので、対処方法も判っている。 嫁さんに電気毛布をベッドに敷いてもらってひたすら寝る、それだけだ。 手元にはポカリスエットを置くのは忘れない。 二階の寝室に行く前に仕事の関係者に少なくとも15時間はダウンするだろうというメッセージを送信し、テレワークのアプリのステータスを”Do not disturb”にしておくのを忘れない。 そうしないとPCからの呼び出し音がピーピーなってうるさくなる。 俺ってアホやなぁ... なぜ2日ぐらいはダウンすると言っておかなかったのだのだろう...と後になって後悔するが、ダウン寸前はそういう小さな嘘をつく元気も残っていないものである。 16時間ずっと死んだように寝ていたようだ。 びっしょり汗をかいていたが、熱は正常に戻っていた。 運悪く月一のお偉いさん達とのカンファレンスコールも欠席、予定していた実験も全て強制的にキャンセル。 顔は腫れているし、頭も70%ぐらいの正常値である。 こういう時は2日間ぐらいゆっくりしたいのだが、なぜか私はまたギリギリの線まで全力で走ってしまうんだなぁ... 先日の日記にも書いたが、私はずっと自宅勤務を守っているので私の代りに何人かの者達が私の代りにラボで実験をしてくれている。 こんなコロナウイルスの状況下で新製品を予定通り発売するなんて...延期するのが当たり前だろう!TV番組だって滞っているのに...と心の中では叫んでいるが、こういう時こそ俺の力を発揮させたい!と張り切る野郎が多く現れているのだ。 私は新製品の発売を予定通りに発売させるためにガタガタになった身体に鞭を打って働こうとしているのではない。 私が急にダウンしてしまったせいで、コロナウイルスの感染するリスクを負ってまで私の代りに出勤してラボで作業してくれている者達に無駄な時間と努力をさせてしまったからである。 私が二階の寝室から一階に降りて来て、コタツの上のPCを見たら、EメールやIM(インスタントメッセージ)はテンコ盛り。 Take care of yourself. Your health comes first! Feel better!などの私の身体を気遣うメッセージを沢山もらったのだが... プロジェクトチームメンバー達のステータスを見たら全員スタンバイ状態なのだ。 えっ? 皆、俺を待ってるの? 俺、少なくとも15時間はダウンするだろうというメッセージを送ったやろ! そうかぁ、あれから16時間経っているのか... 私の指示がなければ実験を始められないのでとりあえず私が回復するまで待っていたらしい。 彼らは私の身体の調子が良ければ、実験を始めたいが無理しなくてもいいと言う。 そりゃ、無理するわ! 私は取り敢えず皆に熱は下がったので、コーヒー一杯を飲んで頭を目覚めさすので10分待ってくれと伝え、カメラを切った。 嫁さんに作ってもらったサーモンの燻製入りのサンドイッチとGeishaコーヒーを飲む。 そして現場の最前線での仕事が始まる。 実際はコタツの上でだが... サーモンにはビタミンDが多く含まれており、外に出ない日が続くと不足するビタミンDを効果的に補足してくれるらしい。 私もこういう状況は何十回も経験があるが、アホは一生直らないのである、こういう時の脳は正常に働いていないので自分が最前線での仕事の指揮をとれるかどうかの判断も甘いのである。 そういうことをいつも忘れているのである。 そして今回も例外ではなかった。 私の馬鹿な指示で新製品から煙がモクモクと出てきたのである。 PCから聞こえる皆がワーと騒ぐ音を嫁さんが聴いて何が起きたのかと私の近くまで歩いてきてPCの画面を覗き込んだ。 「えっ、ほそみち、これ、あんたがやったん?アンタはいつもコタツの上でこちゃこちゃしてるけど、えらいことになってしまうやん!」なんて言うのだ。 「アンタ、ほんまに仕事してたんやなぁ...」 当たり前やろ! このコタツの上でちょっと動かした指で中国の工場やオランダの工場のメインの製造ラインが止まってしまい、何百人の工員さん達が何もすることがなくなることもあるのだが、そんなことがこのコタツの上で発生しているとは嫁さんには想像できなかったのだ。 