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カテゴリ:蛇図親爺徒然草
途中、仕事上&別件で読む本が増えてしまい、少々長くかかってしまったが北方版三国志・全13巻を読了。久々に長編時代物を読んで満足
別巻「三国志読本」もあるのだが、それはまた別の機会にして、感想を少々・・・ 三国志と言えば横山光輝・・・は漫画版の方で(もちろんこれも読了済)、単行本の決定版といえば吉川英治のものが有名だ。吉川版は大学の頃、一気に読んだ記憶があるが、「三国志演義」に基づいた一大抒情詩となっていた。 では北方版は?と言うと「人間臭い作品」と言えるような気がする。 例えば孔明などは、今までは森羅万象に精通した人間離れした頭脳の持ち主で、下手をすると神通力まで使ってしまうような人物に描かれていたが、北方版では戦略に悩み、失敗を繰り返し、結局大きな勝利を得ることもなく病に倒れて行く。劉備しかり、曹操しかり、孫権しかり・・・人間は人間以上になれない。しかし、信義や誇りを失わずに夢を追い続ければ男は「漢(おとこ)」となり歴史に名を刻んでいくことが出来る。そういわれたような気がした。 こそこそと人の顔色を伺い、ウソにウソを連ねて、その時だけに生きていては「漢」などになれる訳もない。虚勢を張って自分を大きく見せようとしても所詮、真実の前に敗れ去っていくだけだ。 この作品には、そのようなズル賢い「男」にもなれないような人物はほとんど出てこない。信義に厚く、絶対に人を裏切らない、人を売るくらいなら自分が死んだほうがマシだと平然と敵の中に飛び込んでいけるような、胸のすく生き方をしている男たちが登場する。 私も最近、苦々しい思いをさせられる事に遭遇し、まさしく男にもなれないような人間を間近に見てしまった。まさに痛恨の極み。深く落胆し、失望したところだった。浅知恵とウソを巧妙に使い、人に迷惑をかけながら生きている人間とは今後の人生の中で二度と接点を持ちたくないなと思う。 物語に登場する人物たちは皆、見果てぬ夢を見続けていた。大きな志を持ち、生死をかけた戦いを繰り返しながら痛快に人生を走り抜けていった。 「漢」とはかくあるべし。 力が強いとか、体力があるとか、そう言った面だけではない。要は「生き様」「潔さ」が大切なのだ。 人生に悩む人たち。気力が減退している人たち。この作品は読むに値すると思う。文庫本で全巻読めるので、ぜひチャレンジしてみて欲しい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 27, 2006 11:44:17 PM
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