See The Stars...

前回の日記で海外文学では名前で混乱することがある、のようなコメントをいただいた
確かに欧米の名前には、ミドルネームやクリスチャンネームがある。
さらにdimという短い名称もあり、しかもこのdimが社会での使用において
結構な幅を利かせているから、なおのことややこしい

dim　⇒　diminutive 指小形（愛称）　Susan ⇒　Sue（スー） のような

このdimというのは、前述のようにがっちり市民権を持っている
日本でよく呼ぶ、めぐみちゃん⇒めぐちゃん、とは重みが全く違う
だから小説や映画で、当たり前のようにdimで描かれ、呼ばれるのだ。

アメリカの元大統領、Bill Clinton（ビル・クリントン）　の本名、William（ウイリアム）に
ニュースなどでお目にかかれることは、在任中ほとんどなかったように思う。
William の dim は、Bill （ビル）

私には、人間風車の Bill Robinson がなつかしい

思いつくままですが、いろんな名前のつながりを見てみましょうか

まずは若草物語。原題　Little women
Jo (Josephine) March ジョー（ジョセフィン）
Meg (Margaret) March　メグ　(マーガレット）
Beth (Elizabeth) March　ベス　（エリザベス）他に Betty（ベティ） もdim
Amy March　彼女だけは Amy（エイミー）が本名。お鼻を高くしたい子よね。

かわいいテディ・ベア(Teddy Bear)、の由来もアメリカの大統領から・・・
第26代大統領、Theodore Roosevelt （セオドア・ルーズベルト）の愛称がTeddy
Theodore の愛称には他に　Terry （テリー）がある。これは男女共用の愛称

以前に触れた、トップガンに登場する美人教官、Charlie （チャーリー）、
彼女の本名は Charlotte （シャーロット）
Charlie も男女どちらにも使える。もちろん男性の場合はCharles（チャールズ）。
ちなみに私のHN、Chris（クリス） も男女両方に使える。
Christpher, Christine...（クリストファー、クリスティーン）

またロシア人には独特の命名・呼称がある。
この仕組みを知らないままロシア文学に触れたとして、どのくらい正確に
ストーリーを理解できるのだろうかと、不思議に思うことがある

せっかくなので、簡単に紹介します。
（これも知ってる範囲なので、間違っていたらご指摘ください）

ロシア人名称の基本形　⇒　ファーストネーム+父称+ファミリーネーム（苗字）

しかもヨーロッパ言語によくある、名詞の姓が支配するので、男と女で語尾が変わる。
ロシア皇帝ニコライ2世の皇太子・アレクセイと皇女・アナスタシアで見てみると・・・


前列・父 ニコライの右がアナスタシア、そのとなりがアレクセイ

アレクセイ・ニコラエヴィチ・ロマノフ　（ロマノフ家のニコライを父とするアレクセイ）
アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノワ　（ロマノフ家のニコライを父とするアナスタシア）

男の子の場合、お父さんの名前に（エ）ヴィチ、女の子の場合は（エ）ヴナをつける。

また女の子は苗字にも語尾に女性を表すa,ja（ア、ヤ）が加わり読みかたが変わる。
ロマノフ⇒ロマノワ、なので真央ちゃんのタラソワコーチのダンナはタラソフ氏（笑）

小説などでは、通常はこの名前に父称を加えて表されるので、基本を知らないと
別の名称で出てきたとき、新しい登場人物か、と迷うことにもなりかねない

細かいことはブッチして読み進んでも、さらにロシア名には愛称がわんさとある

アレクセイはアリョーシャ、セルゲイはセリョージャ、ニコライはコーリャ・・・
タチアナはターニャ、アンナはアーニャ、アレクサンドラはサーシャ・・・
（アレクサンドラの男子名、アレクサンドルも愛称は同じくサーシャ）
これらの愛称はすべて、女性名詞の語尾をとる。（a,ja　ア、ヤで終わる）

その多様なこと、紛らわしいことこのうえなし
マリア1人が3人くらいに増えるよう・・・？
マリア、マーリャ、マリア・イヴァーノヴァ･･･

モスクワ五輪のマスコット、こぐまのミーシャ　男子名、ミハイルの愛称だ。
時の書記長はレオニード・ブレジネフ(愛称・レーニャ）
でもって彼の政治から脱却して、ペレストロイカを進めたのが、
かの有名なミハイル・ゴルバチョフ 皮肉なもんですね。

名前の数自体が、日本語ほど豊富じゃないから、こんなことも起きるんですね

今日は長くなっちゃいました。少しはお役に立てたでしょうか