子犬物語14
黒い犬は、駆け出した事に気づき、すぐに追って来た!無我夢中で走った。しかし、ゴミ置場に辿り着く直前で追いつかれてしまった。その黒い犬は、僕の足目掛けて飛び掛って来た・・・・「ガルルル・・・・」あっ!!足を噛まれた!!!・・・と思った。しかし、運よくズボンの裾を噛まれただけだった。しかも、そのズボンの裾を、ずっと離さないでいる。鬼のように顔に皺をよせて、狂わんばかりにズボンの裾を咥えたまま顔を上下させている。コロは僕の胸にしがみついている。しかし、本能のとおり、下方の犬に向かって吠えるのは忘れていない。緊迫した時間が過ぎた。ほんの数秒だったと思う、しかし、とても長く感じた。ホウキのある場所までは、あと3メートルほどだ。だが、木が邪魔をして見えない。「本当にあるだろうか・・・、頼むからあってくれ!」僕は強引に振りほどいた。その時、一瞬その犬は「ガルルル・・・」と威嚇した。その一瞬をついて、僕は木の裏側まで走った。「あった!」ホウキがあった・・・・一秒とかからぬ間に、すかさず、そのホウキを取り、そして、振り向きざまに、その犬の顔目掛けて振り下ろした。「バシッッ!!!」犬は一瞬、怯んだように見えた・・・・しかし、次の瞬間、さっきの倍くらいの大きな声で威嚇しながら突進して来た!「危ない・・・」僕は無我夢中で、その手に持っているホウキを、もう一度振り下ろした。さっきと同じ強さでは効果がないと思ったのだろう。突発的に、かなり強く叩いたと思う・・・・ホウキは二つに折れてしまった。つづく・・・・