幸いにもそういう事は起こっていないが... 今回は手のひらにすっぽり入るぐらいの大きさのポンプを回転させるテストを行ったのであるが、私が送信したデータはそのポンプが取り付けられているボックスの中に溶液が入っている時に回転させる力の値であり、そのボックスの中に溶液が入っていない時にその力で回転させると溶液の抵抗が無いので回転数は跳ね上がってしまい、モーターが焼き付いてしまったのだ。 普段の私なら絶対に行わないことであり、最初に必ず溶液が入っているかどうかを確かめる。 二台のPCの画面で実験の様子を全て把握している気でいたが、やはりテレワークはテレワークであり、目の前で自分が実験する時はもしかしたら発火したりして火傷するのではないかという緊張感があるが、コタツに足を突っ込んでの仕事となるとそういう肌で感じる緊張感が全く湧かないものである。 まぁこういうチョンボは日常茶飯事であり、馬鹿な実験でダメージを受けたユニットだけを交換する1時間弱を損しただけである。 ユニット交換終了の知らせが来るまで私はカメラをオフにし、もう一杯コーヒーを飲んでいる間に16時間寝ていた脳細胞がやっと起き出した感じになった。 その後の実験は順調に上手く行き、私が突然にダウンした分の半分以上は取り戻した。 サラリーマンの良いところは皆で神輿を担いでいる時に疲れたら気付かれないようにそっと力を抜いて神輿にぶら下がって休憩できるところである。 そういうサラリーマンの特権を何故いつも私はつかわないのだろうか考えてみたら当たり前のことだった。 そういうそういうサラリーマンの特権を使える生温い仕事なら私はわざわざ極寒のシカゴまでやって来ることはなかったからだ。 自分の実力が世界でどこまで通じるのかギリギリのところで勝負したいと思っていたんじゃないか...と初心を思い出したが、あの時は三十代であり、現在の還暦前のくたびれたオッサンではない。 還暦前のくたびれたオッサンがあれだけの熱を出し、それによって身体の節々が痛かった状態だったのに16時間後にもう最前線に戻っているのである。 今回は自分でも呆れてしまった。 テレワークで一番困るのは嫁さんである。 呼び出しによっていきなりPCのカメラがONになるのである、嫁さんが変な恰好をして家の中を歩いていたらカメラに写ってしまうのである。 そんなことは当たり前なので気にする必要は全くないと言っても嫁さんは私が仕事している間はなるべくPC周辺には近づかないようにしているのだ。 嫁さんは二階で一体何をしているのだろうと思ってこっそり二階に上がったら、華ちゃんと一緒に寝ていた。 華ちゃんが嫁さんのベッドを占領し、嫁さんは床に寝ているのである。 華ちゃんは我が家の嬢王様である。 私の足音に気付いた嫁さんはすぐに本を読んでいるフリをしたが、バレバレなのである。 まぁ家の中で大人しくしているので私は嫁さんが寝ていようとも何をしていようとも一向に構わないのだが... このところ私が一階を占領しているものだから、嫁さんも可哀想な境遇なのだ。 日本のネットニュースでは旦那さんが家で仕事するようになって夫婦仲が悪くなったというケースが多いらしく、嫁さんの親友も自宅で仕事するようになってから夫からのパワハラに悩まされると言う。 我が家ではそういうのが一切ない。 奥さん達は自宅で働く夫と会話する時間が多くあるから夫もつい余計なことを奥さんに言ってしまうのだろう。 それがパワハラだと勘違いしてしまうのだろうと私は思うのだが、私の場合はランチブレイクの時だけお互いの通信回線を切るので、その間だけは嫁さんと話す時間があるが、昼食を食べながら私はキーボードを叩いている。 今回のコロナウイルス騒ぎで自宅勤務になり、嫁さんは初めて私が真剣に仕事をしている姿を間近に見た。 私が同僚達と英語で真剣に仕事しているのを見たのも聞いたのも初めてだろう。 中々そういう機会は今までになった。 会社のオープンハウスで息子と嫁さんが小学生の時に私の仕事場に来たことがあるが、そういうのはイベントであり、今回の様に開発中の新製品から煙が出るような最前線の現場を嫁さんは見たことがない。 