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またも、新参バリュー投資家には耳の痛い話かも知れません。
最近、「バリュー投資を実践している人が増えている」という話があちこちで見受けられます。これに関する私の見解ですが、バリュー投資を実践している人の「絶対数」が増えているだけであって、それ以外の投資手法(テクニカルとかデイ・トレード)を実践している人もそれ以上に増えているので、「相対的な割合」では増えていないというものです。 実際、書店を見てもバリュー投資関連の本よりもテクニカル関連の本とかデイ・トレード関連の本のほうが圧倒的多数を占めています。出版社もビジネスですから、売れる本を出さなければならないという事情があります。 当然、多くの人が手を出したいと考えている投資手法をベースとした本が必然的に多くなります。そう考えると、バリュー投資よりもテクニカルとかデイ・トレードのほうが圧倒的に人気が高いと考えるのが自然だと思います。 あと、バリュー投資を実践する人が多少増えたところで市場を効率的にならしめるくらいの影響力はないと考えています。局所的に価格が価値に収束する銘柄が増える可能性が高くなるとはいえ、最近のバリュー銘柄が上昇している主な要因は、「市場の効率性」ではなくて「相場の堅調さ」がもたらしているのだと思います。 したがって、「バリュー投資を実践している人が増えている」という点に関する私の見解は「株式市場が堅調なゆえにそれに伴い市場参加者も増え、バリュー投資を実践する人もその中にはいる。」という単純なものです。 あと、「バリュー投資批判」なるものも出てきています。それは、全くの的外れなものから至極真っ当なものまでさまざまだと思います。全くの的外れのものは放置しておけばよいとして、至極真っ当なもののありますので、それは取り上げておく必要があります。 バリュー投資批判に関する私の見解ですが、「バリュー投資という手法が全てではない。投資でリターンを上げるための有効な手法は他にもある。」ということと、「バリュー投資の長期的な有効性は変わらない。問題があるとすればバリュー投資という投資手法ではなく、それを実践している投資家の側にある。」という2点に集約されます。 前者につきましては、トレーディングで成功している人もいれば長期投資で成功している人もいるということで、「自分に合う投資スタンスは何か?」という問題になりますので、今回は割愛させていただきます。 後者についてですが、最近では「バリュー投資の原点をあまり知らないで、バリュー投資まがいのことを実践している人が増えている」という感覚は確かにあります。 昔から株式投資を実践していて(最低でも投資暦5年以上)、さまざまな相場の上下動を経験しているという人ならばともかく、最近バリュー投資を始めたという人をについては、「バリュー投資の原点をどの程度知っているかが今後の投資リターンを決める」のだと思います。 バリュー投資の原点は然るべき良書を読むことで養われます。したがって、「バリュー投資の源泉をどの程度知っているか?」の基準の一つとして、「『賢明なる投資家』や『バリュー投資入門』などをきっちりと読んだことがあるのか?」というのを挙げることが出来ます。 もちろん、『賢明なる投資家』や『バリュー投資入門』が全てではありませんし、「日本とアメリカの文化的背景の違い」や「時代背景の違い」なども考慮する必要はあるかと思いますが、「バリュー投資の原点をどの程度理解しているか?」という点に関して言えば残念ながら不合格と言わざるを得ない「にわかバリュー投資家」が増えているというのは事実だと思います。 最近、バリュー投資を始めたという人の中で「賢明なる投資家」や「バリュー投資入門」をきっちりと読んだという人がどの程度いるのでしょうか?少し怪しいと考えざるを得ません。 そういう意味では、某サイトに書かれていた「最近は、『バリュー銘柄』を材料に短期的な投機をしているだけ」という批判は極めて真っ当だと思います。 まあ、私もバリュー銘柄でトレードをすることはありますので、この批判については該当する部分はありますが、単純なバイ・アンド・ホールドよりも投資リターンの効率が高いと考えられるときにそれをするのであって、決して「短期的な値動きありき」ではないという点だけはご理解してください。 最近では「土地の含みに対する思惑」ということで資産株の一部が値上がりしましたが、こうした「値動き有りき」で短期的な投機をする人の多くは、「本源的価値」や「ミスターマーケット」の概念を深く理解していないでしょうから、相場が暴落したときにバリュー銘柄を投売ってしまい、「バリュー投資はダメだった」と批判の矛先にするかもしれません。 結局のところ、バリュー投資の品位を上げるか落とすかは、それを実践している投資家にかかっているのだと思います。今は相場が堅調なので、バリュー投資でなくても投資リターンを上げている人は多いと思います。そのような状態で「バリュー投資は有効である」と誇張することに関しては、まだまだ慎重でなくてはならないと思います。 あと、ここ1~2年くらいのパフォーマンスだけを以って「バリュー投資家のレベルを測る」というのは非常に愚かしいことだとも思います。最低でも下げ相場も含めた5年間くらいは見たいところです。そういう意味では私も投資暦こそ6年半ですが、バリュー投資暦は2年半ですから、これからが大事なんだと思っています。 バリュー投資およびバリュー投資家の真価は「下げ相場」でこそ試されるものだと思います。願わくば、相場が暴落時にこそ「バリュー投資が有効である」という評判を獲得したいものです。 今日の言葉: 「似たようなことを実践していても、それを表面的にしか理解していない人とそうでない人は、一番重要な局面で差が出てくるものである。問題は手法そのものではなく、それを実践する人にある。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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