元巨人選手がタクシー強盗で逮捕
元巨人捕手のパスボール人生、実家「ドラフト」御殿 奈良、京都両府県で続発していたタクシー強盗事件で逮捕された元巨人選手、松岡正樹容疑者(32)=写真右。京都・平安高校で強肩強打の捕手として活躍し、「衣笠2世」といわれながら平成4年、ドラフト3位で巨人に入団した。だが、一軍経験のないまま、7年に退団。最近は勤め先に給料の前借りを何度も申し入れるなど、苦しい生活を続けていた。 「運動能力が高く、闘争心も持っていた。チームの中でも頼もしい存在に映った。巨人に入団した際はOBとしてうれしく思っていたのに…」 OBの1人、平安高の原田英彦監督(44)はこう言って悔しがった。 松岡容疑者は京都府宇治市出身。地元のリトル・リーグを経て平安高へ。強肩強打の捕手として活躍し、同校OBの鉄人・衣笠祥雄氏(元広島)の再来と、将来を嘱望された。1年留年したが、平成2年の夏の甲子園では、1回戦で優勝候補の関東一(東東京)から2ランを放つなど攻守に活躍した。3年秋のドラフト会議前にはセ・パ12球団が激しい争奪戦を展開し、最終的に巨人に3位指名された。 松岡容疑者を知る球団関係者は「当時の巨人は、山倉和博捕手が引退し、村田真一捕手もまだ若かったので、大きな期待をかけられていた。しかし、捕手としては芽が出ず、二塁手に転向したものの、けがばかりで思うような練習もできぬまま、7年に引退してしまった」と振り返る。 引退した際にはスポーツ紙のアンケートに「悔しいというより情けない気持ちの方が強い」と4年間のプロ野球生活を振り返り、今後の進路については「都内で焼き肉店を始める予定。第2の人生ではまたゼロから努力していきたい」と答えていた。引退当時の推定年俸660万円だった。 引退から9年間の行動はよくわかっていないが、昨年1月からは奈良県橿原市の防水工事会社で契約作業員として働いていた。 経営者は「元巨人の選手だけあって、大きな声であいさつし、礼儀も正しかったが、給料の前借を繰り返すなど、金には困っている様子だった」と話す。 松岡容疑者は日当1万円で勤務日数に応じて支払われており、月給平均約20万円だった。経営者の妻は「月初めになると『奥さん、1万円貸してください』と前借りを申し入れてきた。額は1カ月で2、3万円になった」と話す。今年2月には前借りが5万円に達したため、「今後、前借りは断る」と申し渡すと、4月に「自己都合」で退職したという。 経営者は「二軍とはいえプロ野球選手になって金を使うことを覚えると、金銭感覚が元に戻らないのだろうか」とため息をつく。 一方で、野球への情熱は持ち続けていたようだ。奈良県内の野球関係者によると、3月上旬に松岡容疑者が訪れ、「元巨人の松岡です。野球教室を開くことになりました。奈良県桜井市に土地も準備した」と話していたという。平安高の原田監督も「ここ数年、後輩たちの試合を何度か見に来ていた」と話す。 松岡容疑者の実家は宇治市内の閑静な住宅街にある。ひと際目を引く豪邸で、近所の主婦によると、松岡容疑者が巨人に入団したころに建設されたため、「ドラフト御殿」と呼ばれていたという。 事情を聴こうと、自宅のインターホンを鳴らしたが、人の気配はあるものの、呼びかけには応じてもらえなかった。ZAKZAK 2005/05/18