私家版 さいたまの石仏

2019/12/07(土)07:56

石仏画集 地蔵菩薩・如来・弘法大師像編 桜区栄和重円寺

酒井 正 石仏画の世界(162)

ホームページ「私家版さいたまの石仏」はこちら 10P目は桜区栄和の重円寺入口に立つ地蔵菩薩立像 享保7(1722)江戸時代中期の舟形光背型地蔵塔。丸彫りのお地蔵様は明治時代の廃仏毀釈によって首がもげたり、打ち倒されたり、悲惨なお姿をよく見かけるが、舟形光背塔では比較的そのような被害は少ないようだ。 新大宮バイパスから300mほど西、埼大通りから300mほど南、住宅街の中に重円寺があった。(桜区栄和3-17-14)交通量の多い二つの道路の近くであるが、境内は静寂さを保っている。入口右から、境内の本堂の右脇まで、多くの石仏が並んでいた。 入口右側にスケッチの地蔵菩薩立像享保7(1722)江戸時代初期に比べると光背が小さくなり、像の比率が大きい。 光背の一部が欠け、お地蔵様の鼻、膝のあたり、錫杖の先、宝珠など、ところどころに破損が見られる。光背右脇に大きく「地蔵大菩薩」その下に武州足立郡千駄村。左脇に造立年月日。その下には願主二名の名前が刻まれていた。 その後ろに丸彫りの六地蔵菩薩立像。それぞれの台の正面に念佛、村中、老若、 男女、講中と刻まれ、左端に明和4(1767)明和7(1770)二つの紀年銘。六地蔵の小堂の右脇には納経供養塔など六基の石塔が並んでいる。 本堂右側に比較的大きな石仏が集められていた。 右から 宝篋印塔 享保19(1734)屋根型の笠を持つ。 その隣 庚申塔 寛文9(1669) 一猿を主尊とする庚申塔は県内唯一という珍しいもので、さいたま市指定有形民俗文化財になっている。 相輪付きの唐破風笠を持つ角柱型石塔の正面を二重に彫りくぼめた中、上部に合掌する猿の坐像。その下に「奉造立庚申供養」両脇に造立年月日。さらに講中12名の名前が刻まれていた。 続いて如意輪観音菩薩坐像 寛文12(1672)1mを超す二臂の如意輪観音菩薩。胸に梵字「キリーク」が刻まれているのも珍しい。光背左脇に足立郡千駄村惣信女講と刻まれていた。 さらに墓石、六面幢が並び、その奥に阿弥陀如来坐像 寛文12(1672)正面に蓮の花が彫られた台の上、反花のついた六角形の台、丸い敷茄子、厚みのある蓮台。その上に阿弥陀定印を組んで座る丸彫りの阿弥陀如来像。高さは2mをゆうに超えて存在感は圧倒的。敷茄子に「権大僧都」とあり、高僧の墓石だろうか。

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る