おはようございます。
・・・言いたいことがいっぱいあり過ぎますが、
思いつくままに叫びます。
少女漫画感想
『暁のヨナ 16巻』ーその1
*以下、コミック最新巻のネタばれあり感想です。お気をつけて!*
水の部族で横行していた、麻薬・ナダイ。
それを持ち込んだ闇商人・ヒヨウは、隣国・南戒の船団を呼び寄せ、
港町の武力制圧にかかってきた。
腹減り一行はそれと対峙し・・・水の部族編、完結!
・・・が表向きなお話筋ですが、
基本的にはナダイとかヒヨウとか・・・結構どうでもいい。
ハクさんとスウォンさんの邂逅
・・・これが、今巻の一番本題です。
作品全体を観ても、ターニングポイントであることは間違いないでしょうし、
・・・ここで、『物語の折り返し』とも言えるのかもしれません。
何度も何度も同じことを書きますが、
この作品、読解がかなり難しい少女漫画です。
作品をいちばん動かす主観は、ヨナちゃんという「少女の視座」。
間違うことなき「少女漫画」なのですが、
投入される要素や、各エピソードの持つ意味・影響力を推し量る・・・
周囲のキャラクターの心情読解に「大人の社会的視野」が必要です。
立場ある大人が大勢登場しますので。
更に、それに付けくわえてファンタジー設定が大真面目に登場するため、
その設定をどう位置付けるか・・・
既存他作品を知っていると、逆に捉え方が難しくなる面もあると思います。
今巻・16巻に関しては、
おそらく・・・一生懸命読んでいた方でも、
ハクさんのリアクションの大きさに驚いた方も大勢いるんじゃないかな、と。
ただお話の流れ的には、四龍を集め終えて、11巻の頭から。
ここから、今回のシーンに向けて着実に構成されていたんだな、と
認識しています。
主には、
★過去話の投入で、ハクさんとスウォンさんの関係を定義
その後の、
★ヨナちゃんの持っているかんざしの再認識
★スウォン新政権が表立った行動をし始めたこと
★水の部族編における、ヨナちゃんのケガ
★スウォンさんとの邂逅
・・・の5点かな。
要は、11巻からのエピソード大筋が
ハクさんに精神的負担がかかるよう、追い詰めるように
作られてると思います。
(もちろん、国内情勢を大きく動かす、
水の部族を描く、という目的もある中で。)
しかし、よく考えればこのお話構成、
「少女の視座・視野」だけじゃ捉えられないなぁ、とも思います。
13巻の、戦場で将軍たち&スウォンさんが並んでいる・・・
あの絵ヅラ。
アレ観て、誰が一番ショックかって・・・ハクさんに決まってるんです。
ジュド将軍やグンテ将軍なんかよりずっと、
あの場・スウォンさんの隣に居たかったでしょうから。
そもそもハクさんって・・・若干16か?そこらで
将軍職を継ぐような・・・
エリートなんて言葉では到底表現しきれない立場の人間だったわけで。
現代日本で言えば、
内閣の大臣(世襲が主とはいえ、かなりの要職)に一人、
男子高生が任命されたけど
周囲・国内の人々ともども、「コイツは天才だから」って
納得して押し黙っちゃうような、
しかも羨ましがるような状況でしょうか。
こんだけ認められてた人が、
国王・姫殺害の汚名まで着せられ
家族とも縁を切らざるをえなくなった状態で
社会的に抹殺されてるんですから、、
そりゃこの先、
自分の能力の活かし場所なんて思いつきもしませんし、
・・・普通に考えたら、死にたくなりますよ。
この、「普通に」の部分を、ハクさんというキャラクターは
はっきり言語化したり、表に出したりしません。
というより、自分自身の立ち位置についてあまりに無頓着すぎて
本人自体おそらく意識できていません。
けれども、国の役職設定・各部族との絡みの数々は
完全にこのハクさんの意識のミスマッチ・不自然さを強調するように
練り込んでありますし、
この違和感こそが、
暁のヨナという作品を集約させる・・・
言ってしまえばヨナちゃんが
立ち上がり、剣を持ち、仲間を集め・・・
やがては社会に影響を及ぼすようになる(?)過程での
一番の動機づけだと思います。
少女漫画のくせに、この「明言されない」動機づけって、
ある程度の「社会的視野」でもって推し量らなければ、
理解できない、という作りなんです。
どちらかと言うと、この設定・・・
男性や、社会人経験のある大人女性には、すっと入って来るはずです。
しかし、女子高生・中学生の読者たちに
この出し方して、
全員が全員に「分かるでしょ?」って言っても・・・
難しいとこだと思うんですよ。
パッと観の印象や投入する要素が
あきらかに、「中二病全開の少女ファンタジー!」って感じのくせに。
この漫画、ターゲット・・・誰???って感じなんです。
えっと・・・つまり。
作品を回す、この動機づけの部分が、
16巻にしてようやく・・・
11巻から6巻分もかけてエピソードを重ね倒して、ようやく
作中の人物たち及び読者の「誰にでも理解できる」次元で
顕在化したのかなぁ、と。
端的に言えば、「ハクさん、これ社会的・精神的にヤバい。」
ヨナちゃんは、当然分かってました。
・・・というより、ハクさんのこの部分を掴んでいたからこその
これまでの行動です。
11巻の出だし、ハクさんの表情が一瞬曇ったその瞬間も掴んで、
そこからは、ずーーっっと表情をうかがって、心配してます。
ヨナちゃんって、自分では「世間知らず」って言いますけど、
やはり「宮廷社会」で育った分・・・
社会的な感性がすごくあると思うんですよ。
またそれに加えて、対峙する人間の気質・本質を感覚的に捉えるので
コミュニティや人に対して、すごく理解力がある娘です。
字数制限に引っ掛かりました;その2に続く!
by姉