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カテゴリ:ダービーウイーク2016
親の小言と冷たい酒は、すぐに効かぬがあとで効く――。 そんなことわざがあるけれど。 東京ダービーから時間が経つにつれて、名手の言葉が、じわじわ効いてきた。 6月8日、大井競馬場で行われた東京ダービー。 今年で62回目を迎えた大一番を制したのは、バルダッサーレでした。 バルダッサーレはJRAから南関東に移籍してきたばかりの馬。 移籍初戦が伝統の東京ダービーで、それも7馬身差の圧勝劇。 衝撃の勝ちっぷりに圧倒されて、しばし言葉を失いました。 的場文男騎手が手綱をとったアンサンブルライフは好位でレースを進めるも、途中で力尽き13着。 大井の帝王は今年も、悲願のダービージョッキーになれなかった。しかし完敗と言える内容だったせいか、的場騎手はサバサバした表情でレースを振り返りました。 そして「中央から来たばかりの馬にあっさり勝たれた寂しさ」を口にして、こう続けました。 「フリオーソやボンネビルレコードだったら勝たせなかったし、そういう馬がいれば、こっちに使いに来なかったと思う。やっぱり地方競馬を、もっと高いレベルにしなきゃいけないですね。地方競馬も、自分らが頑張って、もっと馬のレベルアップをしなきゃならない」 そうか。そうなんだな。時間が経つにつれて、名手の言葉がじわじわ効いてきました。 中央・地方のレベル云々を考えさせられた、というわけではなくて。 的場騎手の生き方がにじみ出た言葉だな……と思うんです。 「誰かのせい」じゃなくて、「自分の努力」。 敗戦をまっすぐ受け止めて、「もっと自分が頑張ろう」と奮い立つ。 そうやって、その繰り返しで、的場騎手は38000以上のレースに乗り、6800を超える勝ち星を積み重ねて来たのではないでしょうか。 東京ダービーの翌日、大井競馬場へ足を運ぶと。 騎乗馬のもとへ走る的場騎手の姿がありました。 微笑を浮かべて、なんだかとても楽しそうです。 大井の帝王・的場文男、59歳。 東京ダービーは35戦0勝、2着9回。 来年の東京ダービーに向けての気持ちを問われると――。 「わかんない、もう年だから」と言ってカラリと笑った。 でもたぶん、きっと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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