一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第697話 「星が落ちる日3」
一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第697話 「星が落ちる日3」 そんなに地球に接近している隕石の類って多いのですか?という話になったことがあるのですが、あっさり書けば普通の方々が思っているよりは多いのではないかと ・・・ といっても事前に軌道などが発覚してワクワクするサイズとなると数年に1つくらいの割合ですが(笑)。 戦記物などで四方八方から攻撃を受けたり取り囲まれる話がままありますが、宇宙空間の場合は365度あらゆる角度から飛来するだけに、現在の観測態勢では総てを事前に掌握することが事実上不可能なようで、アマチュアや素人も参加して天体観測を行うスペースガードが世界規模で組織化されていますというかされつつあります。 北朝鮮が核兵器を開発し、大陸間弾道弾の製造にも目処を付けたあたりで高圧的になり、日本に対して原子力関連施設を通常ミサイルで攻撃しても核兵器と同等以上の被害を与えることができると恫喝混じりに豪語しているのは御存知の通りですが、まあ、直径10メートルくらいの隕石が核関連施設を直撃すれば、日本に限らずだいたいその国はお終いになります。 原子力関係で飯を食っている人の中に、”原子力発電所に隕石が衝突する確率は天文学的に低く、そういった状況に陥ることを想定した強度では設計も建設もしていませんが、それが何か?”といった主旨の発言をした人がいたのですが、私は想定しておかないとマズイのが原子炉ないし原子炉周辺への隕石の衝突だと長らく考えています。 では、逆になぜ隕石の衝突に対応できる設計になっていないのか?というと、これは直径数キロどころか直径数十メートル程度の隕石であっても戦略核兵器並の破壊力を持つからですが、隕石というのはある意味で、その重量そのものが核兵器並の被害をもたらす要因になりうる質量兵器の一種でもあるわけです ・・・ ・・・ もちろん、隕石の重量や形状、構成する物質などなどによって発生する物理的なエネルギーは増減しますが、核兵器並の衝撃波や熱風が周辺にまき散らし、高々度まで塵などを吹き上げる規模の隕石の場合はクリーンな核兵器と言っても過言ではないと言えます。 そして、確率論の話でしばしば指摘しているように、理論上は何万分の1とか何億分の1の発生確率であっても、実際に直面するリスクの場合は1/2(起こるか起こらないか)になるため、発生確率の高い事象から対応することに一定の合理性はあっても、発生確率が低いという理由で対策を講じないで良いという理屈は成立しません ・・・・・・ そういった事故が起こる確率は1億分の1だから問題ないといくら算盤をはじいたところで、今日とか明日とかがその1億分の1の事象が発生する日にならない保証はどこにも無いわけです。 つまり、発生確率が高い事象から対応していたので、それよりも発生確率が低いとされていた事象への対策が間に合わない内に発生した事例と、発生確率が低いとされていたのでそもそも対策も講ぜずを講じていなかったというのでは、結果は同じでも経緯は似て否なるものなわけですが、最初から対策を講じていなかった点を問いつめられると、だいたいにおいて、”想定外だった!=自分の責任じゃあない=自分が処罰されるいわれは無い!”と主張する人が日本では高給を貰って責任を取るべき立場にいる偉い人に昔から多いことは御存知の通り(溜息)。 実際、原子力発電所をゲリラ的に襲撃する場合にどの施設を襲うか?といえば、冷却水を汲み上げ循環させ注水しているシステムが剥き出しになっている脆弱生を指摘する人は福島原子力発電所事故以前から多く、数名のゲリラが携帯式の対戦車ミサイルの類を使うか数キロのC4を持ち込んで爆破すれば、冷却水の枯渇で炉心融解(メルトダウン)は免れないが故に、数名とか数十名の特殊戦に対応できる部隊に原子力関連施設が襲われたらその時点で日本はお終いではないかという指摘には一定の説得力があるわけです。 では、サブマシンガンに区分される、火薬量は異なるものの拳銃と同じサイズの弾丸を使用するMP-5で武装していれば、軍用ライフルで武装した襲撃に対応できるのか?と聞かれれば、一定の時間でまき散らすことができる弾丸の数は多くなり、射程距離がやや延びるものの、軍用ライフルと交戦するには力不足ですし、襲撃する側に遠距離狙撃用の銃器と要員(ゴルゴ13みたいなスナイパーですな)が1人でも加わっていれば瞬殺されかねません。 そう考えると、原子力発電所などの核関連施設をテロ活動や軍事的な奇襲攻撃から守るためには完全武装の自衛隊員を1ヶ所に20~30名程度は常駐させて用心しなければならない時間帯になっているわけですが、自衛隊の広報活動を兼ねた一般公開日に訪れた一般人に展示してある小火器を触らせたのが銃刀法違反だと裁判沙汰にして得意がる阿呆がいることは御存知の通り。 自分の頭の上に、いつ核兵器が撃ち込まれたり、近場の原子力発電所に通常弾頭のミサイルが撃ち込まれるかわからない状況になっているのに、平和ボケ極まれりというか、ここまでくると露骨な利敵行為であり、事ここに至ってなお自力で祖国を守ることを是とすることさえ拒否する人の頭の中は極彩色の花が咲き乱れ蝶々が乱舞しているのではなかろうか? 