第54話 この方法に限る その1.
「え、え~っと・・・これってやっぱり、アレだよね?」 「ど、どうだろうな‥‥だが、完全に嫌な予感しかしねぇのは確かだな」 「私の耳が確かなら大きな岩がこっちに向かって勢いよく転がってきてるように聞こえますが」 「あまり後ろの状況を確認して現実を受け入れたくはありませんけれれど・・・一応、見てみませんこと?」 恐る恐る私達は後ろに振り返ってみたんだよ・・・うん、見るんじゃなかった。 大きな岩がね?インディージ○ーンズばりに私達の方に向かって全力で転がってきてるんだよ。 「わ!?わわわわわわわ!?い、岩!岩だよぉおおお!?」 「セ、セセセ、セラ!わかってます!それはわかってますよ!!」 「ど、どうすんだよこれ!流石にその場に止まってる岩ならまだしも、転がってるあれだけ大きな岩をぶっ壊すのなんて芸当流石の私でもできねぇぞ」 「に、逃げますわよぉおおおおおおお!」 私達はこの場から急いで全力で岩から逃れるために走り出した。 「これどこまで追いかけてくるのぉおおおおお!?」 「どこか隠れられる場所はないんですかね」 「だぁあああああああ!もうダメだぁああああ」 「わたくし達、このまま岩に押しつぶされて死んじゃうんですわぁあああああ」 全力で岩から逃れるために道ナリに進んでたんだけどさ・・・ 「え?ちょ!?行き止まりだよぉ」 うん、残念私達の冒険はここで(ry 「おい、こっちに抜け道あんぜ」 クレッシルがそう言って私達の手を引っ張ったよ。 そして、間一髪のところで転がってくる岩を横に避けた私達。 ズシーン!! 大きな音を立てて私達がさっきまでいた場所を完全にふさぎきった大きな岩。 あれに巻き込まれてたら、そう思うとぞっとするよ・・・ 「ふわぁ・・・あ、危なかったねぇ。もうちょっとでおせんべいになっちゃうところだったよ」 「うぅ・・・矢セトになりそうになったり、おせんべいになりそうになったり、本当踏んだり蹴ったりですわ」 「セラ、アセト?こっちを見てください。何やら広い場所に出られそうですよ」 ミハイルの指差すほうを見てみると、確かにこの横道の奥に開けた場所っぽいものが見えてる。 通路を通って抜けると、そこは大きな広場だった。 そして、その広場の奥には湖。その湖の更に奥にはもっと奥に続く為だと思われる通路が見える。 「この湖を渡って奥に行けってことかな?」 うん、湖の奥に見える通路以外に奥に行くための道が見えないし、そうだと思うんだけどね? 「多分そうだとは思うのですがね・・・」 「でもよ、橋とかも何もねぇよな?」 「スイッチだったり、イカダだったり、何か転がっていないか調べてみませんこと?」 特に向こう側に渡るためのモノは見当たらなかったんだけどね?その代わり、看板が立てかけてあるのを見つけた。 あれに方法書いてあるのかな? と、いうわけで。私達はそこへ移動して立て看板の内容を確認してみた。 天を仰ぎその先に見ゆる目を隠せ。さすれば道は開かれん 立て看板にはそれだけが書かれていた。 「何のことだろ???天を仰ぎってことは上を見ろってこと?」 上を見てみたらね?なんか天井に楕円形の穴が並ぶように2つぽっかりと空いてるのが見えたんだよ。 「あの穴をふさげば奥にいけるってことなんでしょうか?」 「でもよ、ここに来るまでにそれらしいものってなかったよな?」 「さっき岩から逃げてる時に通り過ぎた場所に何かあったのかな?」 「その可能性は高そうですね」 ということは、さっき私達が通ってきた横道の出口を塞いでる大きな岩をクレッシルに壊してもらって戻りつつ確認していかないといけないってこと、だよね? とりあえず近場に何かないかグルリと辺りを探索してみたけど、天井の穴を塞ぐようなモノは見当たらなかった。 「なぁ、もう面倒だしよ?泳いでいこうぜ」 そう言いながらクレッシルは軽く準備運動をしてから湖に飛び込もうとしたんだよ、したんだけどさ。 その時、湖の中から何かがバシャン!と水しぶきを上げて飛び出したんだよ。 「な、何だぁ!?」 「あれは人喰い魚ですね・・・しかも大量にいるみたいですし、これは泳いで渡るのは諦めざるを得ないみたいです」 「あ、あはは・・・流石にズルは出来ないよねぇ」 と、いうわけで。諦めてきた道を戻ろうとした時だったよ。 「閃きましたわぁあああああああああ!」 急にアセトが嬉しそうに大声をあげたんだけどさ・・・ うん、嫌な予感しかしないんだよ。 とりあえず、あまり期待せずに私はアセトに何を閃いたか確認だけしてみることにした。 第54話 この方法に限る その1.終わり その2.へ続く