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藤沢周平作。小藩の侍の出世と挫折の物語である。 見ごたえがあった。そこに忘れられた日本人の情と倫理とでも いうようなものが描かれていた。 副題が「なお足るを知らず」である。 藤沢ファンならご存知なのであろうが改めてその格調を知る。 かくありたいと思わせる権勢への欲と引き際の清さが描かれていた。 侍だからではなく、共同体の秩序と倫理がやはり成員すべてに守られて いたのであろう。 また、人も物産も情報もそれで十分なほどであったのであろう。 「常識」というもの「伝統」というものが、人の身丈にあって、よく 伝えられていたのであろう。 とにかく昨今の日本人のふるまいの奇矯があざやかに照り返される。 拙句10ほど。 父祖の地や 茂るがままの 夏木立 夏の日や われたまさかに野卑ならむ 夢ならば 世を捨てたりはせず花火 墓に遭ふ 杉田玄白の 秋深し 秋怒涛 小樽の濱の家二軒 故人もと主義者なりしが 秋の風 秋の夜や 静かに櫓こぐ 舟一艘 時雨るや 門前仲町 通夜をゆく 訛れども 忘れがたなき 里の夏 躓けど 杖なし今日の 秋風や 以上です。ご批評を乞う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年12月06日 21時25分54秒
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