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この度、司法修習生の給費制が廃止され貸与制になることが事実上確定しました。 しかし、その理由が「司法改革の流れに逆行する」というのが、私にはよく理解できません。 少なくとも法曹人口の多様化、質の向上という面においては「司法改革」は大失敗だったのではないでしょうか。 弁護士数を増やして社会の多くの分野に弁護士資格を持った人材を、過疎地にも弁護士を、というのが司法改革の理念だと朝日新聞で青山先生が書いておられました(少なくとも私はそう理解しました)。 しかし、現実の企業や役所では弁護士受け入れに積極的ではありませんし、過疎地は司法界改革が始まる前から「ゼロ、ワン」地域といって地方弁護士会会員が定期的に赴いたり公設事務所も作られておりました。 ロースクールも「プロセス重視」といいながら、肝心の学生は司法試験対策にいそしみ、ロースクールの評価も司法試験合格率でなされています。 つまり、「プロセス重視」が機能していないということが明白になっているのです。
司法修習を有料にするなら、ロースクールも廃止するのが平等な措置でありましょう。 と同時に、有料にする以上、専業義務を外すべきではないでしょうか? 私たちが司法修習生だったころは「有料でもいいからアルバイトを解禁して欲しい」という声の方が大きかったと記憶しています。 実務収集先の実務家の方々からは「修習生の給料だけでは生活できないから実家から仕送りをしもらっている人が多いと思うけど・・・」と同情され、仕送りを受けていなかった私を含めた同期の連中は返す言葉がありませんでした。
私は、銀行、証券業界を経て司法試験に挑戦しましたが、今のような制度では「絶対に」チャレンジできません。 ロースクールの学費は払えないし、それに修習中のささやかな生活費を後で返還するなんて不可能です。 司法改革推進派の方々は、奨学金の充実したアメリカとの区別ができていないのではないかと思ってしまいます。 余談ながら、司法改革の旗頭であった憲法のS先生は、卒業後銀行に入られ、その後研究室に戻られたという話を聴きました(つまり、旧司法試験には合格していないのでは)。 自分を否定した制度を悪い精度だとみなして変えてしまおうという意図がほんの少しでもあったとしたら、大変遺憾なことと言わざるを得ません。
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Last updated
2010.10.23 16:07:29
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