淡路島の最南の海岸線をひた走りに走るコースのとある場所。今までは昨年の台風23号の影響で土砂崩れがあって、ずうっと工事中だった道路が今日はやっと通行止めの看板が外されていた。まだまだ機材は置いたままだから、工事そのものはまだまだ続くのかも知れないけど、久し振りに利用者さんのお宅まで届けることが出来た。今までは、午後5時を回らないと歩くに歩けないからと、わざわざ通行止めの看板が立てられる場所まで歩いて私たちが到着するのを待っていてくださった。これで完全復旧したわけではなく、まだ瓦礫に埋もれたままの場所が。フォークリフトを使って貨物を積み下ろしするときに使う様なコンパネみたいな感じの、それこそ軽四以上に重い車だと絶対にずり落ちそうな仮の橋が置かれたまま。スリルがあるどころの話ではない。一つの橋を渡り切ったと思ったら、次は瓦礫のままのでこぼこ道。それから二つ目の橋を。で、行くときは仕方がないので、この仮に置かれた板製の橋を二つ通過して、次の場所へ移動するときは、片側が断崖絶壁になった様な狭い道を下ることになる。ここは完全な一方通行。仮設の信号機が設置されていて、×になっていると5分は待つことになる。例えば残り10秒というところで車の姿が見えないときは絶対に大丈夫。なんてことはなくて、これには驚かされたことがある。だから、ここは辛抱強く待つしかない。
たまたま利用者のお宅の近くで工事をしていたと思われる作業員を乗せた車が後ろにピタッとくっついて信号が変わるのを待っている。ここは待つしかないのだから。信号が〇印に変わっていざ出発。。。後にピタッとくっついて待っていた筈の車がなかなかやってこない。やはり、余り鼻先をつけると悪いと思ったのか、かなりの距離を置いてやって来る。この恐怖の坂を下り切ったら今度は海岸線を更に東へ。もう、この頃には後方にいた筈の車の姿は見当たらない。確か、軽四だったと思ったけどなぁ。
そして、またヘアピンカーブの様になった上り坂を上って行く。ここまで来れば、前の橋を渡れば洲本市に入る。それこそいつ崩れてもおかしく無い様な壁の様になった気味の悪い土砂を左手に見ながらひたすら上る。右側はやはり断崖絶壁。でも道端には桜が何本か。はやり壁の様な土砂に遮られるためか、桜は他の場所とは違い、チラホラ咲き。
初めて走ったときは、この坂の上に人が住んでいるなどとはとても信じられなかった。家を建てる材料を運ぶのさえ大変だと思うのに、案外瀟洒な家が建てられていたりするから、本当に不思議。坂の上のお宅へお弁当を届けたら、担当したコースの配達は無事終了。帰りはひたすら海岸線を走ることになる。
今度は海を左手に見ながら、海岸線の地形に沿う形で道路が付けられていて、勿論、海には護岸用のテトラポットがいくつも並べられている。砂浜ではないので、せいぜいサーフィンを楽しむぐらいしか出来ないかも知れないけど、やはり淡路島には何といっても海が似合う。
冬の冷たい風は、雪国東北に住む人が驚く程本当に冷たい。どうかすると、水仙が咲いても風は冷たかったりする。外に出ようなんて気になれたものではない。それでも、今日は沢山の蛸壺を運んでいる車に出会って、いよいよそういうシーズンでもあるのかな、と。山ではウグイスが気持ち良く声を響かせている。本当にのどかな空気。でも、実際は枇杷なども断崖になった様なところに植えられていて、袋掛けの作業だけでも大変だろうと思う。若者が勤めに出る方を選ぶのも仕方がないのかな。そして、枇杷の値段が高いことも何となく頷ける気がする。配食の仕事でなかったら、恐らくは走ることなど無い道。同じ淡路島にもこんなところがあるんだ!と、つくづく思う。と同時に、道路の維持管理作業なども大変だろうな。と。車だから文句も言わずに走ってくれるけど、これを歩いてとなれば、本当に大変。それにしても、あの木の仮橋は一体いつまで渡ることになるのかなぁ。今にもずれ落ちそうな気がして、とても往復する気になれない。確かに、崩れ落ちた大きな岩盤をどかすことから始めなきゃいけないだろうから、完全復旧にはまだまだ時間がかかりそう。作業自体も危険極まりないだろうし、作業に当たられている人には本当に有り難いと思う。