カテゴリ:映画・ドラマ関連
わたしの知らなかった人でした。 “ビル・カニンガム” という人物のドキュメンタリー映画を観ました。
この人はニューヨーク・タイムズ紙のファッション・コラム「ON THE STREET」と社交コラム「EVENING HOURS」を長年担当してきて、両コラムともに人気を博してきたのだとのこと。 “ビル・カニンガム” 、ニューヨークの名物フォトグラファーです。 この映画を観ると、この人は終始ニューヨークの街角を自転車で走り回り、50年以上にもわたってファッショントレンドを切り撮ってきたカメラマン、と言ってもパパラッチなんかとは全く違うニューヨークを代表するファッション・フォトグラファーです。 つまり “ストリート・ファッション・スナップ” のフォトグラファーなのである。 ところがその彼自身やプライベートな部分については全く謎につつまれていて、彼の実像を知る人はほとんどいないということです。 そんな彼をドキュメントしようとこの映画がつくられたということですが、彼の取材許可を得る交渉に8年もかかり、密着取材と編集に2年がかかるという膨大な時間が費やされて、この映画が完成したそうである。 そこに描かれている彼の私生活は、何とも信じられないほどシンプルというか質素で悲しいくらいです。 住んでいるところは、カーネギーホールの上のスタジオアパートの小さな一室、トイレもシャワーも共同でその部屋にはキッチンもクローゼットも無く簡単なベッドが置いてあるだけ。そんな部屋で目立つのは、過去に撮影してきたネガフィルムが納めてあるキャビネットがあるのが唯一の特徴となっている。 自身はファッション・フォトグラファーであるにもかかわらず、身なりは一切構わずいつもお決まりのブルーの作業着姿で、雨の日に被る上っ張りは安物のポンチョで、あちこち破れたところをテープで繕って新しいものを買おうとしない。 この人には欲というものが全くなく、仕事以外の事にはまったく興味を示さない、自分でも言うように「頭の中はいつもファッションの事だけでいっぱい」なんだそうである。 食べるものにも興味はなく、「コーヒーは安ければ安いほど美味しいのだ」と言い切ってしまうほどである。 2008年にフランス文化省から “芸術文化勲章オフィシエ” を受勲した時のパーティーで、「私のしていることは仕事ではなく単に私の喜びなんだ」と挨拶したビル・カニンガム。その言葉通り、彼の写真には悪意などは微塵もなく、常に優しい目が被写体に向いているのです。 ことファッションに関しては厳しい目を持っていて、その鑑識眼とセンスには “ブレ” というものが全くないのが不思議なくらいであった。 そんな彼をこのドキュメンタリーの中では、アナ・ウィンタースをはじめ業界の人たちが言葉は違えども、一様に絶賛していたのは印象的でありました。 このような生き様もあるのだと…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.09.02 05:56:11
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