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2005年01月13日
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今回は、高いROEを稼ぎ出す企業への投資がどのくらい成功するかについてです。

まず、機械的投資の観点で見たROEの有効性についての検証結果を述べたいと思います。(これらの検証結果は、機械的投資に関する諸文献のほか「EBIのすすめ-KAPPA投資研究会-」などでも確認できます。)

日本においては、ROEが高い銘柄群への投資は平均すると市場インデックスをややアウトパフォームするものの、それほど高い率でアウトパフォームするわけではなく、少なくともPERやPBRなどのいわゆる「バリュー系指標」などと比較すると、有意な指標であるとは言い難いことが確認されています。さらに、米国においてもROEは有意な指標でないことが確認されています。

しかも、ROEの高い銘柄群というのは、それに属するごく一部の銘柄(「超成長株」と呼ばれる銘柄)が抜群に高い投資リターンを稼ぎ出していることを考えると、それを除いた平均は機械的投資が示す結果に比べてとてつもなく低いパフォーマンスになるということが簡単に予想できます。

過去において、ROEが最も高い銘柄群で最高のパフォーマンスを示した「超成長株」の事例として、アメリカだと「マイクロソフト」のような銘柄が挙げられますし、日本だと「セブンイレブン」のような銘柄が挙げられるかと思います。

機械的投資の結果(高ROEに属する銘柄群全体への投資はそれほど有意に高いリターンをもたらさないこと)、および、ごく少数の成功した銘柄群が高ROE群に入っていることを考えると、「多くの場合、ROEが高い銘柄への投資は失敗に終わる可能性が高い」と結論付けることが出来ます。

ROEだけを頼りに投資判断をするまずさは以下の3点にあると思います。(3.については、次回とりあげます。)

1.ROEが高い銘柄群は全体的にPBRが高い傾向がある
2.ROEは企業間競争により平均回帰する傾向がある
3.レバレッジの高さからROEが高くなっている可能性がある


1.ROEが高い銘柄群は全体的にPBRが高い傾向がある

前回にも述べましたが、大まかには「高ROE=高PBR、低ROE=低PBR」という傾向があります。もちろん、ROEの高さに見合う程度のPBRの高さであれば問題ないのですが、そうでない可能性もあります。

実際、「PBRが高い銘柄群を平均すると市場インデックスにアンダーパフォームする」という機械的投資の検証結果から、ROEが高い銘柄群は妥当な水準よりも過大に評価されている可能性が高いと考えられます。

もちろん、ROEという指標そのものは株価に関する要素がないので、必ずしも「ROEが高い=PBRが高い」といえない銘柄もあります。現実の市場において個別銘柄ベースで見ていくと、ROEが高い銘柄でも市場参加者の判断ミスで驚くほどPBRが低くなっている場合もあります。このようなタイミングでROEが高い銘柄に投資した場合のリターンは大きくなるでしょう。

また、ROEもPBRも共に高い銘柄であっても、市場参加者の期待以上に成長を遂げる銘柄(超成長株)もごく一部ながら存在します。このような銘柄に投資できた場合もまたリターンは大きくなります。しかし、そのような銘柄は例外中の例外であるということを知っておかなければなりません。

したがって、「ROEが高い銘柄群は妥当な水準よりも過大に評価されている可能性が高く、その結果、パフォーマンスは芳しくない」ということが言えます。

ROEが高い銘柄への投資で成功するためには、「市場のミスで驚くほど割安に購入できるチャンスを待つこと」か「ごく一部の超成長株を探すこと」が条件となります。


2.ROEは企業間競争により平均回帰する傾向がある

もう一つ考えるべきは、現時点においてROEが高い企業(低い企業)は、将来において平均回帰する傾向があることについてです。

資本利益率が高い事業は「魅力的な事業である」という理由から、多く新規参入者をもたらし、企業間競争が発生します。そして、そのような競争を跳ね返せるだけの独自性(ビジネス・フランチャイズ)を持っていない限り、そうした競争を経て資本利益率が落ちるのはごく当然のことです。

そして、高い資本利益率を維持して成長し続けることができる超成長株がごく一部であるという事実は、各企業が持っているビジネス・フランチャイズは市場関係者が想定しているよりも頑健ではないことを意味します。

もちろん、逆も然りです。資本利益率が低い事業は「魅力的な事業でない」という理由から、競合他社の一部が撤退するという事態が起こります。そうすると競争が少なくなり「残存者利益」が転がりこんでくることで資本利益率が向上します。

このような「ROEの平均回帰」が実際に起こっていることを確認した研究もあります。(米国の事例については、「企業分析入門 第2版」<東大出版会>などを参照。)

すなわち、強固なビジネス・フランチャイズを持たない企業が稼ぎ出す一時的に高いROEは、後に起こる企業間競争で平均回帰する過程でネガティブなサプライズ(思っていたよりも魅力的でないという判断)が起こり、投資リターンも低下するという可能性を引き起こします。

逆に、低いROE銘柄は、平均回帰によりROEが上昇する過程でポジティブなサプライズ(思っていたよりも悪くないという判断)が起こり、投資リターンも上昇する可能性を引き起こします。

現状のROEの高さを基準に将来の超成長株を見つけるためには、今後もそうした高いROEを維持できると判断するに足るビジネス・フランチャイズを持っているかどうかを見極める必要があるといえます。もちろん、「割高でない」ことも重要です。

すなわち、成長株投資に関しては、「ROEの高さは分析のスタート地点であり、ゴールではない」ということです。

次回は、「資本政策によるROEの向上策」についてです。

今日の言葉:
「人々は良くほうにも悪いほうも過剰反応をする。そこに超過リターンをとるチャンスがある。」





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最終更新日  2005年01月13日 02時56分06秒
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