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カテゴリ:文学
竹 萩原朔太郎 詩集『月に吠える』より
光る地面に竹が生え、 青竹が生え、 地下には竹の根が生え、 根がしだいにほそらみ、 根の先より繊毛が生え、 かすかにけぶる繊毛が生え、 かすかにふるえ。 かたき地面に竹が生え、 地上にするどく竹が生え、 まつしぐらに竹が生え、 凍れる節節りんりんと、 青空のもとに竹が生え、 竹、竹、竹が生え。 解説を試みよう。 「生え、」の繰り返しは連用中止法。どこまでも竹が続いて生えているかの印象を与える。脚韻「え」。各行の末尾が「生え」で終わっているため、それ以外の「ほそらみ」 「ふるえ」が際立ってくる。「ほそらむ」は朔太郎の造語であろうか。意味は「ほそくなる」 作者、朔太郎の繊細な神経が「かすかにけぶる繊毛」に感じ取れる。地下では、繊細、かすかにふるえている有り様とは対照的なのが、「地上にするどく」「まつしぐらに」「凍れる節節りんりんと」などによって与えられる強いイメージ。どこまでも続く竹に、相反するものをもつ作者の姿をうつしだしたのかもしれない。 どのように音読すればよいだろう。詩人の佐々木幹郎氏によると、朔太郎自身の朗読の仕方は「ブッきらぼうな、息を継ぐたびに途切れさすような詠み方(国文学34巻)」であったという。第一連に病的な朔太郎を投影させるとすれば、ゆっくりと、たどたどしく、ぶっきらぼうに読みたいところ。不安で弱々しく、それでいて細やかで、いきとどいているかのように。五音、七音、五音のまとまりで間をあけたい。朔太郎自身の言葉で言えば、「リズム本位」。 第2蓮では第一連と変わって力強く、たくましく凛として屹立する竹をイメージして音読してみてはどうであろうか。 Nintendo(任天堂) マリオカート7 【3DSゲームソフト】 マリオカート7 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月03日 00時34分27秒
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