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カテゴリ:秩父巡礼
第11番札所
山号:南石山(なんせきざん) 宗派:曹洞宗 本尊:十一面観世音菩薩 巡拝日:2008年4月1日 ----------------------------------------------------------------- 十番・大慈寺と十一番・常楽寺は、 山を挟んでちょうど反対の斜面に位置している。 東斜面にある十番は陽に陰っていたけれど、 西斜面にある十一番にまわってみると、 そこにはまだ午後の陽射しが降り注いでいた。 この山は、秩父と横瀬をあらゆる意味で隔てている。 行政区分でいえば、五番以降横瀬町内を巡っていた巡礼は、 この十一番から再び秩父市内を旅することになる。 “市”に入ったせいなのか、陽が当たる場所であるせいでもあるのか、 この低い山が風土を微妙に変えているのか、 十番に比べると、寺独特の“気”が篭ったような空気は、 境内にあまり感じない。 しかし、山に隔たれているというだけで、ふたつの札所の距離は決して遠くない。 その山を越えるルートを辿るかつての巡礼道は今も結ばれていて、 こちらが車で山を迂回して十一番へ到着するのと前後して、 十番で揃ってコケたマウンテンバイクさんとペアルックご夫婦さんも、 相次いで山を降りて現れた。きっと15分から20分で難なく踏破できるのだろう。 観音堂は1878年の秩父大火で消失したのちの再建とのこと。 非常に簡素で、納経所と棟続きになっている。 おそらく後年棟続きにしたのだろうけれど、寺フェチとしては残念なところ。 しかも、納経所のガラス戸の至る所にこまごまと巡拝者への注意書きが書かれていて、 気を削がれるというか、巡拝者が巡礼という行為へ抱く情緒への配慮の欠如を感じる。 というよりこれは、過剰な情緒を抱く巡拝者への諌めだろうか。 ともあれ、境内唯一の寺院建築である観音堂で、十一面観世音菩薩さまにお会いする。 駐車場からゆるやかな坂道を登ってくる時は気づかなかったけれど、 観音堂の正面に急勾配の石段があった。本来ならこちらを昇るべきだったのだろう。 その石段の脇には味のあるお地蔵さんがいたりする。 観音堂も、この石段から見上げると、なかなかの威厳を感じさせてくれる。 秩父大火の以前、ここはかなり大きな寺だったそうだけれど、 今の境内は往時を偲ぶにはあまりに狭い。 焼け落ちた境内を侵食したのだろうか、石段を降りるとそこには、 秩父を支えるセメント工場が横たわっている。 その先は、秩父の街だ。 都市と辺境のちょうど真上に、この寺は建っているようだった。 南石山常楽寺 埼玉県秩父市熊木43-28 tel.0494-22-2190 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年10月20日 11時32分18秒
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