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カテゴリ:マラソン/山/トライアスロン
今日、4週間ぶりくらいにトライアスロン・チームの練習会に行ったら、チーム・メートの1人に「おめでとう」と抱きつかれた。何のことかと思ったら、8月末に完走したアイアンマンのことであった。
…しかし待てよ。オレはアイアンマンを完走した翌々日、コーチに礼を言いに練習会に顔を出したときこの女性と顔を合わせ、すでに「おめでとう」を言われている。ひと月も練習会に顔を出していなかったので、きっとその時のことを忘れているのだ。 しかしオレはそのことは指摘せずに、テキトウに話を合わせておいた。…まあ、何か理由をつけてオレに抱きつきたかっただけかも知れない。いいよ、何度抱きついてくれても。 1ヶ月も経つと完走の感動もすっかり冷め、もはや1日中トライアスロンのことなど考えることもなく過ごしている。次のアイアンマンは来年の7月下旬なので、本格的なトレーニングの日々には2月になるまでは復帰する予定はない。…というか、トレーニングをしない日々にあまりにも馴れ過ぎて、ホントにあの日々に戻れるのか自分でもちょっと疑問にさえ思い始めている。 ところで、アイアンマンの世界で世界的に知られている日本人の1人といえば、東京在住の上田学氏であろう。この人は昨年、63歳の誕生日にアイアンマン・マレーシアに出走し、通算63回目のアイアンマンを完走した。アイアンマン歴20年に満たないそうなので、年間平均3~4回はアイアンマンを完走している計算になる。3ヶ月おきか。 アイアンマンを完走するというのは、たしかに大したことだ。実際、それを周囲に誇るために、アイアンマン・ロゴをふくらはぎや腕に入れ墨するのが完走者の間ではトレンドになっている。BGM入りで自分自身の「アイアンマン完走ビデオ」を作ってYouTubeにアップロードしているヤツも結構いる。オレもそうだが、ウェブサイトを作って自分が完走した数々のアイアンマンの業績をアピールしてるヤツはもっとたくさんいる。 だから、上田氏が昨年アイアンマン・マレーシアに出走の際、業界記者をつかまえて自分のことを記事に書いてもらおうとした心理は十分理解できる。世界広しといえども、30年やそこらのアイアンマンの歴史で、63回も完走したヤツはいないに違いない。 しかし、上田氏は、カナダのジョン・ラッグ(John Wragg)氏(59歳)のことを、知らなかった。昨年のアイアンマン・マレーシアは、ラッグ氏にとって100回目のアイアンマンだったのである。 上田氏がジョン・ラッグのことを知らなかったのは無理もない。ラッグ氏はカナダ人らしくシャイで徹底して謙虚な男で、自分の実績をメディアなどに公にすることを避けてきたので、彼の偉業を知るのは彼のごく身近なトライアスロン仲間だけだったのである。 ただ、上田氏がつかまえた記者というのがたまたまカナダ人だったため、彼は自分の知人であるジョン・ラッグを上田氏に紹介し、このエピソードはやがてアイアンマン・ウェブサイトの記事になった。 なんつーか、アイアンマンを1回完走したくらいで「オレはもはや完走前の自分とは別人だ」とかブログ上で断言している中年オヤジもいれば(←オレのことだが)、一方では年間8回とか9回もアイアンマンに出走し100回以上完走するという超人的な実績を持ちながら、その偉業を自分だけの中に秘めて決して誰にもアピールしようとしない謙虚な男も世の中にはいるのだ。 なんだか、たかだか1回のアイアンマン完走で、チーム仲間に「いくら抱きついてくれてもいいぜ」とか言ってる自分が、ちょっとだけ恥ずかしくなってくるのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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