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2008年10月22日
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カテゴリ:銀英伝二次創作





「フロイラインはいい匂いがする・・・」



行為が終わった後、同じシーツにくるまりながら、ヒルダのくすんだ金髪に顔をうずめた。

こうしていると想いが通じ合った恋人たちのようだが、ラインハルトは自分の気持ちを掴みかねているので、恋人とは呼べないだろう。
ならば自分達は何?とヒルダは考える。
(覇王の愛人?)
しかも片思いの。
ヒルダは心で自嘲した。
それでも離れがたかった。




時を一時間程度遡る     




「フロイライン・マリーンドルフ!予と結婚してほしい!」




息遣いが正常に戻ると、銀河帝国皇帝は帝国軍幕僚総監にいきなり結婚を申し込んだ。


どうやら呼吸を整える間に色々考えたらしい。
色々考えた結果がまたこれ(求婚)というのは少々短絡的なのではないか、とヒルダはちょっと照れながら思う。好きな男性から求婚されればどんな女性でも嬉しいだろうが、ヒルダの場合、義理でプロポーズされているので複雑な心境だ。


余談だが、太陽は一日の仕事を終えて沈みかけている。
二人共初心者の為、存外手間取ったらしい。


「陛下、陛下が責任をお感じになる事はございません。それより・・・あの、長居すると周囲に気付かれますので、そろそろおいとまします」

ヒルダは部屋の外に待機しているであろうキスリングやエミール、自分の従卒が不審に思うのではないかと心配しているようだ。



ラインハルトはそれを聞いて目を丸くした。
もうキスリングもエミールさえもとっくに気付いているだろうに。
(フロイライン・マリーンドルフに言うべきなんだろうか)
オロオロしてるヒルダは何だかほほえましい。
こうやって甘く穏やかな時をもう少し味わいたいと思う。あの夜はただただ嵐の様に貪ってしまったから・・・・。
だからラインハルトはそれを教えずに、別の提案をした。



「もう少ししたら、服を身につけコーヒーのおかわりを持って来させるとしよう。それなら議論が白熱したと思うのではないか」

ヒルダは『本当にそうかしら』と思いながらも了承した。彼女もラインハルトとこうする時間が貴重に思えたので    






そして現在に至る。




「陛下っ」
髪をいじられたり匂いを嗅がれたりされくすぐったいヒルダは、シーツの中でラインハルトの方へ向かい合った。
顔を赤らめ困り顔のマリーンドルフ伯爵令嬢を見て、皇帝は破顔した。二人共どうみても公的な顔ではない。



ヒルダはため息をひとつつくと、口を開いた。

「陛下はそのままお休み下さいまし。わたくしはそろそろ戻りませんと・・・・・」

オレンジ色と闇色混じり合っている空を窓越しに見上げる。明かりを点けてないこの部屋も、結構暗い。ヒルダはシーツを巻き付けて上体を起こした。


「ではそろそろ偽装工作をするとしようか」

ヒルダがまた顔を赤らめた。
(今日の陛下は意地悪だわ)
賢明にも口には出さなかった。





身支度を整えた頃、エミールがコーヒーを持って来た。
罪悪感を伴いつつ、ヒルダもラインハルトも平静を装った。




ちなみに彼が尊敬する二人共、あまり演技が上手とはいえなかったらしい。
コーヒーを給仕したエミールは、退室後笑いを堪える事に苦労した。

なんとほほえましい恋人達だろうと。








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最終更新日  2008年10月22日 23時38分02秒
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