小沢疑惑・検察
首相の不起訴望む発言、法務・検察に戸惑い 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件に関連し、鳩山首相が21日夜、再び「捜査介入」と受け取られかねない発言をした。 5日前の16日には、検察当局との全面対決の姿勢を示した小沢氏本人に「闘って下さい」と語り、世論の厳しい批判を受けたばかり。発言は一夜で撤回されたが、行政府のトップが捜査に言及するという異例の事態に、法務・検察当局にも戸惑いが広がった。 陸山会事件で15日に逮捕された石川知裕衆院議員(36)について、鳩山首相が21日夜、記者団に語った「起訴されないことを望みたい」という発言。検察幹部の一人は感想を問われると、「まるで一般人のような感覚の発言だ」と驚きを見せながら、「我々は法と証拠に基づいて捜査を続けるだけ」と続けた。 「首相個人としての希望を言ったんだろう」。ある法務省幹部は「司法への介入など考えていないのではないか」と深刻には受け止めていない様子だったが、「行政の長としては軽率なのでは」と一瞬、不満も漏らした。別の法務省幹部は、「あまりカリカリしても仕方がない。捜査への影響は特にない」と度重なる「失言」にあきれた顔だった。 閣僚が個別の刑事事件の行方に関して踏み込んだ発言を行い、物議をかもした例は過去にもある。 1979年11月、田中角栄・元首相が被告となったロッキード事件の公判を巡って、就任の記者会見で感想を問われた当時の倉石忠雄法相が、「私ども、これに関係のあると言われる人は懇意の人たちだ。これは公明正大で、青天白日になることを友人として念願している」などと発言。その後、倉石法相は同日中に緊急会見を開き、「個人的な感情は色々持っているが、裁判の問題はこれとは別問題だ」などと釈明し、野党からも追及を受けて陳謝している。(2010年1月22日14時56分 読売新聞)