「K-POPは国策」に反論 「国家は歌えないし、踊れない、」
「K-POPは国策」に反論 元東京外大教授「国家は歌えないし、踊れない、作品を作ってくれない」8/14(月) 19:40配信ENCOUNT・Yahooニュース『K-POP原論』の著者・野間秀樹氏インタビュー「中編」 韓国・朝鮮語やハングル研究の第一人者である野間秀樹・元東京外国語大大学院教授が単行本『K-POP原論』(ハザ刊)を出版し、グローバルな人気を集めているK-POPの魅力を解説している。特に注目しているのが、YouTubeなど動画サイトで配信されているK-POPアーティストのミュージックビデオ(MV)と歌唱法だ。ENCOUNTは美術家としても活動する野間氏をインタビュー。今回の「中編」ではMVの“踊るカメラワーク”の魅力の他、「K-POPは国策」といった声への反論を語っている。(取材・文=鄭孝俊)――友人が韓国の歌謡番組を見ると「酔う」と言っていました。理由は激しいカメラワークです。しかし、最近は日本の歌番組でもカメラが活発に動いているように見えます。「カメラワークと編集はKアート(野間氏によるK-POP MVの定義)にとっては決定的に重要です。カメラが“チュム”る(“チュム”は韓国語で“踊り”の意)のは2013年、香港で開催されたMAMAという音楽祭でのEXO『Growl』を撮った革命的なカメラなどを起爆剤にして、今日では当たり前です。しかし、動線や距離、その瞬間に誰を撮るかなど、極めて計算されて動いているわけです。例えばただハンドヘルド(手持ち)で振り回したり、やみくもにクレーンカメラを操ったりしているだけでは全くダメなのですが、そこが一流のKアートと、そうでない作品とを分かつことになります。IVEの『After LIKE』はクレーンカメラの動きと歌詞の内容まで連動しているような、数少ない一流です。S.E.Sの『Be Natural』を14年にRed Velvetがカバーした作品などは、コレオグラフィーもカメラも編集も色彩の制御も神品ですね。今なおこれを超えるカメラはなかなかありません。他方、『酔ってしまう』だけのMVはいくらでもあります(笑)。K-POPなら何でもいいわけではなく、他のアートの分野同様に、良い作品はやはりごくわずかです。 Kアートは、視覚的にはカメラワークと編集が決定的です。これがうまくいかないと、いかにアーティストたちが凄くても、衣装がどれだけ美しくても、ダンスがどれだけ魅力的でも、色彩のコーディネイトがどれだけ絶妙でも、私たちにはそれらが見えなくなるからです。見る者が作品へと分け入る道が閉ざされてしまうわけです。『K-POP原論』にも書きましたが、チュムるカメラとしてはaespaの『’Savage’ Camerawork Guide』などは神業ですね。アーティストたちの存在感を極限まで生かしながら、声やことばと共に、身体性を核にした圧倒的な世界像がこれだけで造形される。アーティストたちも、衣装も一切の媚びはなし。もう神々しいです。さらに驚くべきことにですよ。同じくダンスだけを撮っても、それと全く異なったチュムるカメラとライティングと衣装と編集をNMIXXの『 “Love Me Like This” Performance Video』で見ることができます。『音楽』という枠なんかはるかに突破しています。これをもって、まだ『音楽』という枠に閉じ込めたいでしょうか。この曲には『心臓の音を』なんてことばが出て来ますが、心臓がびんびん跳ねるような鼓動までを共有したくなります。これぞKアート、チュムるカメラの極北です」――ところで、K-POPを語る上で「国策だから」という声をよく聞きます。「K-POPを語る言説にはしばしば『国策で』とか、『国がいろいろやっているから』などということばが出て来ます。こうした作品を見ても、『まだ国家がどうのと言いたいですか』と問いたいです。本にも書いたように、国家は歌えないし、踊れないんです。国は作品を作ってくれたりしないんですよ。何よりもまず、アーティストたちやクリエイターたちが青春や人生を捧げた血のにじむような修練があるわけです。だったら、私たちは何よりその作品に正面から向き合ってもいいですよね。CLASS:yの『Tick Tick Boom』では、K-POPを目指す夢の軌跡が描かれています。アーティストを目指し、1人で黙々と踊る姿が描かれます。私はそういう人たちを応援したいです。言ってみれば、応援歌の電子漫画版が、タヤマ碧氏の『ガールクラッシュ』(新潮社)です。