と言うよりも、社員でも限られた者達しか知らない世界である。 「息子達が話している完璧な英語に比べたらアンタの英語は滅茶苦茶下手やで!」と嫁さんはよく言うが、自宅勤務を始めてからの私が同僚のエンジニア達と話すギリギリの線での切った張ったの英語の会話の迫力は英会話教室でのものと違ってリアルな迫力があり、英語が下手だとかそういうもので我々は勝負していないことを嫁さんは今になってやっと理解したようだ。 No! Absolutely Not!とハッキリものを言う私に嫁さんは少々驚いていたようだ。 そうなんだよなぁ...職場だったら何でもハッキリものを言えるのだが、嫁さんの前で同じことが言えるだけの勇気のある夫じゃないんだよなぁ... ここ二ヵ月以上、社内のコロナ対策専門家からの指令でラボに入る人数が制限されている。 しかも社員同士顔を合わせないように行動範囲が申請して許可を得たエリアだけである。 だから私のプロジェクトメンバーも毎日ラボに入れるわけではないので、許可を得た日には出来る限りのことをやってしまいのは私も同じである。 だから10時間、12時間ぶっ続けになるのだ。 私の仕事の相棒のDaveはラボでの実験が終われば家に帰ってゆっくりできるが、私はそういうわけには行かないのだ。 ラボでの実験結果は私の開発したものの”ダメ出し”であり、Daveが翌日にラボの使用許可を得ていたなら私は翌日の朝の9時までにダメ出しされたところを修正し、翌日に彼が実験できるだけの準備をしておかなければならないのである。 朝の4時か5時辺りまで仕事をし、会社に仕上がったデータを送信し、シャワーを浴びて寝る頃には6時前になる。 その繰り返しを週に3~4回続けていたらダウンしたのだ。 今から考えたらよくここまでやれたなという感じである。 そして嫁さんが言うのである。 自宅勤務で過労でダウンするなんて、滅茶苦茶カッコ悪いやん! そんな人がこの世にいたんや...アンタ、ほんまに珍しい人やで! そうかぁ...私は珍しい人やったんや。 追記 [5/17/2020] ドクターに会うのとTarget内のドラッグストアCVSに薬を取りに行ったことを除けば二ヵ月以上ぶりに私は家から出て、嫁さんとウォーキングをした。 最初は室内のトレッドミルをやってたのだが、あれは私に会わないので5分ぐらいで止めたら、嫁さんに無理やり外へウォーキングに連れられた。 これは生意気なGちゃんが「オヤジをコタツの前ばかりに座らせずに運動させろ!」と何度も嫁さんに指示を送っているからでもある。 だから嫁さんはちゃんと言われた通りのGちゃんの指示をやったことを示すために私の写真を撮ってLineで送った。 嫁さんと私がウォーキング中にGちゃんからLINEに返事があり、また生意気なことを言ったのだ。 ”太陽が西から出てくる” あの小娘、また生意気なことを言いやがって!と嫁さんに言ってたら、嫁さんはよくこんな日本の諺をGちゃんが知っていたなぁなんて言うのである。 そんなことはないだろう、そのままの言葉ではないだろうが、同じ内容のものが中国語でも英語にもあるはずだと嫁さんに言ったら嫁さんが反論するのである。 南半球のオーストラリアやったら太陽は西から昇るんとちゃうの? 他の国ではそれが通用せえへんかもしれんで。 あかん、ここまで嫁さんがアホやったとは...ちゃんと大学まで出ているので普通の人並みの常識は持っている人だと思っていたが... いや、大学とかというレベルではなく、高校や中学のレベルの話じゃないか! 進学高校に行った嫁さんをそういう面では全然信用できない。 「アメリカでも日本でもオーストラリアでもコンパスの針は常に北極を向くんやで!何百年前の船乗りはそのコンパスを頼りに世界の海を航海してたんやぞ!北半球と南半球で方向が違ったら何処にもたどり着かへんわ!」と言ったら、さすがに嫁さんも直ぐにそれに気付き、トイレの水が流れる渦の方向と勘違いしていたと言うのだ。 確かに北半球と南半球ではトイレの水やバスタブで水を抜いたときの渦の回転方向は逆になる。 