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前夜2号
インタビュー 新しい文化と抵抗のだめに 「<苦痛の連帯>をもとめて」―韓国・新しい平和運動の思想と歴史学 より抜粋 韓洪九 (著「韓国とはどういう国か」平凡社) * 終わっていない「親日派」問題 ―韓洪九さんは、植民地支配と、解放後の「民間人虐殺」問題をつなぐ歴史的な回路として、 「親日派」と言う問題を大きく取り上げています。 本書には、1990年代におきた日本の「教科書問題」に対する抗議をきっかけとして、 韓国社会内部の保守言論に対する言論改革運動が起こり、その取り組みから、 親日派が解放後に果たした負の役割の追求へと展開していったとあります。・・略・・ 当時は、韓洪九さんたちの活動ののような、日本社会の歴史認識と責任を 繰り返し厳しく問うとともに、 植民地主義の暴力が、解放後に成立した韓国社会内部に引き継がれ 再生産されてきた実態を抉り出し問題化しよう という動きが生まれていたことを、ほとんど知りませんでした。 いまこのような出会いから、90年代末から2000年代初めに、 「従軍慰安婦」問題などに喚起されながら、 世界的な「否定論」の流れにこうして問うてきたことの意味が、 あらためて東アジアという広がりとその歴史のなかで はっきりと見えてくるように感じます。 * 親日派問題の前提として、「教科書問題」への取り組みから言論改革運動が出てくるまで 韓―日本ではなぜ歴史教科諸問題がこのようにしばしば歪曲され、 周期的に妄言が出てくるのかといえば、日本が過去の清算をできてないからです。 では日本は何故出来なかったのか、と考えるうち、・略・・ 韓国では(解放直後に軍部や指導層を)100%すべてそのままにされたのではないか、 という問いが出てきた。 * 運動の焦点が、「言論」と言う場に向けられた背景 韓―韓国では圧倒的に朝鮮日報の影響力が大きいのです。・略・・ 自分たちは常に絶対に正しい、と知識権力をもって君臨している。 言論にはこれほど大きな影響力があることを踏まえ、 彼らの力を削っていく運動を始めたわけです。 朝鮮日報は、・・真相は、日帝時代には誰よりも親日の手先であったし、 軍事独裁政権とは野合していたのです。 現在の新聞を見ても昔のことはわかりませんが、たとえば 日本の天皇や日章旗の写真が大きく写っている当時の朝鮮日報を読めば 一般の読者はとても驚くでしょう。・・略・・ こうした歴史を発掘しながら、お前たちは過去に嘘をついた、そして いま言う言葉も疑わしいのではないか、と主張したのです。 * 朝鮮半島において「過去清算」問題は、 * 親日派問題として現れたということでしょうか。 韓―そうですね。韓国では、(日本であったように、アメリカが介入して、 財閥の解体や一部政治家の処罰、軍部や貴族の政治の表舞台からの退場といった) 改革なしに、植民地体制をそのまま温存させながら、 ストレートに冷戦体制へ移行していったのです。・・略・・ 親日派の「残渣」ではなく「本体」そのものが残ったのですし、 もう一つは、親日派清算に失敗したどころではなく、 親日派を清算しようとした民族的良心を持った人物が、 かえって彼らに清算されてしまった。 したがって状況は、ただ失敗した程度のことではなく、 そうした言い方では上手く伝わらない、一層ひどいことが行なわれた ということなのです。 * 「盗人のように」やってきた解放 韓―・略・・独立運動がその解放にかかわれなかったことを考える時、 解放とはまさに「盗賊のように」訪れたもの、と感じられたわけです。 韓国社会の不幸は、親日派たちが権力を握ったということです。 それは、アメリカが彼らに絶対的な援助を与えたからです。 アメリカの助けがなければ、親日派たちが権力を握ることは不可能でした。 韓国現代史においてとても重要な民間人虐殺の問題についても、 このことと分けてしまっては本質を見誤ると思います。 民間人虐殺をしたのは誰か。 まさに親日派がしたのです。 ・略・・ 本当に重要なこと、真相を究明し再発を防止しなければならないことは、 親日派たちが解放後に執権を握ったことであり、 そのあとに自らの恥ずべき過去を隠すために何をしたかということです。 反民特委の破壊から民間人虐殺に至るまで、その過程は 私たちが絶対に許してはならない、処罰しなければならないものです。 こうした(日帝時代の)人々の子孫が、自らや自らの祖先が日帝時代にしたこと を隠すために、それを知っている人間をどうやって殺したかです。 ・・略・ 例えば、「拷問技術者」なる人物の場合、 本人自身は親日行為とは何の関係もありません。 韓国社会でいま守旧勢力として注目されている人間たちもまた、 彼ら自身を見ると、彼らは親日行為とは何の関係もない人たちです。 しかしながらこれを構造的に見ると、彼らは親日派が育てた人々であり、 日本帝国主義の残渣を受け継ぎ、むしろ拡大発展させた人々です。 親日派問題は、そのような次元で現在の問題として接近するべきなのに、 1945年以前に何をしたかというだけに余りに注目するならば、 問題の本質が見えなくなるのです。 その意味で親日派清算問題は、現在では軍事独裁体制清算の問題と同時に 提起されなければならないということです。・・略・・ その(解放直後)の時には敗北しましたが、 いま軍事独裁体制をしっかりと清算することを通して、 あの時には出来なかった親日派清算を行なう、というふうに 整理しなければならない問題なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年08月27日 00時56分56秒
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