こうした人々を見ずに、作品を見ずに、まだ『国』とか言いますか」――先ほどの『心臓』というワードには“ドキドキ”させられます。「20世紀の韓国歌謡が『心』や『胸』の音楽であったのに対し、Kアートはその身体性を象徴するがごとくに『心臓』のアートなのです。日本語同様、韓国語でも『心』『胸』『心臓』は別の単語です。K-POPの韓国語部分の歌詞には『心』や『胸』も出ることは出ますが、『心臓』という単語が驚くほどの高頻度で現れるのです。例えばNew Jeansの『Ditto』にも『高鳴る心臓』という意味の韓国語の歌詞が登場します。EVERGLOWの『LA DI DA』では『秘めていた心臓の音』、MONSTA Xの『Beautiful Liar』では『真っ黒に染められた俺の心臓』、NCT 127の『Favorite (Vampire)』では『心臓が砕け散って』、ATEEZの『Guerrilla』ではまさに『心臓が求める』。ATEEZが教えてくれているように、K-POPは心臓が求めるアートなんですよ。国家じゃなくて心臓を見なくちゃ。 K-POPを語るのに、国家でもなく、経済でもなく、ランキングやチャートばかりでもなく、私たちはもうそろそろ作品そのものを見てもいいわけです。絵画を見ずに、画商のふところ具合やオークションの話ばかりしても、肝心なところが隠れてしまいますよね。アーティストやクリエイターが皆で心血を注いで創り上げた作品のど真ん中を見たい。それが『K-POP原論』の願いです。MVでは心臓のリアルな図まで医療ドラマさながらにいろんな作品に登場します。衣に覆われた身体性ではなく、心臓を直接つかみにかかるような、そうした身体性ですね」――最近のK-POPの制作現場には世界中から人材が集められています。「実は多元主義、多極主義、あるいはマルチエスニックつまり多民族的であることが、Kアートの特徴なのです。Kアートは韓国だけ、韓国人だけが作っているなんて、分かっている人は韓国語圏でさえ誰も思っていませんよ。『K=コリアだけ』などと思う必要はありません。例えば、北欧のK-POPの作曲家たちは韓国でも有名ですし、沖縄出身のコレオグラファー、英語圏のラッパー、韓国語圏だけでなく、英語圏や日本語圏の作詞家たちも参画しています。韓国はもちろん、日本やタイやベトナムやオーストラリアや北米で育って、それらの文化を一身に受けたアーティストたちも。世界中の素晴らしい才能と修練が出会って、Kアートの今日の高みに至っているのです。 重要なことは、世界からの才能と修練の単なるハブではなく、国家だの民族だのという縛りをみんなで頑張って越えて、懐広く、作品として、アートとして統合するということを韓国語圏の今日が営んできたという点なのです。その際、韓国語+英語とか、韓国語+日本語などのように複言語主義を選択しながら、そうした営みの重要な核において韓国語という言語が大切な役割を果たしています。ハングルという文字はいわば象徴的なエンブレムのような役割も果たしているわけです。アーティストたち自身が異なった文化圏で育った、マルチエスニックなグループも多いのですが、先に挙げたNewJeansなどを始め、例えばTWICEのMV『MORE & MORE』、ダンス動画『’CRY FOR ME’ Choreography – 2』、NCT 127『2 Baddies』、(G)I-DLE『TOMBOY』、NMIXX『O.O』、LE SSERAFIM『ANTIFRAGILE』『UNFORGIVEN』、Lapillus『Who’s Next』あたりをご覧いただくといいですね。EXO・LAY氏のソロ曲『Lit』などは中国歴史ドラマ風で、龍の造形なども見応えがあります」――秋には韓国で『K-POP原論』の韓国語版が出ると伺いました。日本語版の翻訳となるのでしょうか。「日本語版の単なる翻訳ではなく、中身をかなり加え構成も大きく変えています。日本語版刊行以後に多くの作品が登場し、かつ思うところも多々進化しましたので。それに韓国語で読めるような方々に、韓国のことを詳しく説明する必要はありませんしね。当然、内容は変わってきます。それから、韓国でも『K-POPなんか知らない』という方も意外に多いわけです。『あー。若い子たちが歌って踊るあれでしょ』『娘は誰々のファンなんだけど、私は全然知らないんですよ』などのようにですね。研究者仲間などかなり多いですよ。そんな仲間ともこの本を共にしたいのです。