北半球の家にあるバスタブでは反時計回り、南半球の家にあるバスタブでは時計回りに渦が発生する...理論上では。 地球はが反時計回り(つまり西から東に)自転しているので人は太陽が東から西へと動いているように見えるのであるが、その地球が自転している力で場所によって渦の回転方向が逆になるのである。 しかし現実はそうはならない。 その力は非常に弱いのでバスタブの僅かな傾きなどの形によって渦の回転方向は決まる。 早い話が、隣の家のバスタブで発生する渦の回転方向が違っているかもしれない。 嫁さんはそういう時だけ「さすがにアンタはエンジニアだけあって、そういうことだけはよく知っているなぁ。」と言うのであるが、私がエンジニアであってもなかっても、中学をちゃんと卒業していたらそういうことは普通の人なら知っていて当然の話なのだ。 私は滋賀の田舎町からわざわざ極寒のシカゴまでやってきたのは世界各地で使わる製品を開発することであり、もし私はエンジニア達とのミィーティングで”オーストラリアでは太陽は西から昇る”なんて言ったら翌日に会社に来なくていいと言われるのは言うまでもない。 世界の全ての場所までとは言わないが、少なくともうちの会社の支店がある国の季節間の気温差や湿度、それに使用される電圧等の一般的なものは全て頭に入っており、そういう条件を全て考慮しないと世界各地で使用される製品なんか設計できないことを嫁さんは何も判っていないのだ。 なんて私は偉そうなことを言っているが、理系のものだけは知っているが、嫁さんが驚いてしまうようなことを知らなかったことは何度もある。 ただ今日は嫁さんは逆立ちしても製品開発のエンジニアには向いていないことが判っただけだ。 嫁さんも私もGちゃんが”陽が西から昇る”という日本語のプレーズをよく知っていたことに驚いた。 嫁さんはGちゃんは日本のTVドラマをよく観て日本語の勉強をしているから、ドラマの中で話さたプレーズを覚えていたのだと言うが、私はどこの国でも非常に珍しいことが起きたときなどに”陽が西から昇る”というプレーズをそれぞれの国の言葉で持っていると嫁さんに話した。 このブログの読者は私が正しいかどうか御存じだろうか? 私はGちゃんにそれを確かめるためにLINEで訊いてみた。 中国でも”陽が西から昇る”って使うの?って訊いたのだが、直ぐには返事が来なかったので多分すいう口語的な日本語は難しいのかも知れないと思ってPeople in China says the sun rises in the west when they express an impossible thing?と英語で訊いてみたら、Gちゃんから日本語で”その通りです”という返事が着た。 実際にGちゃんから着た言葉はこれである。 Gちゃん、日本語、まだまだやぁ...私も英語のことを言われると偉そうに言えないかもしれないが... 嫁さんはそういうところのGちゃんがイイと言うが... まぁ嫁さんはGちゃんには日本語でしか話さないし、Gちゃんはほぼ理解しているし、ここはアメリカなので日本語はそれで十分なのだが。 アメリカでも中国でもオーストラリアでも世界中何処でも毎朝太陽は東から昇り西に沈むのは不変なのでどの国でも同じ諺をそれぞれの国の言葉で持っているのだ。 ウォーキングから家に戻ってネットで調べたら日本や中国だけでなく他の国でも同じだった。 一年ほど前だろうか、Gちゃんが我々4人で話せるLINEのチャンネルを作り、それを”元気家族”という名前にした。 ”元気家族”のメンバーの内の誰かが具合が悪くなって寝込んでしまえば他の3人に心配をかけてしまう極悪人になってしまうのだ。 今回の私の様に仕事からの過労であっても皆にボロクソに言われ、外に歩きに行け!と命令されるのである。 過労や食べ過ぎ、飲みすぎ、それに運動不足といった本人がコントロール出来ることで病気になった時は周りの者を不幸にさせてしまう犯罪者扱いになるのだ、我が家では...

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