先日、村上春樹さんの古い長編『海辺のカフカ』を読んでいて、“シューベルトのピアノソナタ17番ニ長調” のことを書きましたが、その続編です。
村上春樹さんはこの楽曲のことを相当お気に召していらっしゃるようで、ほかの著書にもこの楽曲のことは書かれているようです。
このピアノソナタは、専門家である評論家やピアニストなどから、どちらかというと避けられてきた楽曲だそうである。つまりあまり評判のいい曲ではなく、完成度の点でも他のピアノソナタと比べてかなり落ちるとの評価がなされているのです。
ということはこの “シューベルトのピアノソナタ17番ニ長調” をレコーディングしたアーティストはとても少ないということになる。
そんな評判の良くない出来の悪い楽曲を村上春樹さんはなぜか気に入っていて、なんと15人ものピアニストがレコーディングしたものを揃えていて聴き比べてきたのだということです。
村上春樹さんがジャズやクラシック音楽に造詣が深いということは知っておりましたが、この “シューベルトのピアノソナタ17番ニ長調” へのこだわり様には驚かされました。
わたしもこのピアノソナタは、YouTubeで何度か繰り返し聴かせてもらった。一般的に言われているように難しそうだけれど、なんだか冗長で40分近くもあるピアノソナタにしては大曲になっているのですが、名曲ということはできないように私も思う。
村上春樹さん、面白い感覚の持主である。まだもう少し他の著作も読むことにする。