子犬物語10
僕の手は、キズだらけになってしまった。消毒液を買いに出掛けた。その帰り道で、ある事に気がついた。「そうだ、この方法ならドッグフードを食べてくれるかも知れない・・・」走って家に帰った。パンにドッグフードを少しだけ塗り、念の為に牛乳を漬して床に置いた。・・・・・・・食べた。「よし、この調子で、少しづつドッグフードの量を増やして行けば、きっと大丈夫だ・・・・」次の日、ドッグフードの量を昨日よりも少し増やしてみた。ちゃんと食べてくれた。「よし!この調子だ!」そして、一週間が過ぎた。その頃には、もうドッグフードとパン割合は半分づつにまでなっていた。コロは、とても元気だった。ロックはいつも風邪ばかりひいて病弱だったのに、コロは病院とは無縁だと思えるくらい元気だった。元気な事はとても良い事だけど・・・、ただ一つ気になっていた事があった。「この噛みつき癖を治さなければ・・・・、少し厳しくしつけをしよう。」ある日、コロと遊んでいた時、また噛みつき癖がでた。もう、少しづつ大きくなっているので、噛む力も強くなって来た気がする。「ピシャ!」おしりを叩いた。すると、次の瞬間、コロはおしっこを洩らした。上目づかいで、こっちを見据え、恐怖におののいている感じだ・・・・そんなに強く叩いたつもりはないが、きっと初めて叩かれたショックがあったのだろう。僕は安易に考えていた。しかし、その時から、コロは、ちょっと怒られただけで洩らすようになった。椅子をかじった時、「こら!」と言っただけで洩らしたそして更に、抱きかかえただけで・・・、おしっこが顔に飛んできた。コロは、生まれてから、なにか辛い事があったのだろうか・・・いや、辛い事があったに決まっている。まだ子犬なのに、動物管理所に居た事自体、それは普通な事ではない。親犬が子供を産んで、その子供に里親が付かず、飼主が捨てたのか・・・?それとも、ペットショップの売れ残りなのか。身体は元気でも、心は確実に病んでいると思った。どうにかして治してあげたい。つづく・・・・・