『K-POP原論』では視聴回数が世界で現在9億4000回のBTS『Blood Sweat & Tears』と、21億回のBLACKPINK『DDU-DU DDU-DU』、そしてMAMAMOOの動画を『入門のための3本の動画』に据えましたが、韓国語版でもこの点は同様です。BTSのこの作品は、視聴する人がさまざまな物語を自由に作れるように、象徴詩の断片、象徴的な映像詩の断片を積み重ねて1つの世界像を造形する典型です。BLACKPINKはアーティストが自分自身を語るスタイルの自己言及的な詩の典型ですし、高速で展開する、色彩の変容の美しさだけでも楽しめます。さりげない反戦、非戦メッセージも埋め込んでいます。いずれも独自の世界像を造形した、Kアートの傑作です。もちろん『音楽』という枠は突破しています。 ちなみにロシア・ウクライナ戦争のただ中で発表されたBLACKPINKの名作『Shut Down』は、ことばと映像による公然たる象徴的非戦メッセージです。MVでは戦車や軍用車を“Shut Down”してくれています。この点では、日本語+英語曲のITZY、『Blah Blah Blah』のMVも貴重です。装甲車を吹き飛ばしますから。入門用に本にあげたMAMAMOOはMVではなく、マイクの前で歌っているいわゆる生歌の動画です。歌唱の安定感と魅力で『安心して聴けるママム』などと言われているグループです。こうした動画でさえカメラはチュムる、つまり踊っているのです。これ、うまいんですよ。さりげないカメラが。アーティストたちのいわば大文字のダンスという身体性と共に、ここでのようにさりげない小文字の動作や仕草による身体性による造形も、K-POPの特徴です。歌がお嫌いでない方なら、この動画1本でK-POPに引き込まれるでしょう。本には全部QRコードをつけているので簡単に読み込むことができます。『見る+聴く+読む』という、新しい読書のありかたも楽しいですよ」鄭孝俊「BTSはもっとすごくなる」「K-POPのMVはアート」…日本人の言語学者が言い切れる理由8/13(日) 19:55配信ENCOUNT・Yahooニュース『K-POP原論』の著者・野間秀樹氏インタビュー「前編」 韓国・朝鮮語、ハングル研究の第一人者である野間秀樹・元東京外国語大大学院教授が単行本『K-POP原論』(ハザ刊)を出版し、グローバルな人気を集めているK-POPの魅力を解説している。特に注目しているのが、YouTubeなど動画サイトで配信されているK-POPアーティストのミュージックビデオ(MV)と歌唱法だ。ENCOUNTは美術家としても活動する野間氏をインタビュー。今回の「前編」では、K-POPのMVが“アート”である理由を語っている。(取材・文=鄭孝俊)――野間さんはハングル研究の権威ですが、K-POPのMVに着目されたのはいつ頃からでしょうか。「もともと韓国歌謡、いわゆるトロットと呼ばれる演歌やキム・ミンギ氏,ヤン・ヒウン氏などの民衆歌謡は大好きでした。20世紀のK-POPとしてはユ・スンジュン氏の『nanana』のMV、オム・ジョンファ氏の『招待』のMVなどを非常に面白いと思いました。これらは当時のDVD時代において出現した最高傑作です。つまり、1つの作品としての完成形を示すMVこそは、〈ポスト・ソテジ〉の出発地であり、同時に今日のK-POPの故郷だったのです。YouTubeが徐々に広まり始めた頃、『これは絶対にいける』と思いました。ちなみにオム・ジョンファ氏は2020年にバラエティー番組の企画としてMAMAMOOのHwasa(ファサ)氏らと4人で期間限定のガールクラッシュグループ『Refund Sisters(払い戻し遠征隊)』を結成し、『DON’T TOUCH ME』を発表しました。オム・ジョンファ氏はNetflixのドラマ『医師チャ・ジョンスク』に主演していて驚きましたし、LE SSERAFIM(ル セラフィム)とのコラボステージの動画もYouTubeにアップされています」――YouTubeの爆発的普及とその波に乗るK-POPの可能性を確信したのは、いつ頃でしょうか。「全く別のジャンルですが、ジャズの世界では圧倒的にマイナーだったヨーロッパのジャズ・マヌーシュ(ジプシー・ジャズ)がYouTube上で広く共感されているのを見ても、YouTubeのようなTAVnet(タブネット)の可能性が分かります。TAVnetとは『Text(ことば)』『Audio(多様な音の形)』『Visual(視覚的な光の形)』が『Inter+net』を駆け巡るさまを表すことばです。