ヒネモスイクジ

彼の名前はくるまし。０歳９ヶ月。


今日もまたおかあさんの目の届く範囲で、幾十度目かの家宅捜索に余念がない。


彼の移動の手段は以下の３つ。

・ハイハイ（わりと早い）

・伝い歩き（おぼつかない）

・抱っこ（おかあさん）


３番目については希望目的地に到達しないことが多いため

あくまで緊急時の手段（親族の証言による）である。



今日の捜査は、昨日行われたおかあさんの衣替えに伴う

おもちゃ箱等配置換えの後検証。


透けて見えるポリプロピレンの箱であるにもかかわらず

手に取れないもどかしさか。

昇華させるべく、くるまし刑事、

おもちゃ箱に口唇をフルに使ってアピールするも

全く反応なし。


「ふぅぅぅん　うぅぅぅぅ　まぁんまぁ　あんぁぁ」

スウィートなハイトーンヴォイスでおかあさんを呼びつけ

箱を開けてもらう。


見慣れたおもちゃにひと安心のくるまし刑事。

ひと通り軽く味見を終えたところで睡魔に襲われる。

午前の部、終了。




お昼寝終了後、ミルキィなママの味もそこそこに

トマトステューを作るおかあさんの足元に本部を置き

午後の捜査活動開始。


開始直後、くるまし刑事自身が異臭を放つ不審物を所持している疑い（おむつ内）で

風呂場へ強制連行されるというアクシデント。

尻をまるっと洗われる。


心なしかスッキリした表情で捜査に戻る刑事。

午後は主にトイレ洗面方面、水まわり中心で活動のため

たびたびおかあさんによる制止が入り、中断を余儀なくされる。


しかし重要なポイントを抑えるところはさすがの新人。

お料理本はすべて本棚から引き摺り下ろして点検点呼。

すべてのコンセントは触診。

ぽろっと落ちていたみじん切りの玉ねぎを口に含み、にごり顔を一発。

そして洗面台前のこども用踏み台に手を付き、高速で腰を上下させる

お決まりの笑われ行為を披露したところで

捜査に飽き、ぐずる。



おやつ後、お散歩。

愛車で町内をパトローる。良くも悪くも異常なし。

あえていうならお隣さんのぎんなんがぽろぽろ落ちてるあたり。

おかあさんが泣きそうだったので（異臭）、危険箇所に指定。


１５時にたんまし警部、幼稚園より帰宅。

極めてご機嫌麗しく、遊びに遊ばれて、泣きを見る。

（顔をむにむにされて後ろへ転倒。たまたま転がっていた水筒に後頭部直撃。）


直後、りんまし警部補も帰宅し、好奇心を満足させるには事欠かないエブリディ。

３人で姦しく遊ぶ。



新人刑事の捜査はこうして

毎日毎日しつこく続く。




もう勘弁してくれなんて言わないよ絶対。