『MAJOR』キャラクター感想・その2
清水薫について
メインヒロイン。
小学4年生の時、クラスメイトになった吾郎くんの影響で
ルールもよく知らなかった野球を始め、
それ以来、中学~大学までずっとソフトボールに青春を費やします。
その間、無謀ともとれる挑戦を繰り返す吾郎くんを
陰ひなたに応援し続け、
出会いから丁度10年目の大学1年の冬に、恋人に。
その後、メジャーリーグで活躍する吾郎くんと
数年(5~6年?)の遠恋期間を経て、結婚&渡米。
女の子と男の子の二子を設け、
最終回では、左肩の故障により
メジャーを引退&日本に帰国した吾郎くんの野手転向と、
円満家庭を支え続けています。
吾郎くんも衝撃的な主人公でしたが、
それと同じくらい・・・いや、正直、それ以上かもしれない、
衝撃的なヒロインでした。この清水ちゃん。
描かれ方ですね。
作品後半における、清水ちゃんの描かれ方を確認して
安心してから、この作品を購入し始めました。
特に、何が凄いとか、特別な子じゃない。
小学生の頃から学級委員をやったり、
真面目な家庭&かなりの優等生気質な子
・・・というのは描かれていましたが、
特別に美人だったり、何かの才能があったりするわけじゃない、
「普通の子」の域は決して出ない子です。
転校をコロコロ繰り返しては、野球での挑戦に全てをかけ、
果ては高卒即渡米&米プロ野球界に殴りこんでしまうという
誰も真似できない、道なき道を突き進む吾郎くんに対して、
公立の小~中学校を経て、
偏差値が高めの私立高校・四年制女子大学に順調に進学&卒業する・・・
「普通の優等生の女の子」です。
この子の人生が、吾郎くんの人生と
どこまでも対等なのが・・・凄いんですよ!
なんでこのバランスを保てるのかな。
ヒーローの方が本当に特別な存在なので、
「普通な」ヒロインなんて、都合のいいように動かせばいいじゃん
・・・って、なりそうで・・・ならない。
出会いのシーンのインパクトが、
その対等性を無視できなくしてくれたのかな。
この子を置いていった時点で、
読者の目線を置いていくのと同じこと・・・なんじゃないかなぁ、
なんて思います。
分かりませんが。
少なくとも私にとっては、この作品を読み進めて行く中で、
清水ちゃんの目線というのは、本当に比重が高かったです。
・・・吾郎くんには、最初からなれません。
別に、野球好きでもありませんし。
でも清水ちゃん。
この子が居てくれるから、この子の目線で、
野球に興味を持ち、
吾郎くんを追っかけながら読むことができる・・・そんな感じ。
いっつもいっつも置いてかれては、
その背中に追いつけなくとも、
なんとかギリギリ「観える位置」に居続けた清水ちゃんが、
本当にこれはもう・・・観えなくなっちゃうな、と諦めかけたのが
渡米1年目・マイナーリーグで結果を残した吾郎くんが帰国した時でした。
ここで本当に諦められちゃうから、このキャラクターは凄いんですよね。
全部が全部、ヒーローに付き合いきれない部分がある。
無理なものは無理、自分のバランスが崩れちゃう、
そう思える・・・強さがある。
この段階での清水ちゃんの焦りと諦めを、
吾郎くんが超敏感に感じ取って、
読者驚愕の突然展開で恋人になりましたが・・・。
作品が終わってから冷静に考えると、
吾郎くん的には、まだメジャー確定前とはいえ
アメリカ野球界でもやっていけるという手ごたえを得ることが出来た後、
清水ちゃん的には、
ワールドカップで吾郎くんが
世界的に注目を集める選手にのし上がる直前、
・・・ここしか、
お互いに躊躇や遠慮なく恋人になれるタイミングはなかったな、
って分かるのが恐ろしいところです;
ここのエピソードの詰め方が大好きです。
ワールドカップへと吾郎くんの気を向けつつ、
清水ちゃんの焦りが、きちんと伝わり、
そこからの吾郎くんの潔さ・行動力の高さが
どの要素も本当にしっかり落ちて来て。
清水ちゃんが、ソフトボールをずっとやり続けたことで、
各ステージにおいてゲスト?ともとれる別のヒロインを
投入したりもしています。
聖秀編なんかが分かりやすいですね。
普通なら清水ちゃんを野球部のマネージャーにしたくなるところを、
出番も少なくなるのに、あえて・・・。
・・・こういった天才ヒーローに偏った作品で、
ここまでして、ヒロインの立ち位置にこだわるという姿勢が
感動だったんですよ。
だからこそ、大河ドラマとしてこの子の人生が映えるんだろうなぁ・・・。
結婚云々の話が出て来た時や、結婚後の描写も、
清水ちゃんが本当の本当に、
自身の幸せを考え、人生を選べているのが分かるからこそ
グッと来るんですよね。
そんじょそこらの、
お前にはそれしかねーのか、と突っ込みたくなる
馬鹿そうというか、主体性のない少年漫画ヒロインたちと
格が違うというか。
えっと・・・やっぱり上手く書けないな。
イイ子ですよね・・・清水ちゃん。ホントに。
特に「男のロマン」みたいな、女の子じゃないんですよ。
夢見てんじゃねーぞ、とツッコミたくなる美少女幼なじみじゃない。
付き合ってるのがステイタスになる彼女って存在でもない。
少年漫画的に、天才ヒーローの相手役なら、
もうちょっと夢見てもいいんじゃないか、という意見も分かります。
・・・ただ、
これは大人目線になっちゃうかもしれませんが、
・・・結婚するなら、絶対にこういう子がイイ!
そういう子なんです。
賢くて明るくて、気遣い屋ですが自分をしっかり持ってて、
・・・この子を奥さんにしたら、
生活サイクル・家庭内関係・親戚関係・友人関係、
近所付き合いから子どもの学校関係まで・・・絶対にオール円満です。
メジャーという作品を最後まで読む&アニメを観ると、心底思うんです。
・・・こんな奥さんが欲しい!!
・・・茂野吾郎、本っっ当に羨ましい!!
最後、ヒーロー&ヒロインが結婚する漫画は
少年漫画・少女漫画通して別に珍しくありませんが、
ここまで強烈に「羨ましい!!」と思ったのは初めてです。
恋愛関係と結婚が、これほど分けた次元で描かれている、
それだけの立体感がある作品からこそ、っていうのが大きいですね。
というわけで・・・えっと。
とにかく、私にとっては、
メジャーという作品において、
茂野吾郎というヒーローが強烈な光だとするなら、
その立体感を維持し続け、安心して観ていられる存在にしてくれる「影」・・・
それがこのヒロイン・清水ちゃんです。
登場する度に、
「吾郎くんに対して、
『普通の感覚で』今度は何を言ってくれるんだろう!」
というわくわくが常にありました。
この子が居なかったら、私はこの作品・・・読めなかっただろうな。
読者として感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとう清水ちゃん!
もうホント、ずっと幸せで居て!お願いします!
私的「少年漫画ヒロインBEST1」かもしれません;;
by姉