ギターを学ぶ少年少女が世界中で動画を投稿し合って共感する姿に非常に感銘を受けました。05年に台湾のJerryC氏の『Canon Rock』をカバーし、9000万回の再生回数を得て『ニューヨーク・タイムズ』でも取り上げられたイム・ジョンヒョン(Funtwo)氏、あるいはフィンガースタイルのギターではチョン・ソンハ氏などが有名になりました。つまり、『音楽を私的所有する』というあり方自体が変革されつつあったのです。音楽だけではなく、格闘技、料理、ファッション、メイクやありとあらゆる分野で全く新たな可能性が切り開かれつつありました。そして、K-POPはまさに音楽を単に私的に聴くという形態や、個人がCDやDVDで私的所有するという形態を根幹から変革する最前衛へと立ったのです」――技術決定論には慎重であるべきですが、テクノロジーの進化もその要因の1つですね。「そうです。例えばキヤノンのカメラの進化や中国製カメラ用クレーンの進化、映像の解像度がぐんぐん上がる欧米、日本、台湾、中国、韓国などにおける音と映像をめぐるITの進化といったことが、K-POP MVのアートとしての質を格段に高める役割を果たしました。アーティストたちも、MVなどのクリエイターたちもマルチエスニックな存在なのですが、テクノロジーもまた実はマルチエスニック的なわけですね。16年のBTS『Blood Sweat & Tears(血、汗、涙)』で確信が揺るがぬものとなりました」――著書の中でK-POPのMVを「Kアート」と定義されました。いかにして「アート」になったのでしょうか。「第1にその存在様式、存在のしかたが既存の音楽のありようを越えています。『音の世界=聴覚』だけではなく、『光の世界=視覚』も、さらに『ことば』『ダンス』という身体の世界をも統合した形の造形となっており、その統合された形を、世界中でほとんど同時多発的に皆が身をもって共有するという、驚くべき存在のしかたを見せています。つまり、アートの私的所有のあり方を根底から変えてしまったわけです。地球上のあちらこちらで一斉に身をもって共有する。これは大げさでも何でもなく、20世紀までは地球上に存在しなかった存在様式です。『21世紀的な地球オペラ』とでも言いますか、それでも足りず、とりあえず、『アート』と呼ぶしかことばがないわけです。第2に、表現様式の点でもことば、音、光、身体が動的に統合された造形となっていて、既に音楽の枠をはるかに突破してしまっています。単なる足し算ではなくて、それらを統合した世界像を造る。それゆえ、Kアートなのです。これを音楽の枠内に押し込めて鑑賞しようとすると、あれこれ無理が生ずるわけです」――著書では、BTSを擁するHYBE傘下のレーベル『ADOR』からデビューしたNewJeansを高く評価されています。NewJeansのMVは90年代を懐かしく思い出させる装飾や美術のほか、UKガラージといったEDMなどY2K(Year 2000:2000年を指す略語)を意識した作りとなっています。「まあ、『Attention』については、ドラマ風仕立てとなっている最初の4分の1の尺は要らないなど、恐れ多い批判もしているのですが(笑)。その後に出た『Ditto』はK-POPの世界では絶大な影響を与えました。まさに“ditto”(=上に同じ)と言えるくらい、絶句するほど、あちこちのMVで似たような描写が取り入れられているので、私は『Ditto症候群』と呼んでいます。『Ditto』にびくともしなかったのは、BLACKPINKなど大御所たちを除けば、IVEとNMIXX、そしてFIFTY FIFTYが筆頭ですね。『Ditto』は動画を撮る、第6のメンバーとは誰かだの、自然体路線や、制服イズム、アーティスト個々の存在感をわざと希薄にする絵作りの方法だの、K-POPの直前の主流から大きく外れるスタイルで、実に玄人向けといった作品です。韓国ではとりわけクリエイターたちが大いに反応し、多くのMVがもろに影響を受けています。そうした流れの中で見ると、韓国ではキー概念としてよく論じられる『ストーリー・テリング』の構築に力を入れ、作品至上主義をさらに進めた『Cool With You’ Official MV (side A)』などはMV作品としては面白い試みですね。ただ、作品コンセプト至上主義で、アーティスト個々の存在感を希薄にしないでほしいという願いを、私は抱きますが。トニー・レオン氏、チョン・ホヨン氏がMVに出て来るのには驚きますけれども。