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風狂夜話2

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2007年12月08日
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ある本で「性の民俗学」があるということを知った。

それによれば前近代では女性はその労働力に応じてそれなりの地位があった。

近代になって専業主婦が生まれ、経済力がないゆえに自立できず、哀れにも

性の世界でも主導権を失ったという。

したがって純潔主義や性のタブー化は近代の所産であると。

かつて農耕社会では男女とも15歳くらいで大人として扱われた。

大人というのは性の体験もするという事である。

農耕社会では性的な話は実はかなりオープンであった。

だから性交だけですぐ結婚しようなどというのは無謀なことであった。

性交は日常茶飯事で、今日の不倫などというものはごく一部の富裕層の家柄に関する

不祥事であった。

たとえば盆踊りとか田植えとか冠婚葬祭などという農耕社会の必要な行事の時には

乱交状態は珍しいことではなかった。(豊饒への祈願をこめるなど)

近代以降の支配権力の統制で性がタブー視されると、売春や買春が企業化される。

だが貨幣経済の未発達な農村では当時売春が成り立たない。

そこで「夜這い」による性教育が非公式に行われる。

ムラにより「夜這い」にも厳しい掟がある。ムラの掟を破ると生活ができなくなる。

かつては「夜這い」で年上の娘や出戻り、後家などが若衆を教育していたという。

そして壮年の男たちは水揚げした娘たちを訓練したのである。それほど完全な性教育

が行われた。父兄や母、姉たちが自分の娘や息子、弟妹の筆下しや水揚げを依頼

するという事もあった。相手は単に性的技巧の達人ではなく人間的にも信頼できる人物

を選んだというのは云うまでもない。

即ちムラの長老が選ばれたりする。あくまでも近代の以前の話ではあるが。

いまの内部告発どころではない。人の振舞いはムラでの命や生活がかかっている。

近代はしかし性を家族のなかに押し込めた。性交と結婚を一致させ婚姻関係にある男女

のみの性交を正しいものとした。

明治以降の国民国家はそれにより支配権を確立した。時に警察権力も発動した。

とくに戦争時の青年は強力な影響を受ける。

農村共同体は工業化で徐々に衰退し、性教育の場(「夜這い」や「若衆宿」の無化)

を確実に失っていく。

前近代のしきたりや掟を私たちはもう忘れている。そこでは支配階級のみが身分や血筋を

大切にしたが庶民はむしろ性についてはオープンであった。

今日の性産業は近代のもので農村の宗教や共同体の習俗とほとんど関係なく運営されて

いるのであろう。都市の所産である。

しかしいえることはすべての成員の「貞操観念」の確実な希薄化である。

昔のきわめて濃厚なムラ意識にささえられた、共同の祭神に捧げられた行事と

しての性生活は今日、性産業の愚劣なキャンペーンの配下にあり追放の憂き目に

あっている。

農耕社会もほぼ崩壊したが、性の輝かしい歴史(庶民のささやかな享楽)も

経済合理性に侵され死滅しつつある。いいことであろうか。

 なぜか山頭火

 自嘲

 うしろすがたのしぐれてゆくか

 そして

 分け入っても分け入っても青い山


 





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最終更新日  2007年12月09日 17時25分07秒
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