今日付け地元紙の『正平調』に、歴史小説で名を馳せた池波正太郎さんのこんなエピソードが述べられていましたので、そのまま引用させていただきます。
『作家の池波正太郎さんは、「総菜日記」なるものを長くつけていた。その日に食べたものを並べただけで、例えば昭和42年12月9日は、こんなふうだ◆「昼12時 鰤(ぶり)の塩焼き、葱(ねぎ)の味噌(みそ)汁、香の物、飯。夕6時 鶏(とり)のハンバーグ、グリーンサラダ、鰤の山かけ、大根とアサリの煮物、飯。夜食11時 更科(さらしな)の干しうどん」。昼の項には、ウイスキー・ソーダ(2)とあって、なかなか細かい。冷や酒(茶碗2)なんて日もある◆奥さんが献立を考えるヒントにするためだった。池波さんは家にこもって仕事をした。気分転換の意味でも食事は大事にしたい。だが、三度三度、頭を痛める奥さんはたまらない。それなら過去食べたものを並べ、お気に入りに丸印を入れておけば参考になる◆ここで終わらないのが食通の食通たるゆえんだ。自分でつくる。とりわけ冬の池波流「小鍋だて」は絶品だ。底の浅い小さい土鍋に、酒3水7の割合で煮立て、アサリのむき身と白菜を入れて、火が通ったらさっと引き揚げ、ポン酢で食べる◆刺し身にした後の鯛(たい)のアラを強火で焼き、身を崩して、豆腐とミツバを混ぜて似る。小鍋だては煮すぎてはいけない。具材も2、3品でいい。手際よくつくり、さっと食べる。お相伴の奥さんの笑顔が浮かんでくるようだ◆「おふくろの味」には、思い出がつまっている。毎年正月のお雑煮が典型だ。張り合う必要はないが、「おやじの味」があってもいい。不器用な手つきは、ひと味違う形で、子どもたちの記憶に残るだろう。』
簡単で、しかも美味しいとあれば、作らない手はありませんね。今夜あたり。。。どうでしょう?