という書き出しで始まった、今日付け地元紙の『正平調』。そのまま引用させていただきます。
『それはギリシャ語の「永久不滅の」という言葉に由来するという。繊維のように柔らかな鉱石で、燃えにくく、錆(さ)びず、絶縁に優れ、「奇跡の物質」と呼ばれる。それがアスベストだ◆しかし吸い込むと、中皮腫や肺がんなどの恐れがある。潜伏期間が長く、40年近くに及ぶケースもある。だから「静かな時限爆弾」の異名がある◆一昨年6月、尼崎市のクボタ旧神崎工場で、周辺住民の健康被害が明らかになった。その衝撃は「クボタショック」と言われた。あれから間もなく2年になる。先日、東京で環境省の検討会が開かれた。そこで明らかになったデータを見て、あらためて衝撃を受けた◆旧神崎工場があった地区では、中皮腫で死亡する危険性が、女性の場合、最大で全国平均の68.6倍に上るという。同じ地区の男性も最大21.1倍と、決して低くはないのだが、女性のあまりの高さが目を引く。ほぼ1日中地区で過ごす主婦が、知らず知らず工場から出るアスベストを浴び続けた、としか思えない◆周辺には今も昔も公営住宅や民家が立ち並び、学校のチャイムの音が響く。たくさんの人が暮らし、子どもを育ててきた。その地域で、中皮腫や肺がんなどに倒れ、亡くなる人が出た。石綿によるひどい咳(せき)で苦しむ人もいる。暮らしを踏みにじる「公害」。街を歩くと、そんんな実感を強く持つ◆アスベストは今も、私たちの身近にある。「時限爆弾」が体の中で、静かに時を刻んでいるかもしれない。被害者たちの声にしっかりと耳を傾けたい、と思う。』
潜伏期間の数字の大きさに改めて驚く。知らず知らずに肺は塞がれ息をする苦しさに顔を歪めなければならないだなんて。
アスベストによらずとも、今日は世界禁煙デー。受動喫煙などもってのほか。