松本清張作品を読み始めました。
おはようございます。姉の方です。突然・・・松本清張作品を読み始めました!というのも、SMAPドラマの鑑賞をぼちぼち続ける中で、中居くん主演のTBSドラマ「砂の器」(2004年)に行き当たりまして。2話くらいまで観たのですが、「これは原作を読んでから、変更点を見比べながら観た方が面白いだろう」と判断し、ドラマ鑑賞を中断して、原作の文庫(上下巻)を購入していたのですが・・・なかなか手がつかず、放っておいてまして。今回、何気にその文庫に手を出したところ、次にドラマ版を見比べに行くかと思いきや、松本清張の他作品の方に興味が行っちゃいまして。『砂の器』(上下巻・昭和36年)『点と線』(昭和33年)『ゼロの焦点』(昭和34年)ここ1週間くらいで、文庫本4冊を駆け抜けてしまいました。いや・・・面白い・・・!!とにかく驚いたのが、「読みやすさ」です。上に書いた通り、今から60年とか前の作品なんですよ。なのに、ほぼほぼノーストレスで、ぐんぐん読み進めることが出来ました。これは松本清張さんの、「一般大衆、その隅々まで」を意識した優れた文章力のおかげとしか言いようがないと思います。情景描写はもちろん、「常識」もことごとく説明をしてくれるんです。「これは分かり切ってるよね」っていう、「読者の常識」に甘えた書き方が一切ない。これは、松本清張さんが元朝日新聞記者というのを観て、すごく納得しました。場面展開や作中で出てくる新しい概念に対して、「どんな場所に住む、どんな人でも理解できるように」、5W2Hを絶対に忘れないんです。あぁ、これが新聞で物事を説明することを、常に考えている人の文章かぁ・・・と。作中で度々列車の描写がありますが、この当時まだ新幹線がないんですよ。夜行列車なんですよ。(初新幹線は、昭和39年)『点と線』では青函連絡船が出てきますが、当時はまだ青函トンネルの着工すらしていない頃です。↑この辺はちゃんと説明をしてくれないと、私は読めません。 「常識」って一番残らないので。最近本当にそれを感じます。半世紀以上後になっても、今私がこうしてするすると読めるというのは本当に凄いことだな、凄い文章能力だな、と思います。あとは、一主観がぐいぐいと不可思議な事件の核心に迫っていく中で、鮮やかになっていく、一人の人物像。私が読んだ3作品の中では、それはいずれも「犯人像」なのですが、この「犯人像」の、魅力の掴みどころがまたすごく面白いです。魅力的。戦後の20年間という、時代の一大変革期において、その中だからこそ生まれる「社会的地位を飛び越える」個人の変貌・大成と、そこにまとわりつく苦悩が、とにかく鮮やかです。文庫の著者解説・松本清張さんの説明には、「社会派」という文言がありましたが、すごくしっくり来ました。「社会の描写」から、個人をあぶり出していく感じ・・・というか。私の好みドストライクでした。松本清張さんの他作品には、歴史ものもたくさんあるようなので、そちらも手を出していきたいです。あと、『砂の器』のドラマもちゃんと観なきゃ。小説は、蒲田駅で起きた殺人事件を、主人公の刑事がひたすら追う物語でしたが、ドラマは、最初から犯人(中居くん)目線で始まっていました。登場人物たちも、犯人誤認の為のひっかけ的な描き方から、犯人像をより鮮やかに描写するための役割に設定変更していそうな感じでしょうか。うん。アイドルドラマとして妥当だし、面白そう。楽しみです。by姉