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2006年01月02日
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2005年5月6日


 前回、投資信託の信託報酬が高すぎる(購入時の手数料も高いが)問題を取り上げ、「現在の投資信託はお勧めできない」と申し上げました。
 それでは、株式は自分で運用しようということになりますが、この場合に投資信託との比較で気になるのは、個人で分散投資を行って、十分にリスクを低下させて運用が出来るのかということです。今回は、個人投資家の少額の運用額で分散投資をスタートする方法について考えてみます。

(1)最初は業種の異なる3銘柄から

 資産形成のための比較的ゆったりした株式投資についてアドバイスする場合、筆者は、「できれば最初から、異なる業種の3銘柄をまとめて買って下さい」と言うことにしています。個人投資家用の入門書(「お金がふえるシンプルな考え方」ダイヤモンド社)にもそのように書きました。
 「最初は3銘柄」というアドバイスには3つの意図があります。
 まず、3銘柄であっても、分散投資されていれば、運用額の振れ幅で見たリスクは目に見えて低下します。 この効果を活用しないのは、もったいない。
 次に、3銘柄持っていると、1銘柄の調子が悪いときでも、別の銘柄がまあまあである、というようなことがよく起こるので、気が紛れて精神衛生にいいということです。1銘柄だけに集中投資していると、株価の上げ下げにかなり気を取られることになり、特に「あの値段で売っておけば良かった・・・」といった種類の後悔を抱えつつ、しばしば株価を見る、というようなストレスの多い状態に陥りがちです。もちろん、3銘柄でも一喜一憂はあるのですが、「これは下がってしまったけど、こっちが上がっているから、まあいいか」といった気分で余裕を持って運用できる可能性が拡大します。このちがいには、精神衛生だけでなく、余計な売買を抑制することによる、現実的なプラス面もあります。 「じっと持って運用する」ことが、1銘柄にだけ投資する場合よりも、ぐっと容易です。
 そして、最初から3銘柄の合計金額に注目すると、ポートフォリオで分散投資した状態を管理すればいいのだという感覚が早く養成されるからです。銘柄数がもっと増えて分散投資が拡大すると、運用パフォーマンスにとって重要なのは、個々の銘柄選択よりも、むしろポートフォリオ全体のバランス(具体的には銘柄の保有ウェイトです)をコントロールすることなのです。個人投資家の運用にあっても、銘柄選択よりももっと、投資ウェイトのバランスに注意を払うべきだと思います。
 なお、まとまった金額で株式などを買う場合に、資金を分割して買うタイミングを分散する方がいい、というようなアドバイスをする人がいますが、これには気休め以外の意味はありませんし、平均的にはチャンスを逃すはずですから、合理的に割り切って、一気に買ってしまって構いません。


(2) 3銘柄ポートフォリオの例


 では、どのように銘柄を組み合わせるのか、そうするとどんな感じの運用になるのか、ということについて、具体例を検討してみましょう。 一例として、「日立製作所(6501)を2000株、味の素(2802)を1000株、中部電力(9502)を500株」という3銘柄ポートフォリオを作ってみました。
 何れもここしばらくの値動きの印象が地味な銘柄を選びましたが、ハイテク(古くさい言葉ですが)・輸出関連で円安がプラスになる日立と、円高がメリットになる中部電力、そして、消費一般にリンクしていて業績が割合安定している食品業種から味の素、という選択です。3銘柄が大まかに等ウェイトになるように株数を決めましたが、4月22日の終値で計算すると、約372万円で投資できます。ネット証券なら手数料は数千円です。
 なお、念のため申し上げておきますが、日立、味の素、中部電力の何れについても、「現在、魅力的だから投資をお勧めします」という意味合いで挙げたものではなくて、筆者が無難な銘柄という印象(具体的な分析によるものではなく)を持っているというだけで選んだものです。
 さて、このような組み合わせで持つと、どれくらいのリスクになるのでしょうか。株式ポートフォリオのリスクを推定するソフトウェアで、日立製作所が作ったリスクスコープ(Riskscope)というツールを使って推定してみた要約が図1の結果です。

第六回 図1

この結果には、筆者自身が幾らか驚いているのですが、この3銘柄ポートフォリオの「トータルリスク」つまり、ポートフォリオ全体の金額の変動で見たリスクの推定値は、TOPIXが10.78%(単位は年率・標準偏差です)に対して10.58%と、こちらの方が小さいという結果になっています(注:あくまでもソフトウェアの推定値であって、現実に値下がりが必ずTOPIXよりも小さいといったことが保証できるわけではありません)。
 それぞれが地味な銘柄を選んだから、ということもあるのですが、多数の銘柄に分散投資しなくとも、投信並みにリスクを低下させた運用が十分に可能だということです。「投資信託なんていらない!」という気持ちをますます強化する数値です。
 但し、それでは、プロのファンドマネージャーがこのポートフォリオを持てるかというと、答えは「NO」でしょう。もちろん、1銘柄で30%以上という投資比率は投資制限に引っ掛かるでしょうが、それ以外にも、ベンチマークに対する相対的なリスクが8.76%もあるからです。つまり、ベンチマーク、或いはライバル・ファンドのパフォーマンスに対して勝ち負けが大き過ぎて身が持たない(?)でしょう。
 では、個人投資家の場合はどうかというと、欲しいのはリスクの低下であり、ライバルとの勝ち負けは意識する必要はないので、この種のポートフォリオを持つことに、大きな不具合はありません。ただ、ベンチマークが数パーセント上昇したのに、自分の運用金額はサッパリ増えないといったこと(ほぼ同等の確率でその逆もあり得ます)がある、という点について納得できていればいいだけです。
 もちろん、全体の値動きが地味だとはいっても、たった3銘柄のポートフォリオだと、選んだ銘柄が全て不調ということもあるでしょうから、資金を追加するときには、何れの銘柄とも異なる業種の銘柄を追加していって、徐々に銘柄数を増やすことをお勧めします。
 また、少数銘柄のポートフォリオの場合、たとえばライブドア(4753)のような値動きの激しい銘柄を加えると、それだけで大幅に推定リスク値が上がることに注意して下さい。ゲームとしてトレーディングを楽しむためには、値動きの激しい銘柄が面白いのですが、資産形成のための長期運用には適しません。
 ともかく、少数の銘柄でも、上手に組み合わせると、リスクは大幅に減らせるということを覚えておいて下さい。


以上







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最終更新日  2006年02月08日 00時16分59秒
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