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カテゴリ:秩父巡礼
第12番札所
山号:仏道山(ぶつどうさん) 宗派:臨済宗南禅寺派 本尊:聖観世音菩薩 巡拝日:2008年4月1日 ----------------------------------------------------------------- 太陽もかなり西に傾いてきた。 五番か六番までがせいぜいかと思っていたけれど、1日でずいぶんまわることができた。 もう一番で今日は終わりにしようと決め、十一番を後にする。 十二番へ向かう道は、秩父の中心部を貫いている。 市役所や西武秩父駅の前を通り過ぎ、芝桜で有名な羊山公園の丘のふもとへ。 その懐に十二番はある。 寺へつながる細い路地を進んでゆくと、黒ずんだ山門が目に飛び込んでくる。 大きさだけではない、古びたその色が、この山門により威厳を与えている。 山門の中には一体30cmほどの王像が十体納められていて、 それぞれの像自体は小さいけれど、閻魔大王をはじめ、 なかなかの迫力で出迎えてくれる。 山門には、十王像以外にもさまざまな仏像や彫刻が飾られている。 さらに上層部境内側の壁面には、鉄細工と思われる2次元の仏さまが三体。 この三体の仏さまの独特のルックスが、 他の寺にはない異質な仏教的空気を境内に放っている。 ここまで巡ってきた札所の境内は、ほぼ押しなべて狭かったが、 この野坂寺の境内は12番まででおそらく一番広い。墓域も含めれば相当な広さだ。 その中央に、堂々とした立派な本堂兼観音堂が建っている。 1906年に消失した本堂を1974年に復元したものだそうで、 秩父三十四ヶ所のホームページには千鳥破風を中央に配した建物の写真が載っているが、 現在の本堂は真新しい軒唐破風に変わっている。きっと最近改築したのだろう。 本堂中央におられる聖観世音菩薩さまは、とても均整の取れた姿で美しい。 比較的小ぶりな観音さまが多い中で、この観音さまは156cm。見ごたえがある。 お参りをすませると、庫裏のほうに巡拝者をもてなす休憩所があって、 おばさまが「こちらでお茶をどうぞ」と招いてくれる。 ありがたく一杯いただいて、今日はこちらで最後にしようと思って、と話すと、 「そういう方は多いですねー」とおばさま。理由はわからないという。 一番から巡ってくると十二番までというのが、やはり標準的な時間なのだろうか。 このおばさま以外にも何人か、 巡拝者をもてなす係と思しきおばさま方がいる。 この人たちによるものか、境内はとてもきれいに手入れされている。 本堂前の梅の木は今が盛り。さらに2~3分咲きのしだれ桜が1本。 あと2~3日すれば満開になるでしょうね、 と、待ち遠しそうに眺めながら話してくれた。 観音さまの前でそういう毎日を過ごしている彼女たちの人生が、 ふとうらやましくなった。 境内を出て山門をくぐると、電車の音が聞こえてきた。 野坂寺のすぐ脇には、西武秩父線の線路が通っている。 ここにもまた、今昔の狭間を垣間見る思いがした。 仏道山野坂寺 埼玉県秩父市野坂町2-12-25 tel.0494-22-1608 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年10月20日 11時31分58秒
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