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カテゴリ:ダービーウイーク2016
勝ち馬はピタリとポーズを決めて、記念写真におさまりました。3歳馬の口取り撮影が、これほどスムーズに行われるのは珍しい。 6月7日、名古屋競馬場のダート1900mで行われた「第46回 東海ダービー」。 一冠目の駿蹄賞を制し1番人気に推されたカツゲキキトキト(牡3、名古屋・錦見勇夫厩舎)が、破竹の7連勝で二冠馬に輝きました。 レース映像(楽天競馬サイト) 思わずウワッと声が出た。 単勝1.2倍の1番人気に支持されたカツゲキキトキトが、スタートで出遅れてしまったのです。 しかし鞍上の大畑雅章騎手は慌てることなく、中団5~6番手でレースを進めます。 そして3~4コーナー、鞍上のゴーサインに応えて瞬く間に先頭に立ったカツゲキキトキト。一気に後続を突き放します。 直線は悠々ひとり旅で、余力をたっぷり残してゴールイン。 出遅れをものともせず、7馬身差の圧勝劇をやってのけました。 「馬がとっても強かったです。スタートがまさかの出遅れで、『やってまったなあ』と思いました。でも道中、いい位置につけられたので、『あとは向こう正面でスパートするだけだな』と。前が楽をしていたので、早めに動きました。ゴールしたときは、気持ちよかったですね。以前はまだしっかりしていない面があったのですが、厩務員さんが手をかけてくれたおかげで、ものすごく変わってくれた。まだまだ上を目指せると思います」(大畑騎手) デビュー16年目の大畑騎手。自厩舎の馬でダービージョッキーの称号をつかむ快挙です。一緒にお立ち台に上がった娘さんがニコニコ笑顔で見つめる中、「これからはダービージョッキーの名に恥じないレースをしていきたいので、応援よろしくお願いします!」と言って、大きな拍手に包まれました。 そして畑野謙二アナウンサーから、大井のジャパンダートダービー(7月13日)に向けての抱負を問われると――。 「次はもしかしたら、(木之前)葵で行く可能性もあるので」と大畑騎手。 するとカツゲキキトキトを管理する錦見勇夫調教師が間髪入れずに、「葵で行きます!」と宣言したのです。 「どちらが乗っても、応援よろしくお願いします!」(大畑騎手) 今回は駿蹄賞のとき以上にもっさりとゲートを出たカツゲキキトキト。錦見調教師は「またやったなあ」と思ったそうです。 「出遅れたけど、包まれることもなく自分の競馬ができたのでよかったと思います。今年に入って、体がひとまわりもふた回りも大きくなりました。そしてこの馬のいいところは、競馬場の装鞍所やパドックで落ち着いとるところ。入れ込むようなところが、まったくないんです。余分な力を使わんもんで、そのぶんレースで力を発揮できる。厩舎ではヤンチャなんですけど、レースになるとぜんぜん雰囲気が変わる。やっぱりそれだけの素質があるんだと思います。体はもうちょっと大きくなるだろうし、走りっぷりを見ると、うちのオープン馬のノゾミダイヤより強くなるんじゃないかな。これからが楽しみですね」(錦見調教師) ジャパンダートダービーの鞍上に弟子の木之前騎手を指名なさったのは、「大舞台の経験を積ませてあげたい」という親心でしょうか。 「それもあるし、宣伝の意味も込めて、葵で行きます!」(錦見調教師) 1着 カツゲキキトキト 大畑雅章 2着 キタノアドラーブル 木之前葵 3着 ザウアー 堀場裕充 4着 メガホワイティ 東川公則 5着 チェンジイット 戸部尚実 東海ダービーの全着順(楽天競馬サイト) 5番人気のキタノアドラーブル(牝3、笠松・栗本陽一厩舎)が、直線で脚を伸ばして2着。鞍上は木之前騎手でした。 「キタノアドラーブルにはこれまで2回乗せてもらって、だいぶ馬のこともわかってきたので、最初は無理をさせないように自分のペースで行かせました。そして向こう正面からエンジンをかけていくと、3コーナーぐらいで馬が動き出してくれて。自厩舎のカツゲキキトキトをどうやって負かそうかを考えて乗ったんですけど……やっぱり強かったですね」(木之前騎手) また、カツゲキキトキトに関して、表彰式で錦見調教師が「ジャパンダートダービーは葵で行きます!」と宣言したことを伝えると――。 木之前騎手は「ホントですか!?」と言って、とびきりの笑顔を浮かべました。 「南関東で騎乗するのは初めてです。キトキトにはこれまで一杯乗せてもらってきたので、頑張ります!」(木之前騎手) カツゲキキトキトに騎乗して新春ペガサスカップを制し、重賞初制覇を果たした木之前騎手。新緑賞を制した時の鞍上も木之前騎手でした。 このコンビがジャパンダートダービーでどんなレースを見せてくれるのか、今からとても楽しみです。 カツゲキキトキトの強さが炸裂した東海ダービー。 陣営がジャパンダートダービー参戦を明言したことで、楽しみが広がりました。 このワクワク感は、ダービーウイークの醍醐味です。 妹弟子の木之前騎手に笑顔でバトンを渡す大畑騎手の懐の深さにも、胸を打たれました。 馬も人もしっかり育てる錦見調教師の偉大さも、五臓六腑にしみ渡って……。 いつまでも余韻に浸っていたい。そんな東海ダービーでした。 ☆井上オークスツイッターで、ダービー行脚のリアルタイムレポート更新中! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年06月15日 11時07分24秒
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