私家版 さいたまの石仏

2019/02/23(土)20:46

石仏画集 庚申塔編 緑区芝原 神明宮

酒井 正 石仏画の世界(162)

ホームページ「私家版さいたまの石仏」はこちら 12P目は緑区芝原にある神明宮の庚申塔 天明元年(1781)宝珠付きの唐破風笠を持つ大型の角柱型石塔。 日月雲 青面金剛立像 剣・ショケラ持ち六臂。真ん中に大きく三角形に束ねられた髪は、その先がやや右に折れ、さらに額の両脇にも小さな三角形に束ねられた髪型をした青面金剛。独特のスタイルだが、結構いろいろなところで目に付く。酒井さんは「宝冠右曲がり剣人持ち型」としてさいたま市内六か所の庚申塔を挙げているが、山崎の宝蔵院以外はいずれも見沼区。他に私が見た中では見沼区島町の薬王寺の庚申塔もこのタイプだった。岩槻区の庚申塔を取材したときもいくつか見かけて、あとからいろいろ調べてみてわかったが、これらの庚申塔は岩槻の石工 萩原利兵衛の作品である。その地域的な分布、時代的な分布はいずれ別に改めて調べたいと思う。 氷川女體神社の南の高台の上にある神明宮。西の入り口から入ってすぐ、石鳥居の脇に六基の石塔が並んでいる。前列に四基、後列に二基。後列右のひときわ大きな石塔がこの庚申塔だった。 宝珠付きの唐破風笠を持ち大きな大の上に立つ角柱型の石塔は量感がある。遠目にも欠損なく風化は感じられない。像のところどころに朱塗りの跡が残っていた。 独特の髪型の青面金剛は三眼憤怒相、迫力がある。右手に剣、左手には足を折り曲げたショケラをつるす。 青面金剛の足下には組んだ両手の上に頭を乗せ、達磨のように丸まった邪鬼。三猿は両脇が内を向く構図。萩原利兵衛作青面金剛像の特徴である。 一緒に並んでいるのは四基の庚申塔と一基の馬頭観音塔。前列左から 庚申塔 明和4(1767) 駒形の石塔の正面 日月雲 青面金剛立像 合掌型六臂。 左側面に大きめな字で木崎村芝原講中とある。 その隣 庚申塔 寛政11(1799)角柱型の石塔の正面に大きくはっきりとした字で「庚申塔」左側面には三室村芝原講中と彫られていた。 続いてこちらも文字塔。庚申塔 延享4(1747)日月雲の下、梵字が二つ、「ウン」だろうか?その下に「庚申供養塔」 前列右端 庚申塔 元文5(1740)日月雲 青面金剛立像 合掌型六臂。「川口型」庚申塔である。 後列 庚申塔の隣に立っているのは馬頭観音立像 宝暦9(1759)光背の一部が欠け、頭部も破損、風化が著しい。足元に村中と刻まれていた。

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