ただでさえ短いMVなのだから『もっとアーティストに出会いたいよ』という気持ちです。視覚的なところだけでなく、曲作りでもそうですね。こんなこと言うと総括プロデューサーのミン・ヒジンさんに叱られちゃいますね(笑)」――『K-POP原論』刊行以後のK-POPシーンで注目されているMVはあるでしょうか。「BLACKPINK・ジス氏『FLOWER』、IVE『I AM』、この1年のスケール感の成長は凄いですね。NMIXX『Love Me Like This』『Party O’Clock』、SHINee『JUICE』、EXO『Cream Soda』、FIFTY FIFTY『Cupid』、aespa『Spicy』『Welcome To MY World』、それからこれは音だけですが、『Hold On Tight』、NewJeans『Ditto』『ETA』、Stray Kids『TOPLINE』、PURPLE KISS『Sweet Juice』、ITZY『Cheshire』、Kep1er『Giddy』、TWICE『WALLFLOWER』、TWICEからのMISAMO『Do not touch』、LE SSERAFIM『Eve, Psyche & The Bluebeard’s wife』、KARD『Without You』、Billlie『EUNOIA』『enchanted night』、Dreamcatcher『BONVOYAGE』、(G)I-DLE『Queencard』、TXT『Sugar Rush Ride』、SEVENTEENのプソクスンの3人がラッパーのイ・ヨンジ氏と一緒にやっている『ファイティングしなくちゃ』などなど、ありすぎますね(笑)。本にも書きましたが、22年6月にデビューしたLapillus(ラピルス)の『HIT YA!』韓国語バージョンはダンスポップではあるけれども曲が単純ではなく強烈な打楽器の音と間投詞が見事に絡み合っています。CGの使い方と色彩の配合が絶妙で映像が身体性とアーティストの存在感を決して壊さない。このMVは見たこともないような傑作の1つだと思います。そして、BTSですね」――昨年、「BTSが7人での活動ができなくなるとK-POPは終わり」などという声も出ていました。「所属事務所の株価まで一夜にして暴落したりしましたね。『K-POP原論』では『BTSは全く心配ない。これからもっとすごくなるのだ』と予言し、強調しました。Live Clipですが、7人の『Take Two』がまずあります。そして、ジョングク氏の性愛を四六時中とばかりに真正面から歌い上げた『Seven』、同じくV(テテ)氏の『Le Jazz de V』、これが渋い。全編ラップ・ノワールとも言うべきAgust D(Suga)氏の『ヘグム』、声の極限に迫るジミン氏の『Set Me Free Pt.2』などなど、ソロ作品の多様さと見事な充実ぶりは、現実にそうなっています。Kアートは、まだまだこれからはるかに深く豊饒(ほうじょう)なる宇宙を造っていってくれますし、これから入門なさる方にも開かれています。Kアートが成長するただなかを生きている私たちは、幸せというものではないでしょうか」 □野間秀樹(のま・でひき) 福岡県生まれ。言語学者、美術家。東京外国語大大学院教授、ソウル大学校韓国文化研究所特別研究員、国際教養大学客員教授、明治学院大学客員教授などを歴任。著書に『言語存在論』(東京大学出版会)、『言語 この希望に満ちたもの』(北海道大学出版会)、『新版 ハングルの誕生』『韓国語をいかに学ぶか』(平凡社)、『新・至福の朝鮮語』(朝日出版社)、『史上最強の韓国語練習帖 超入門編』(ナツメ社)、『K-POP原論』(ハザ)など。編著書に『韓国語教育論講座1-4』(くろしお出版)、『韓国・朝鮮の知を読む』(クオン)。共編著に『韓国・朝鮮の美を読む』(クオン)など。今月25日には『図解でわかる ハングルと韓国語』(平凡社)が刊行される。大韓民国文化褒章、アジア・太平洋賞大賞、パピルス賞、ハングル学会周時経学術賞、現代日本美術展佳作賞なども受賞。早稲田大エクステンションセンター中野校で韓国語講座を担当(9月27日から秋講座開講)。今月18日から、全5回のオンライン講義「韓国語はいかなる言語か」をNHKカルチャー梅田教室で開講。鄭孝俊※・・・見出ししか見てないので、何も言わんが、それにしてもこの長さ見ただけでも、無意味な記事だと思う(笑)、気が向いて読んだらまたね、