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2016.05.02
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カテゴリ:シナリオ
ブログ用 キンラン&ギンラン 20160430.jpg

ゴールデンウイーク頃の楽しみのひとつは、散歩の途中で出会うキンラン・ギンランだ。ともに
雑木林の中に咲く日本固有種の野生ランで、キンランは高さ20~50cmほどで1cmくらいの黄金
色の花を付ける。ギンランはキンランよりも小さくて、花は白色だ。手入れが行き届いた雑草の
少ない木陰に咲いているせいか実に美しい。見つけた途端に、幸せ感と高揚感が一気にこみ上げ
てくる。
キンラン・ギンランは環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されている。2類とは「絶滅
の危険が増大している種」のことだ。昔は、どこの雑木林でも普通に見られたものだが、今では
貴重になったらしい。
キンラン、ギンランは植木鉢の中では育たない。その理由は自らの光合成に加えて、ブナなどの
根っこにつく菌根菌から栄養をもらって育つからだ。もちろん菌根菌は樹木がなければ生きるこ
とができない。
キンラン・ギンランが成長して花を咲かせるということは、その雑木林は健全な状態に維持され
ているという証しなのである。この関係を発見したのは日本の研究者だ。

老夫婦が日常的に散歩する道には、幸いにもキンラン・ギンランが生育できる林が三ヶ所もある。
例年、写真を撮りまくっている二人だが、今年もまた、カメラを携えて家を出た。

夫: 2年ほど前だったかな?キンランが抜かれた跡を見つけて嫌な思いをしたけど、今年はどう
   かな?
妻: それも気になるけど、土壌環境と周辺環境が花の成育に大きく影響するって聞いたから、今
   年もちゃんと咲いているかどうかが心配ね。ここのところ毎年、少しずつ減っているよう
   な気がしているのよ。
夫: 日々の散歩で、3ヶ所とも雑木林の手入れが行き届いていることを確認しているから心配は
   要らないよ。キレイな花を咲かせて待っているはずだ。
妻: 増えていなくても、去年と同じ程度の本数が見られたら上等だわ。

最初に立ち寄ったポイントは住宅街の端っこにあるこじんまりした雑木林。目と鼻の先に田んぼ
が広がっている日当たりの良い斜面だ。

妻: キンランを見つけたわ。ギンランもある。アッ、あそこにも。今年はギンランが増えてい
   ると思わない?
夫: 確かにここはギンランが増えているね。他の場所ではどうなんだろう。

二番目のポイントは大きな公園の一角にある雑木林。やはり、キンラン・ギンランを見つけたが、
人の往来が激しいことが影響するのか、以前に比べるとかなり本数が減っている。

三番目のポイントは大きな沼に通じる遊歩道の途中にある雑木林。住宅街と湿地との緩衝地帯に
なっているような場所で、先述の2箇所に比べるとかなり広い雑木林だ。
ここでは毎年、たくさんのキンランを見つけているので、期待して探し始めた二人は、早くも立
派なキンランを見つけた。

妻: 見て、キンランがいっぱい咲いている。去年、ここには無かったわよね。よく見ると、ギン
   ランもチョコチョコと顔を出してる。背丈は低く、付けている花の数も少ないけど。
夫: あそこの斜面にもギンランがあるよ。ギンランが随分、増えているね。キンランも例年より
   少し多い感じだ。絶対数が増えているとしたら嬉しいね。
妻: ちょっと見て!キンランが何本も固まって咲いているわ。1,2,3・・・7本よ。一ヶ所にこ
   んなにまとまって咲いているのを見たのは初めて。しかも花が大きくて、よく開いている
   わ。賑やかな大家族みたい。こんなのを見る事ができて、本当にラッキーね。
夫: しばらく君はここで粘りそうだな。僕はもう少し先へ行ってみるよ。
妻: どうぞ、どうぞ。私はこの7本の塊をジックリと撮影させてもらうわ。
夫: オ~イ、こっちにはギンランの群落があるよ~。早くおいで!
妻: どこ~?動かないで待っていてね。足元の花を踏まないように移動しなくちゃならないんだ
   から、焦らせないで!
夫: ホラホラ、ここだよ。去年もここにはギンランがあったけど、本数は3倍ってとこかな?

二人はキンラン・ギンランを見つけては、撮影に没頭した。撮影を終えたのは、陽射しが西に傾
き始めて、雑木林が暗くなりかけた頃だった。

夫: ラン科の植物の多くは特殊な菌類との共生で生きる半寄生植物とされているので、周辺の明
   るさなどの環境が整うと、ある年、突然地上に出てきて花をつけるといわれているね。
   どうやら、今年はギンランにとって例年になく良い生育条件が整ったんだろうな。
妻: そうじゃないと、去年まであんなに苦労して探していたギンランがこんなに簡単にたくさん
   見つかるなんてことはないと思うわ。今年だけの特異現象のような気がして、ついついカ
   メラのシャッターを押す回数が増えてしまったわ。
夫: ギンランの当たり年だね。来年はどのように変化するのかな?どんどん増えて欲しいね。

キンラン・ギンランを指標にして雑木林の健康度を計るという研究が、里山保全の学会などで発
表されているそうだ。いつもの散歩道で、思いがけないほどたくさんのギンランを見つけた二人
は大満足。

落葉樹の芽吹きが始まり、林が緑色に染まり始めるこの時期は、草花との出会いが一層楽しみに
なってくる。今日も、フデリンドウ・イカリソウ・ホウチャクソウ・カラスビシャクなどに出会
った。皆さんも、ぜひ雑木林の中の小さな花たちに注目して欲しい。






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最終更新日  2016.05.02 08:04:06
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