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カテゴリ:秩父巡礼
第8番札所
山号:清泰山(せいたいさん) 宗派:臨済宗南禅寺派 本尊:十一面観世音菩薩 巡拝日:2008年4月1日 ----------------------------------------------------------------- 七番・法長寺を出て、横瀬川を渡り、その対岸方面へ向かう。 位置的には、さらに武甲山へ近づいてゆくことになる。 わずか1kmほど近づいただけだけれど、 横瀬川越しに見ていた景色とは一変して、 武甲山はもうすぐそこに見えるようになる。 八番・西善寺は、その山懐に抱かれるように建っている。 山門をくぐろうとすると、その脇に看板が立っていて、思わず襟を正す。 気を引き締めて山門をくぐると、 思わず声を上げてしまうような見事な大木が目に飛び込んできた。 コミネモミジという木らしい。埼玉県指定天然記念物。 ここの境内は周囲よりくぼんだ地形になっているので、 これほどの大木があるなんて、外からはまったくわからない。 モミジだから、もちろん見頃は秋。まだまだ青葉も芽吹いてはいないけれど、 根元の周辺は苔むしていて、その青々とした根元を見ているだけでも、 下手な庭園よりも充分美しい。 そのモミジの大木を正面にして、観音堂は建っている。 直線的で大きな屋根のお堂は比較的新しく見える。 少しだが建物の内部に入れるようになっていて、 薄暗いお堂の中で、目当ての十一面観音菩薩さまはもちろん、 阿弥陀さまなどいくつかの仏像、そして手の込んだ欄間も見ることができる。 その美しさに、ここでも思わずわぁと声を上げる。 納経所でご朱印をいただき、再びモミジの大木を見上げる。 この空間でこの木を見つめているだけでも、心は静寂に包まれる。 襟を正して山門をくぐってきたけれど、スッと肩の力が抜け、 周囲の目も時間も忘れて、かたわらのベンチでしばらく佇んだ。 と、初老の女性が近寄ってきて、カメラを渡された。 この木をバックに写真を撮ってくれという。 境内は狭く、どこから狙っても絵になる構図は期待できない。 あきらめて、それでもできるだけいい構図で撮ってあげると、 今度はあなたを撮ってあげるから、と言って、こちらのカメラをよこせという。 いやいやいいですよ僕は、と断り、急に居づらくなってしまって、 思わず小走りに寺を出てしまった。 寺を一歩出れば、そこは現実の世界。 さっきまで自分を覆っていた静寂は、心にはもうなくなっていた。 清泰山西善寺 埼玉県秩父郡横瀬町横瀬598 tel.0494-23-3413 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年10月20日 11時34分02秒
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