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カテゴリ:秩父巡礼
第9番札所
山号:明星山(みょうじょうさん) 宗派:臨済宗南禅寺派 本尊:如意輪観世音菩薩 巡拝日:2008年4月1日 ----------------------------------------------------------------- 八番・西善寺から九番への道のりは、直線距離なら1kmちょっとで済む。 古い巡礼道もきっと、出来るだけ短距離を選んでいたに違いない。 しかし今、ふたつの札所の間には巨大なセメント工場が身構えていて、 九番への道のりは大きく迂回することを余儀なくされる。 しかも、九番・明智寺は、そのセメント工場の入り口のすぐ手前、 大きなダンプがひっきりなしに行き交う道の脇にある。 ダンプは、通り抜けるたびに地面を揺らし、白い石灰の土煙りを巻き上げる。 心を落ち着けてお参りするには、あまりに乱すものが多い。 しかし、ここの観音さまは、こちらの胸の内を察するかのように、 穏やかな格好を以て迎えてくれる。 如意輪観音さまは、個人的に最も好きな観音さまだ。 ここの如意輪観音さまも、その仕草がとても美しい。 五番・語歌堂と同じ形式だったという観音堂は1883年に落雷で消失して、 その後100年以上、この観音さまは仮のお堂にいらしたとか。 しかし、1990年に今の六角の観音堂がようやく建った。 だから、回ってきたどの札所より、ここの観音堂は断然真新しい。 小ぶりだけれど安定感のある、そして均整の取れたお堂で、 観音さまも居心地のよさそうな表情で中央奥に座っておられる。 しかし、横瀬町が設置した案内板は新観音堂が建つ前の記述のままで、 何度か案内板とお寺の建物を見比べて、様子が違うなぁと考え込んでしまった。 秩父市内の札所の案内板はどれも新しく作り直されていて綺麗だが、 横瀬町の札所の案内板は、いつ設置したものか、どれも古ぼけていて、 このように時の流れに乗ることができていないものすらある。 もし、セメント工場からの税収が見込めて、 観光資源を有効に利用していこうと町が考えるのなら、 こういうところにより税金を投下するべきではないのだろうか。 観音堂に向かって左手には納経所と本堂と思しきお堂が連結して建てられている。 これ以外に境内にある建築物といえば公衆トイレぐらい。とても小さなお寺である。 と、その納経所で、見覚えのある男性がご朱印をもらっている。 二番・真福寺であの急な山道を自転車で登っていた、あの白髪の男性である。 どういう順番でいくつ札所をまわってきたのかわからないけれど、 さして疲れた様子も見せていない。あらためて、その健脚に驚く。 明智寺を一歩出れば、そこはもうセメント工場の入り口。 背後に迫る武甲山は、きっとこの工場のせいか、白く霞んでいる。 横瀬の駅に一番近い札所でもあって、地元の人々もよく見かける。 自転車に乗った子供たちが何人か、寺の周辺で遊んでいた。 子供たちはもはや、ダンプが巻き上げる土煙りなど驚きもしない。 札所と工場が寄り添う光景は、よそ者には異様に映るけれど、 これが横瀬の日常であるのだと、実感もさせられた。 明星山明智寺 埼玉県秩父郡横瀬町横瀬2160 tel.0494-24-3125 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年10月20日 11時33分44秒
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