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2009年07月03日
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今回は、後半の原則5つと番外の心得をご説明する。
今回もはじめに原則を列挙しよう。念のため、前半の5原則も一緒に掲げておく。

<退職後のお金の運用のための10原則(前半の5個)>
* (1)基本は普通の運用と同じ。退職後だからといって特別な方法はない
* (2)追加的な稼ぎに制約があることが唯一の特徴
* (3)退職金が振り込まれた銀行では資産運用しない!
* (4)インカム・ゲインにこだわらない
* (5)長期国債よりも1%以上利回りの高いものは理由を考える
* (6)ゼロサム・ゲーム的なリスクに投資しない
* (7)保険(特に医療保険)をなるべく使わない
* (8)リスクを取りたくないお金はMRFか個人向け国債に
* (9)リスクを取る運用は内外のインデックス・ファンドに4対6で投資
* (10)個別株への投資は分散投資が基本
* <番外>財政破綻よりもインフレよりも恐ろしいのは目の前のセールスマン!

それぞれの項目についてご説明しよう。

(6)ゼロサム・ゲーム的なリスクに投資しない



これは少し分かりにくいかも知れない。

具体的には、株式、債券、不動産など収益を生むものへの投資はリスクテイクに対してプラスの見返りがある「投資」と考えてもいいが、金、原油などの商品相場、FX(外国為替証拠金取引)などでリスクを取ることはゼロサム・ゲームの状況での賭に参加することにすぎないので、資産を増やすための資金運用対象には不向きだということだ。

株式・債券・不動産などに対してなされた「投資」は企業の利益や利息、家賃などの収益を生むので、たとえば100の価値を投じたものが1年後には101とか105といった期待価値になりプラスの収益を生む。

これに対して例えば外国為替のリスクは、自分が市場で円を売って外貨を買ったなら、市場のどこかに同額の円を買って外貨を売った人がいて、共に同じ大きさのリスクを持ちながら、損益の合計はゼロだ(注:単純な計算をすると+100%とマイナス50%の平均は+25%だと言う調子でプラスになるが、これは錯覚。実質価値ベースの期待値はゼロだ)。

同様に商品相場もゼロサム・ゲームの場であり、ゲームと割り切って参加するのは構わないが、運用対象には不適当だ。金の先物あるいは現物も同様だ。金の現物投資は、モノを所有することに伴う一種の満足感を伴うが、金融的には手数料が高くて効率の悪い金相場への参加にすぎない。将来のインフレ・リスクへの対応をお題目に売られることのある商品相場に連動する債券や商品ファンドのようなものも、実質的な手数料が高くて運用対象としては不適当だ。

高金利通貨への投資の場合、金利分だけ期待収益が高いのではないかという考えを持つ人もいるが、高金利通貨と低金利通貨の期待収益率は、通貨価値自体の下落・上昇期待で調整されているので(そうでなければ為替レートが程よく決まらない)、「相場観」の要素を別とすれば、高金利通貨の預金も低金利通貨の預金も期待収益は基本的には同じだと考えておくべきだ。

FXで高金利通貨のロング・ポジションを取りながらスワップポイントを稼ごうというポジションを、いかにも有利で安定的な運用であるかのように紹介する悪質な宣伝や初心者向けの書籍があるが、これは、意味的には借金をしてレバレッジを掛けて高金利通貨の外貨預金を買っているのと同じポジション(銀行間市場の資金操作はこれに対応するものだ)なので、有利でもなんでもない。

外貨預金や外貨建ての債券への投資の主たるリスクは為替リスクなので、退職金の運用をはじめとする個人の資産運用にはお勧めできない。

特に外債投資では、個人の小口資金(売買単位1億円未満)の場合特に価格が不利になりがちであり、為替取引も含めて証券会社に実質的な手数料を多額に払いがちだ。対面型の証券会社の場合、外債はしばしば手数料稼ぎの道具に使われている。

また、債券の信用リスクは債券投資の専門家以外には判断が難しく(注;格付け会社の格付けは信用できない)、個人の小口資金の場合十分な分散投資ができない(注;数十億円あれば専門家ならある程度適切なポートフォリオが組めよう)。そして、外債の運用手段として、投資信託を使おうとすると、信託報酬をはじめとする手数料が高すぎるものがほとんどだ。なお、これらの点は円建ての債券(特に社債)への投資でも共通の難点である。

結局、不動産を別とすると、個人がリスクを取って運用対象は内外の株式が最も無難ということになる。


(7)保険(特に医療保険)をなるべく使わない



高齢になると相続対策やローンの際の条件で死亡保障の生命保険に加入することがあるかも知れないが、それ以外に死亡保障の生命保険に入ることは稀になるだろう。一方、医療保険の新規加入はまだあるかも知れない。

