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テーマ:世界の中の日本(546)
カテゴリ:「個」「孤独」「群」「共同体」
いまから、ちょうど一年前の7月13日。東京・青山の国連大学前に、クルド人難民2家族が座り込みを始めた。
その後、72日間に渡り座り込みをし。今年の1月17日には、この座り込みをしたクルド人難民のうち、2人が強制送還されたりした。 このブログでも、この件について何回かとりあげたのだが。けっこう反響が大きく。かなりのアクセスがあった。(まあ、特定の人が何回も何回もアクセスしているというケースもありましたが) 詳細については、過去の日記などを読んでもらうことにして。 一年目を節目としてか、クルド人難民の座り込みをまとめた本が発売されている。 「難民を追いつめる国」という本だ。 この本は、クルド人難民2家族の活動の記録と共に。支援活動をしている人たちの活動記録ともいえる。 いや、クルド人難民というより、支援活動をしている人たちの記録の要素が大きい気がする。 一年前には、何も知らなかったずぶの素人が、たまたま知ったクルド難民の問題と直面し、急激に支援活動を始める。まあ、中には、いろんな活動経験のある人もいたようだが、あくまでも、素人集団として支援活動を開始している。 それだけに、ノウハウもない人が、ぶつかる問題が書かれている。 ところどころ、ちょっと一方的な書き方と思える記述があるのは、この手の本のご愛敬ということだろうか。 たとえば、経験者が反対したことで、支援会の発足が一度は幻となった事が書かれているが。そのとき、経験者が、なぜ、どのように反対したのかが書かれていない。 このエピソードの面白いところは、なぜ、どのように反対したのかが、記入されていないということで、活動するグループ内での、情報の共有化の難しさを感じるところだ。 おそらく、この文章を書いた人は、未だに、この経験者が反対した理由を理解していないのだと考えられる。だから、書くことが出来ない。 経験者が、経験していない人に対し、自らの経験を伝えようとしても、なかなか伝わらない現実がそこにある。 初めての経験にもかかわらず、早く結果を残さないといけない状況など、頭がパンクしそうな状態では、人の事など聞けない事もあるだろうし。経験者は、経験者にしかわからない言い方をしてしまいがちでもある。 このあたりも、いろんな人が参加するプロジェクトや、コミュニティを立ち上げる時などでは、よくあるトラブルと言えよう。 とはいえ、まあ、よく、素人集団でここまで活動出来たのだと感心してしまう。 もちろん、当事者であるクルド人難民の2家族にとって、普通に暮らせる状態が得られたのかというと疑問だし。本当にやったことがよかったのかどうかも微妙で、成果は出たのかも疑問だ。 だからこそ、記録され、まとめられた事に意味があるのかもしれない。 本が出来、多くの人に読まれることは、ひとつの成果物である。 成果が出たかわからないからこそ、成果を出してみることが、大切だったのかも知れない。 難民を追いつめる国 クルド難民座り込みが訴えたもの 著者: クルド人難民二家族を支援する会 出版社:緑風出版 ISBN:4846105113 サイズ:単行本 / 233p 発行年月: 2005年 07月 本体価格:1,700円 (税込:1,785円) 関連ページ ・国連大学前のクルド人 2004年07月26日 ・緊急情報 国連前のクルド人強制排除 2004年08月24日 ・2歳児含むクルド人親子入管に捕まる! 2004年09月01日 ・21日7時30分国連大学側の座り込み難民撤去が始まりました 2004年09月21日 ・国連前のクルド人退去 2004年09月23日 ・クルド難民が強制送還 2005年01月19日 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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