念のために書いておくと、PAC3に象徴されるミサイル迎撃システムがいくら高性能で迎撃できる可能性が高くても迎撃ミサイル一発あたりの単価が高い(1発で10億円を超える迎撃ミサイルもある)こともあって絶対数が足りず、数量的には北朝鮮の利用可能なミサイルの1/10以下の備蓄しか(これを書いている時点では)日本の迎撃ミサイルが無いという話があり、在日米軍の備蓄在庫と併せて考えても、日本全土を100%守備することが物理的に不可能な雲行きですから、結果的にミサイル攻撃の直撃を受ける地域が出てくるのは現状では不可避と書いていいのではないかと。 もっとも、それでもミサイル兵器の類を迎撃することは条件付きで可能な時代になっていますし、イスラエルがミサイル攻撃を受けたときに被害が大きくなりそうな軌道のミサイルから優先的に迎撃することで撃墜率を高めて被害を押さえることに成功していますし、米軍は大真面目で迎撃レーザー兵器の実戦配備を大量の電力供給が可能な艦艇などから進めていたりもしますから、人が造るミサイルやロケットの類は少なくとも以前よりは対処法が確立されてきてもいます。 ただ、既存の軍事兵器に対しては一定の防衛網を構築することが可能になってきているとしても、シンプルな岩の塊に過ぎない一定質量以上の隕石の類を迎撃して無効化することは、大きさによってはレーザー兵器や核兵器を使っても現状では不可能ですから、宇宙の彼方から飛来する隕石や彗星といった星たちの方が人類には迎撃する手だてが無いだけに人類が滅んでいく原因になりやすいのではないかと思うわけです。 或いは、原子炉を隕石が直撃したわけでも北朝鮮が核ミサイルを撃ち込んできたわけでも無かったのは幸いでしたが、少なくとも首都圏直下型地震が3年以内に発生する確率ほどには地震学者達が直近のリスクを警告していなかった淡路島を震源とする大規模地震(最大震度6弱)が2013/04/13の早朝に発生したことは御存知の通りで、そもそも地震がなぜ起こるのか分かっていない地震学者に地震発生の予知や予測ができるわけがないとする怪しい話の主張が的中した形にもなったわけです。 今回の地震もたまたま稼働中の原子力発電所の直下や直近で起こらなかったというだけのことで、同等かそれ以上の規模の地震が直下ないし直近で発生していて深刻なトラブルが国内の原子力関連施設に発生したらアベノミクスの御祝儀相場なんざ一瞬で吹き飛ぶことは指摘するまでもありますまい ・・・ そもそも、周辺自治体などにあれほどの金をばらまく余裕があったのなら、なぜ地震大国日本が山をくり抜いた半地下ないし地下埋設方式で災害や軍事攻撃に強い原子力発電所を建設してこなかったのかが謎で、平地の地表に軍事攻撃の前には剥き出しに近い脆弱なコンクリート製の外装で覆った程度で原子炉を設置している現状が平和ボケ日本の象徴ではあるわけです。 もちろん、日本に限らず、世界の民需用の原子炉の大半は日本の原子力発電所と大差の無い建物強度の状態で重要な電力供給源として稼働中ですから、その内の何カ所かの原子力発電所が一瞬で機能しなくなり、火力発電や水力発電などの代替発電でリカバーできなかった場合、世界恐慌を惹起しかねないリスクを秘めているとも言えます。 まあ、先進国の金融関係システムの場合、自家発電システムや優先的に電力供給網をちゃっかりと確保して万が一に備えているとは思いますが、首都や大都市を隕石の類が直撃して数万人~数十万人の死傷者が出るような事態だとそういった備えも無意味になりかねず、数トンの隕石がたまたま一つの原子炉を直撃した日が西暦が終わった日として記録されかねないわけです。 どこかの金融システムが数万人を越える死傷者と伴に崩壊したとしても、直撃を受けなかった国や地域にとっては他人事で終わるかもしれませんが、一部地域との国際間商取引が停止というか不可能になって復旧までに時間がかかる場合、時間の経過と伴に確実に物資の偏在が生じるようになり、全体としては需要を賄えるだけの物資があったとしても、それを効率よく配送したり、交易に伴う代金決済が行われないが故に港や倉庫などで足止め状態になれば、次第にパニックが拡散して二次災害、三次災害に伴う死傷者数が鰻登りに増加していくことは不可避でしょう。 そういった緩やかに既存の文明が死滅していく終焉を向かえた場合、農山村など人口密度の低い日本だとその多くが過疎地域へ疎開して自給自足しながらパニックをやり過ごすのも賢明な選択だと思いますが、当然のようにそういった混乱をチャンスと捉えて軍事侵略を始める国や暴徒と化す人達が出てくることも過去の歴史は示しています。 考えてみれば、原子炉というのは地表近くで疑似太陽を形成しその出力を調整しながら熱源として利用しているわけですから、ある意味で、地表近くまで小さな小さな(そしていささか不安定で制御が難しい)太陽が落ちてきている状態と捉えることもできるだけに、暴走した場合は洒落にならないというか、人類の手に負えなくなるのが当然といえば当然の存在ではあるわけです。 その意味では、地表数メートルの所まで大小さまざまな太陽が世界のあちこちで200ヶ所を越えて落ちてきているシュールな状態になっているわけですが、その星々が現在の欧米系の文明を下支えしてもいるわけです ・・・ 平均寿命が十年以上短くなって大量の餓死者が出ることなども覚悟の上で総ての既存のシステムを捨てたとしても、少なくとも国家間の戦争は無くならないとわかっているが故に、可能な限りの現状維持を試みる人が多いのかもしれません。 (2013/04/13)