福田首相最後の決断
福田首相が辞任を表明した。9月1日。前任者安倍元首相からほぼ1年の政権運営の最後である。あまりにも突然の辞任表明に国内は揺れた。何が一番の原因か。辞任表明の直接の理由に「予算編成の道筋をつけたので、その執行実現のためにはむしろ体制を一新し、新しい人物で推進するのがベターである」と説明した。あきらかに政策実現の途上で政権を投げ出し、その責任を回避した発言である。今後の国会運営で太田農水相の事務所費問題、テロ特措法の延長問題、公明党の福田降ろしなど、政敵小沢民主党の攻勢に対し、なすすべなく対応を迫られるのが嫌になったと見るのが妥当であろう。はたして思惑どおり、麻生自民幹事長の総裁、首相選出までたどり着けるかはなはだ疑問である。ここは福田氏の「国民目線といいながら、独りよがりのお坊ちゃん気質のお膳ひっくり返し」と見るべきであとさきは考えてはいまい。小沢民主党や太田公明党、また自民党の抵抗勢力など「イジメ三兄弟」に最後っ屁をひりだした福田氏の決断というべきである。あと官僚の恐るべき権益保持、サボタージュの実態に呆れたのであろう。石井慧の「純粋な福田首相では人気は出ない」という見立ては正確であった。ついに内閣の支持率は上がらなかった。洞爺湖サミットでのブッシュとサルコジの福田氏を小馬鹿にしたような悪戯がいまも眼に焼きついている。ああ欧米列強に猿扱いをされた日本人政治家の残像がまだ消えないのであるなと。福田氏は丁重なもてなしをこころがけたのだが青い眼のボスたちは、中国に媚を売り日本の優雅な儀式を鼻であしらった。やはりここは最新鋭の軍を率いた天皇制が一番効果的なのかなと、アフガンの悲劇をみせられて感じた次第である。つまり人類は戦争のほんのつかの間平和にひたる。いずれにせよ福田氏は大きな舞台を用意した。もう逃れられない。