『要約は脳トレ』という言葉に惹かれて参加を決めた今日の研修会。色々考えるのは面白いし、想像力を働かせて、ああでもない、こうでもないの繰り返し。
実際の紙面を模した紙が渡され、実際に見出しを考えてみる。大見出しの文字数は10と決まっているらしい。そして決め事が色々あるらしい。大見出し、そして、中見出し。
新聞記事には前文というのがあって、ここに全て伝えたいことが述べられているらしい。第一面トップを飾る記事は、新聞社によって違う。何を伝えたいのか。どういう記事にするのか。それを限られた文字数で表すのはかなり難しい。
第一面トップ記事の見出しは大体横に。そして、縦に、場所とかにポイントを置いた見出し。
記事と称して与えられた文を一通り読んでみる。これは、全くのフィクションで事実とはかけ離れた記事だけど、読み方にも気をつけていないと、内容が把握できない。そして、いよいよ問題の、大見出しを10文字で考えてみる。
記事をまとめる上で大事なことは、やはり“5W1H”にまとめられる。誰がいつどこで何を。そして、それがどうなったのか、またどうなって行くのか。というように。
要約筆記においても、情報として抜けてはいけない事柄がある。例えば、全員でどこかへ散策に出かけるとして、それがいつ行われるのか、集合時間や集合場所。といったことは絶対に抜けてはいけない。また、会費などを集めるならば、当日なのか、前もって集めるのか。といったことなども重要になってくる。目からの情報に頼らざるを得ない人のための情報保障。情報が欠落していたのではどうにもならない。
講演会などで、講師の内容をOHPを使って手書きで。という場合、ついつい言葉を追ってしまう。でも、講師の言葉通りに100%書くなんてことは絶対に無理。例えば、今日は難聴者の集まりなのだから、少し話すスピードをゆっくり目に。とか考えてくださると、とても有り難いけれど、なかなかそうはいかないのが現実。
何を伝えたいのか。という意味では新聞と大差無いような気がするし、現実には新聞紙面として印刷される時間、紙面にも限りがあるし、一旦印刷されてしまうと、もう間違いを正すことはできない。
何かの会合などの場合、“来賓祝辞”というのは、前ロールといって予め原稿を戴いて、そのままロールに書いて準備することはできる。ところが、その場で。となると書こうとして言葉が続かなかったり、書いている途中でもう次の話題に移っている。
そこで、同じ意味の言葉で、なるべく文字数の少ない言葉に書き換え。ということが行われる。勿論瞬時のうちに判断しなければならないので、かなり“要約力”を求められる。
講師の方の癖を知っておくとか、慣れるまでには時間がかかってしまうけど、毎回講師が違う場合は全く当てはまらない。
今日は要約筆記通訳者だけではなく、難聴者の方の参加もあり、実際に手話通訳とか、PCを使ってのいわば同時通訳が行われ、凄いなぁ、と思うことばかり。
普段から新聞紙面を通して、“要約”の勉強をしなければ。俳句なら17文字だけど、新聞の見出しが10文字。これで全てを語れるのだから、高度な技術だと思う。そして、やはり物事のとらえ方が一人一人違うこと。なので、どれが正しい見出しの付け方か。なんてことは誰にもわからないこと。場所と、時間と何が起こったか。そしてどうなったか。
“キーワード”という言葉もよく耳にするけど、何がポイントになるのか。ということでは的確に表した言葉だと思う。
紅葉真っ盛りの六甲山を電車の窓越しに眺め、三宮から一駅の灘駅からひたすら歩き。お天気が良かったので、ハイキング姿のグループもいくつか。会場の近くには県立美術館もあるので、そちらを楽しまれた仲間も。ともあれお天気に助けられた研修だった。