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◆私はただ愛されたいだけであって、他に欲しい物はないんです。私を受け入れて欲しいだけなんです。私を産み出した、貴女から。認めてもらいたいだけなんです。知って欲しいだけなんです。
病気になんて、なりたくなかった。ならないと思っていた。 私が甘かった。 みんな、甘かった。 甘かったから知らなかった。 この傷の深い業を。 ◆たくさん愛されて育ったのでしょう。 でもすべてタイミングが悪かった。 私は父が憎かった。不当な暴力だと思っていた。程度の低い虐待だとも感じていた。 そして、誰も、私を見なくなった。 私が冷たくなっていくことに、人生に諦観を覚えてしまったことに、誰も気づかなかった。 そうして家は一番初めの、嵐を迎えていた。 私はたくさん愛されて育ったのでしょう。 聞かされているわ、手がかかったこと。喘息で大変だったこと。 でもね。 私、それ、知らないのよ、その必死な愛は。見ていないの。ほとんど意識がなかったから。覚えていないの。病院は好きだった。絵本を買ってもらえるし、カルシウム入りのクッキーを食べれるし、楽しかった。 幸せ、だったよ。 でもそれは普通だと思っていたんだ。当たり前のことかと思っていたんだ。 自分が、ひどい喘息とアトピーだなんて、わからなかった。 だから親の苦労もわからなかった。一番に愛される時、最優先される時、私に意識はないのだし、苦労がわかるほど頭も良くなかった。幼稚園児だもの。 私は、みんな等しく辛い思いをして生きているのだと思っていた。まさか自分が特別だったなんて、学年で一番重症だったなんて、中学で部活を辞めてから初めて知ったのよ。 自分の思っていた世界と現実があまりにも違いすぎて、私は、その落差に耐えられなかった。 辛かったの。誰かを傷つけたくて自分を傷つけていたんじゃない。みんな、愛していたから、お兄ちゃんみたいにお母さんになんか当たれなかった。自分しか、攻撃できる人はいなかったの。 抱えきれなくて、自分でもどうして切っているかわからなくて。 そうして、お母さんが、また壊れた。今度は私のせいで。 でもどんなに話し合っても受け入れてくれなかった。生身の私を受け入れてくれなかった。普通とは、違いすぎて。 そして、捨てられた。 ◆あたしより先に、私が生まれていたんだよ。愛を実感するより先に、物語に恋をした。 だから『私』は、無邪気で、愛を必要としないの。想像の世界、絵本、粘土、お絵かき、空想。 私の原点は、そこなのだ。 『私』が先に生まれて、後からあたしが生まれた。 だってよく考えたら当たり前だわ。母親は、わたしという一人称しか使わない。 閉じた世界の中、最初に覚えた一人称は、わたし、なんだ。 だから私は創作から離れられない。彼女があたしの原点だからだ。 私は、わたしと、あたしと、ボクと、仲良くしないといけない。離れては、いけなかったんだ。ボクより、彼女の方が、必要な人物なんだ。 私の、原点。 創作の世界に生きる少女。 すべてを、認めて欲しい。全員私なのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.19 11:15:46
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