養老孟司さんの本に『からだを読む』というものがある。口から肛門までを解剖の図などを入れて構造や機能を紹介している面白い本だ。冒頭から抜粋してみると『あなたの身体、しょせんあなた自身のものでしかない。…身体は、じつはあなただけのものである。あなたの真の財産は考えてみれば、それだけなのである。あとのものは、自分で財産だと「思っている」だけである。「思っている」のは、身体のほんの一部である、あなたの脳である。』…身体の中で日々行われていることは、レベルを細胞にしてみたら、生と死の連続である。しだいに免疫力がなくなっていきやがて個体そのものが死を迎えることになる。私は若い頃から何人もの、身近な人を見送ってきたが棺の中の友人や父や母や姉たちをみて「もうそこには居ない」という実感を何度もしている。先日も昔よく飲んでいた友人が事故で亡くなって、通夜にいってみたが、やはりその印象は変わらない。彼は身体と心という財産を失った。そして彼はいなくなったかと思えば、私やまわりの人の心の中では想い出や印象として映画のフィルムのように残り、生きていくのだ。われわれと共に…。
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Last updated
2009.02.26 18:33:14
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