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カテゴリ:マラソン/山/トライアスロン
![]() 朝、キャンプ場から4~5キロ離れた登山口のビジターセンターに立ち寄って天候その他の情報を確認したら、案の定登山道の雪崩確率は「High」になっていた。あの大雪の後なのだから無理もない。登山者の記名帖を見てもオレの先には1人しか記名がない。今日は頂上は狙わずに、登山路の中間地点にある避難小屋まで行ってみて、時間があればその先の冬場の登山ルートの様子を見てみることにする。 冬山に一人でやって来たが、実は冬山用の二重プラスチックブーツを履くのもアイゼンを履くのもピッケルを持つのも生まれて初めての体験である。何せいずれの装備もおととい登山用品の店で買ってきたばかりなのだ。使い方は店員から聞いたりインターネットでいろいろ勉強した程度だ。 プラ・ブーツはとにかく重い。普段山ではトレイル・ランニングシューズを履いているオレは普通の革の登山靴でも重く感じるくらいなのだが、プラスチックブーツともなると片方だけで1キロくらいあるのだ(笑)。しかもプラスチック製なのでまったく屈曲せず、まるで足にギブスをはめた状態で歩いている感じだ。一歩一歩持ち上げては地面に下ろすような歩き方をせざるをえない。 ![]() 風は確かにすごい。登山道の両脇は木々に遮蔽されているというのに風がビュンビュンと吹き交う。風に飛ばされたりへし折られた針葉樹の小枝や葉が雪の上に散っている。まだ避難小屋まではスノーモビールが往来できるようになっているので雪はある程度踏み固められているが、登山道の脇には深雪が積もっている。途中で小川の上に掛かる橋を横切ったが、小川がほとんど雪で覆われて、一部クレバスのようにポッカリと穴が開いて川が姿を覗かせていた。 ほぼ予定どおり2時間程度で避難小屋に着いた。オレ以外にも何人か登山者が荷物を整理したりしている。そのうち1人は、昨晩避難小屋のちょっと手前にある屋根つきの休憩所でテント泊しようとしたが、風があまりにスゴイのでテントを放棄して下山し、ふもとのロッジに泊まったそうだ(笑)。今日はそのテントを撤収しに登ってきたそうだが、あまりの寒さと猛風にブルブルと震えている。たしかにこのあたりの風の勢いは下界で言えば台風の真っ最中といった感じだ。しかも気温は氷点下10度台。体感温度はいったい何度になるのだろう。 ![]() 画像をクリックするとYouTubeの動画にジャンプ 避難小屋で軽い昼食を済ました後、頂上へと向かう Lion Head Trail に入ってみる。ここからは登山路が急に狭くなり、傾斜も急になる。途中小規模な氷壁があったりして、アイゼンがないと先には進めない。途中、大学生風情の男女5人くらいのグループとすれ違った。こんな天候の時に頂上まで行って来たのかと聞くと、森林限界線まで行って戻ってきたそうだ。たしかに標高が上がるにつれて木々の背丈が低くなり、傾斜が急なこともあって次第に視界が開けてくる。 1時間足らずで森林限界線に到着した。遮る木々がないので風の勢いは一層強烈だ。傾斜も急でちょっとよろけたらすぐに風に吹き飛ばされ転落しそうだ。ここから先は一人で登るのは自殺行為だと思い、ちょっと写真とビデオを撮って引き返すことにする。 ![]() 画像をクリックするとYouTubeの動画にジャンプ 2時間弱で下山し登山口に戻った頃にはすっかり薄暗くなっていた。登山路は山の東側にあるので日が傾くと暗くなるのはあっと言う間である。再びビジターセンターに立ち寄って係員に明日の天候などを伺っていると、20代後半と思しき背の高い青年が「明日頂上を目指すつもりならば、一緒に登りませんか?」と(英語で)尋ねてきた。オレはまったくの冬山初心者で道具の使い方さえロクに知らないので足手まといになるだけだと言うのだが、彼自身も本格的な冬山登山は初めてなので、オレとレベル的には釣り合うのではないかと言う。見ると、たしかに彼が身につけている装備はオレと一緒で新品っぽいものばかりだ(笑)。 たしかに万が一のとき、助け合うまでいかないまでも、救助を呼びに行くくらいのことはお互いに出来そうだと思い、明日一緒に登ることを約束する。天候も今日に比べればほんの少しだけ穏やかになりそうな予報である。明朝7時45分にビジターセンターで待ち合わせることにして、オレはキャンプ場に戻った。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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