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2017.12.14
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カテゴリ:カテゴリ未分類

rblog-20171214130105-02.jpg
ベニテングタケ『キノコの不思議な世界』(青土社)より拝借

先日、またしてもどうでもいいようなニュース記事に巡り会ってしまいました。
題して「レーニン氏は死ぬ前にキノコになった」というものです。

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/14011113/

ロシアではこの表現が大衆のだまされやすさを示すときに使用されるのだそうです。
勝手に名付けて「レーニンキノコ」ってのはどうでしょう?
デマの餌食にされた時などに「また、レーニンキノコにされちゃったよ」という感じで使えます。笑

さて、この記事はロシアの人たちが何故こんなデマを信じてしまったのかという観点で書かれていますが、よく読むと、この記事自体にややフェイク気味なところがなきにしもあらずです。
そもそも「レーニンは死ぬ直前に文字通りキノコになった」というデマの発信源とされる報道番組の出演者が伝えようとしたのが、本当にそんなシュールな話だったのか、そのへんの事情がよくわかりません。
「文字通りキノコになった」というフレーズが果たしてその出演者の口から出たものかどうか、この記事からははっきりしたことが読み取れないからです。

例えば、「多くのキノコを摂取していたレーニンは最後には菌に意識を完全に奪われてしまったのです」とか「キノコを消費していた人たちは人格を入れ替えられ、キノコ化しました」というコメントは、単に比喩的なものと受け取ることもできます。
つまり、この番組の趣旨は単にロシア革命の指導者の脳内環境がキノコの影響を受けていたというものだったのかもしれません。
ただ、それを困惑気味に観ていた視聴者の中から「レーニンは最後にキノコになったんだってよ」というデマを拡散させる人々が現れ、そのフレーズだけが勝手にひとり歩きしていったということなのかもしれません。

でも、まあ、そんなことは実はどうでもいいんです。
この話が興味深いのは、レーニンがキノコに目がなかったという事実の方です。
ものの本によると、「ロシアほど、キノコ探しが情熱のレベルにまで高まっている地域はほかにない」ということですから、レーニンがキノコを好んで食べていたのもお国柄上うなずける話ではあります。
まさに「レーニン、やはりお前もか!」といったところです。

それにしても、精神分析学のフロイトをはじめ、作曲家のチャイコフスキー、ジョン•ケージ、数学者の森毅など、実際のところ、世の著名人の中には「キノコ狂い」「キノコフリーク」の人がなんと多いことか。
レーニンがどんなレベルのフリークだったかはよくわかりませんが(フリークだったことは確か)、仮に上記の報道番組で言及されているようにマジックマッシュルームなども食べていたとすれば、それこそ脳が危ないレベルだった可能性もありますね。

ただ、「キノコフリーク」の人たちの関心が食べることに限定されることは稀で、彼らの大半はキノコという謎めいた生き物自体にまるごと魅了されており、それは汲めども尽きぬ楽しみを彼らに提供してくれているようです。

「観て良し、採って良し、食べてよし、植物でもなく、動物でもない、形も色も匂いも味も効き目も住処もライフスタイルも千差万別、いろとりどり、奇妙で素敵な生き物キノコ。」

これは『キノコの不思議な世界』という本に付けられている帯の宣伝文ですが、簡潔ながらなかなか上手くキノコの魅力を伝えています。
まさに様々な方向からのアプローチを許して、なおかつ飽きることがない、それがキノコというものみたいです。

「茸を知れば知るほど、それを識別する自信が薄れていくんです、一本一本が違っていますから。それぞれの茸がそれ本来のものであり、それ自らの中心にあるのです。茸に詳しいなどというのは無駄なことです。茸は人間の知識を裏切りますから。」
(ジョン•ケージ)

「キノコについて語ることが、宇宙について語ることになる。なぜか茸の姿に宇宙の容を感じてしまうのだ」
(森毅)

このお二方は世のキノコ通の間ではダントツに知名度の高いフリークで、上の発言でもお分かりのように単なるキノコ愛好家の域をはるかに超えています。
ご本人たちが勝手にキノコにのめり込んでいるというより、キノコの地位を向上させ、その存在を哲学の域にまで高めるために、キノコの方から選ばれた人たちなのではないかとすら思えてきます。
言うなれば、キノコ特使みたいなものですかね。笑

その特使級のジョン•ケージがキノコの不思議として目を瞠っていたことの一つが、彼らのジェンダーの多様性です。
動植物の場合、生殖に関わるジェンダーと言えば、オスとメスの2パターンですが、キノコをはじめとする菌類の場合は、そんなに単純な話ではないようです。

キノコは種子ではなく、胞子をばら撒くことで増えていくと習った覚えがありますが、それは種子の代用というようなものでは全然ないようです。
個々の胞子はやがて発芽し、一本の微細な糸状体(菌糸)を伸ばしますが、すでにこのプロセス自体が動植物では考えられない「神業」なんだそうです。
これは言うなれば、まだ交配していない生殖細胞が単独で細胞分裂して成長していくようなもの。
この時点で私たちの常識はすでに通用しません。

で、キノコができるには性周期が始まらなければならないのですが、それは一本の糸状体がもう一本の糸状体と対になる(合体する)ときに始まります。
その際に二本の糸状体は異なった「交配タイプ(ジェンダー)」でなければなりませんが、多くのキノコは二つのジェンダーだけでなく、さらに多くのジェンダーを持っているのだそうです。
例えば、スエヒロタケなどは、交配可能な組み合わせがなんと21000通りもあるというから驚きです。
いや、驚きを通り越して頭がクラクラしてきます。

なるほどなあ。
ジェンダー一つ取っても、キノコって、こんなふうに超変態ぶりを見せつけてくれるんだ。
でも、これはキノコの不思議のほんの一端であり、その一端ですらよくわかっていないのが現状のようです。

フリークにとっては、その得体の知れないところがまたキノコの魅力なのかもしれません。
ケージが言うように、知れば知るほど分からなくなる、つまり、人間の知識を裏切り続けるというところが逆にたまらなくイイのでしょう。





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Last updated  2017.12.26 16:44:47
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