しかし、端的に言って医療保険(癌保険などを含む)は止めた方がいい。健康保険に加入していれば、高額療養費制度である程度以上の医療費の出費はカバーされている。従って、ある程度の金融資産があれば医療費のニーズには対応できるし、市販の医療保険は、超高額の医療費には対応できないものがほとんどだ。また、細かいことだが、医療保険は入院日数をベースに支払額が決まるものが多いが、近年、厚生労働省の指導もあって、入院日数が短縮される傾向にある。

加えて、医療保険の保険料は実際に掛かる医療費に対して非常に割高に設定されている。

要は、医療保険に回すお金があれば自分で貯蓄や投資する方がずっと割がいい。

死亡保障の保険についてアラウンド定年世代が注意すべきことは、「保険の見直し」などを名目とした、保険の乗り換え勧誘に乗らないことだろう。不要な特約を解約したり、契約を「払い済み」(過去の保険料支払い分に相当する保障に契約を縮小して保険料支払いを打ち切る)として保険を整理したりするのは構わないが、新規の保険に加入するのは大幅な損だ。多くの場合、契約当初の2年分程度の保険料が集中的に営業費見合いの付加保険料として徴収される。

アラウンド定年世代が死亡保障の生命保険の処置を考える場合、(1)予定利率の高い契約(90年代初期の契約など)は維持した方が得、(2)高齢化して死亡確率が上昇しているので若い頃の契約を維持する方が得な場合がある、といったことは考慮してもいいが、保険を「新たに」契約することになると、付加保険料(保険料のうち保障にも貯蓄にも回らず保険会社の経費として費消される保険料)をたくさん取られてしまう。

個人年金保険などと称する変額保険も基本的にはお勧めできない。運用商品として考えると、実質的には投資信託だが、手数料や解約の不便さの点で「投資信託に劣る投資信託」と考えておいていいだろう。

この種の変額保険は高齢でも加入できるし、死亡時には保険金の形でお金を受け取ることになるので、相続税が心配なある程度以上のお金持ちが、変額保険を相続対策に使う(保険金控除枠を500万円使うために)方法があるようなのだが、それ以外には見所のない金融商品だ。

保険は、貯蓄では対応できない巨額かつ予想できない支払いの必要性が発生するリスクに対応できる、優れた仕組みだが、根本的には、「顧客側が不利な賭け」であり(そうでなければ保険会社が潰れてしまう)、なるべく利用しない方が得なものだ。

保険の損は年齢の高低を問わないが、高齢者も対象とした医療保険などが宣伝されているようでもあり、「保険はなるべく使わない」という心得を、アラウンド定年世代のために一項目掲げて置く。


(8)リスクを取りたくないお金はMRFか個人向け国債に



「貯蓄から、投資へ」と政府や金融界が何十年も連呼しても、高齢者の金融資産の大きな部分は銀行預金にある。長期的な株価の動きなどを踏まえて結果から見ると、日本人大衆の運用感覚はなかなか立派なものだとも言えるし、リスクを好まないという態度及びこれに対応する資金があることも事実だ。

但し、リスクを取りたくない資金について銀行預金が適切な置き場所かというと、そうではない。金融商品のセールスに関して銀行が警戒すべき相手だということ(前回拙稿をご参照下さい)を別としても、銀行の信用リスクの問題がある。

バブルが崩壊して日本の銀行の多くが揺らいだものの、預金保険の「ペイオフ」はまだ実施されていないが、今後もそうだとは限らない。1000万円を超えるお金の置き場所は重要な問題だ。

また、中途解約の場合の精算を考えると理論的に預金が得な場合もありうるが、国債よりも信用度が劣るはずの日本の銀行の預金の利回りがどうして国債よりも低いのか。

リスクを取りたくないお金はどこに置いておくといいのだろうか。

筆者のお勧めは、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)と個人向け国債の10年物(変動金利)だ。

前者は毎日お金の出し入れができるし、投資信託なので、財産が信託勘定に保管・管理されていて、窓口となった証券会社が倒産しても、財産は保護されている。また、投資対象は元本保証のある、もともと信用リスクの低い対象に、さらに分散投資されているから、一銀行の経営リスクの影響を大きく受ける銀行預金よりも安心だ。

また、個人向け国債(10年物)は、これがベストと常に言えるようなものではないが、信用リスク面では銀行預金よりも優位にあり、且つ変動金利で将来の金利上昇リスクにも耐性があって、「無難」な運用対象だろう。解約の際に2回分の利払いがペナルティーとして必要であることは、金融商品自体の性質としては便利ではないが、10年間余計な金融商品の誘惑から逃れて資金を運用することができるのは、煩わしくなくていい場合もあるだろう。





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最終更新日  2009年07月03日 20時23分26秒


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